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ノア・アーク ― 神々と人が生きる方舟 ―  作者: ヤノチャン
十四章 ボイジャー航路

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未踏宙域へ


ー 未踏宙域へ ー


― 宇宙空母ノア・艦橋


「ヒメちゃん…久しぶりね…」


モニター越しに現れたパンドラは柔らかく微笑んだ。

モニターを通しても威圧感は伝わってくる…


「お久しぶりです……パンドラ様……」


ヒメナも自然と背筋を伸ばす。


「あぁ……私の可愛い神帝達はいないのかな?」


「申し訳ございません。今は休んでもらっています。呼んできましょうか?」


「いやいや…大丈夫だよ。休ませてあげて…」


パンドラは小さく首を振った。


「それよりヒメちゃん…神帝マック・ファイヤから聞いたよ。随分と遠くに行ったみたいだね…」


「あはは…お陰様で。」


ヒメナは苦笑する。


「敵を追ってきて気がついたら太陽系人類未踏の宇宙の手前でした。」


「ふふ…」


パンドラは楽しそうに笑った。


「流石の私も行った事ないよ…それでどこまで行くの?」


「さぁ…今は何とも。」


「そーかい……」


パンドラは少しだけ寂しそうな表情をする。


「まぁ遠くに行くのはいいけどさ…また元気な顔を見せに来てよね…神殿で待ってるからさ…」


「承知致しました。」


ヒメナは満面の笑みを浮かべた。


その笑顔を見てパンドラも安心したように頷く。


「やっぱりヒメちゃんは笑顔が可愛いね…

あ、あとさ…」


「はい?」


「堕天のルシファーに言っておいて。」


艦橋の空気が少しだけ変わるがパンドラは笑顔のまま言った。


「“方舟”が沈めばお前の責任だ、私の代わりに死ぬ気で仕事をして来い…とね!

まぁ、神は簡単には死ねないんだけどね!ハハ!」


パンドラだけが楽しそうに笑い艦橋は静まり返る…


「今のは笑う所だよ?」


「ハハ……」


ヒメナは苦笑いしかできなかった。


(神のジョークは難しい…)


「それじゃ長話もなんだから、そろそろ切るね。」


パンドラは最後に優しく言った。


「必ず生きて帰れ。」


ヒメナは力強く頷く。


「はい!」


ブツッ… 通信が切れる。


モニターはホワイトノイズへ戻った。


艦橋にいた全員が敬礼したままその余韻を見送る。


静寂の中でリリア・ヘリオスが呟いた。


「ヒメナ…あの方が絶対神パンドラ…」


「あぁ。」


ヒメナは前を見据える。


「そうだよ。あの人が私達の象徴。」


そして椅子から立ち上がる。


「さぁ!そろそろ先へ進もう!」


ヒメナは艦長席へ向かって叫んだ。


「オダイさん!」


「ん?」


オダイが振り向く。


「はいよ!」


艦長は操艦席へ視線を戻した。


「総員準備!」


管制官達が一斉に動き出す。


「主機関正常!重力航法装置正常!」


「通信衛星の回収急げ!一機は置いとけ後々役に立つ!と思う!」


「了解です!」


「作業区、居住区、全区画異常なし!」


オダイが静かに前を見据える。


その先にあるのは誰も見たことのない宇宙。


「…さぁ行こうか…ノア前進…」


その一言で巨大な船体が震えた。


ゴォォォォ… 主機関が唸る。


近くでは機関士達が主機の様子を見守る。


宇宙空母ノアは再び動き始めた。


ボイジャー航路…太陽系人類到達圏。


艦橋中央モニターには数字が映る。


太陽系人類最遠到達記録まで……残り一光年。


誰も声を出さずにただ前を見る。


その先にあるものは元宙帝幹部のイザナ以外に誰も知らない。


やがて艦橋の窓の向こうの星々の海がゆっくりと姿を変え始める。


(続)





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