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ノア・アーク ― 神々と人が生きる方舟 ―  作者: ヤノチャン
十四章 ボイジャー航路

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神託


― 神託 ―


― 宇宙空母ノア・艦橋 


「ノアはボイジャー航路を航行中。

もう少しで太陽系人類未踏の宇宙です。」


管制官の報告が響く。


艦橋中央モニターにはボイジャー航路が映し出されていた。


太陽系の人類が到達した最果て…その先は地図の無い宇宙。


「あぁ…もうか…」


ヒメナは静かに呟き艦長席の方を見る。


「オダイさん!停止できる?」


「可能です!」


オダイが即答する。


「止めますか?」


「うん!よろしく!」


「了解。」


ノアの巨大な推進器がゆっくりと減速を開始し数分後には完全に停止する。


「通信衛星発射。」


「発射管開放。」


ゴォォォ…


数基の通信衛星が宇宙へ射出される。


太陽系との最後の太い通信線。


「本部に繋げて。」


「了解。」


通信班が忙しく動き始める。


アンテナ調整、出力確認、通信遅延補正。


ホワイトノイズがモニターを埋め尽くした。


ザー……ザー……


やがて映像が映る。


『こちら地球……宇宙連合本部。』


若い管制官だった。


『ノアからの通信なんて珍しいですね。どうされました?』


その直後、彼の表情が変わる。


モニター上の現在位置を確認したのだ。


『おぉ……』


管制室の奥でもざわめきが起きる。


『その位置は……』


誰かが立ち上がる。


『ついに行くのですね…』


ヒメナは笑った。


「あぁ…行くね。」


管制官も笑う。


『ハハ……これは明日の大ニュースになりそうだ。』


周囲の職員達も集まってくる。


皆ノアを見ていた。


『ご武運を。』


一人が敬礼する。


すると全員が立ち上がった。


『我々からの望みはひとつです。』


『宇宙の平和。』


『頼みますよ……ノア。』


艦橋の空気が少しだけ温かくなる。


「任せとき。」


ヒメナは軽く敬礼を返した。


その時だった。


ピピピピ―――!!


艦橋に緊急通信音が鳴り響く。


通信士が目を見開く。


「パンドラ神殿より最優先通信!」


一瞬で空気が変わる。


「ノアへ接続要求です!」


ヒメナが眉を上げる。


「神殿?」


「はい!」


通信士が慌てて確認する。


「ノアに直接繋げとの事です!」


宇宙連合本部側も騒然となる。


『神殿から!?』


『まさか……』


ヒメナは少し首を傾げた。


「承知した。神殿と言ったか。」


通信士を見る。


「ちなみにどなただ?」


通信士がゴクリと唾を飲み込む。


そして震える声で答えた。


「パンドラ様でございます。」


宇宙連合本部の空気が一瞬にして凍り付く。


パンドラ…最高位の神…宇宙連合の象徴。


数百億人がその名を知る存在。


本部側では管制官達が慌てて姿勢を正していた。


『パンドラ様が直接……?』


ノア艦橋でも全員が立ち上がる。


ヒメナだけが椅子に座ったまま笑っていた。


「相変わらず突然やな……」


ピッ…通信回線が接続される。


真っ白な光。


神殿の紋章。


そしてゆっくりと一人の女性の姿が映し出された。


艦橋全員が息を呑む。


彼女が静かに口を開く。


『久しぶりですね…ヒメちゃん…』


人類未踏宇宙への出航直前。


最高神自らがノアへ語りかけた。


(続)




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