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ノア・アーク ― 神々と人が生きる方舟 ―  作者: ヤノチャン
十四章 ボイジャー航路

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違う空の下で


― 違う空の下で ―


― ノアコロニー中央公園 


「あぁ……なんて事なの……」


イザナはベンチへ腰を下ろした。


目の前では子供達が元気よく走り回り遠くではモノレールが静かに通り過ぎる。


「私はね…宙帝が絶対だと思って生きてきた。

宙帝の支配こそが平和であり、人々の幸せだと信じて戦い続けた……」


走り回る子供達を見つめる。


「私達は……間違っていたの?

宙帝に抵抗する者達は皆悪じゃないの…?」


その問いに答えたのはウォンだった。


「いいえ。間違ってはいませんよ。」


イザナが顔を上げる。


「宙帝には宙帝の秩序があります。」


ウォンは公園を見渡した。


「人は皆、自分が守りたいもののために戦うんです。」


「守りたいもの…ね…」


イザナは呟く。


タカヤも話し始めた。


「まぁ…宙帝は圧倒的な支配やからな。

平和の種類が違うんよ。」


エリオが小さく笑った。


「平和の種類……か。」


「そう。」


タカヤは頷く。


「環境によって正義は変わる。」


その言葉に誰も反論しない。


「神格再編機関からすると、

この平和は生温い…でしょ?」


タカヤがエリオを見る。


エリオは少し考えた。


「まぁね…そう思っていた。

秩序を守るためには強い力が必要だと思っていたし、自由なんて無駄な混乱を生むだけだと思っていた。」


転んだ子供を別の子供が助け起こしていた。


エリオは少し目を細めた。


「だが今は……」


小さく笑う。


「こんなのもいいと思うよ。」


モックが嬉しそうに笑った。


「でしょ~?」


「まだ全部を理解した訳じゃない。

だけどさ…ここは地球よりはマシだね…」


エリオはゆっくり周囲を見渡す。


「この人達を守りたいと思う気持ちは理解できる。」


その言葉にタカヤは笑った。


イザナは黙ったまま空を見上げる。


人工の青空だが不思議と嫌ではなかった。


「なぁ……」


「ん?」


タカヤが振り向く。


「私はこれから何をすればいい?」


かつて深淵三羽烏と恐れられた女の問い。


「ん……まずは飯やな。」


「は?」


「ノアへようこそ。」


モックが勢いよく立ち上がる。


「賛成!今日は歓迎会しよう!」


エリオが呆れる。


「さっきまで敵だったのだけど……」


「だから何?」


モックは首を傾げた。


「今日から仲間でしょ?

君達の事は信じているよ…」


イザナとエリオは顔を見合わせる。


そして小さく笑った。


遠くで夕焼けを模した照明が点灯し始める。


ー 艦橋


「統合司令!只今よりボイジャー航路に復帰致します!」


ヒメナが振り向く。


「了解…報告ありがとう…

ちょっと!君…少し疲れてない?休むのも仕事だよ…」


管制官は笑顔で敬礼を返す。


「ヒメさん…とうとうですね。」


艦長のオダイが話し始める。


「我々は行くのですね…太陽系人類の未踏の宇宙…」


「あぁ…そうやな…けどダヴィンチが先に行ってるかも?」


「ダヴィンチはいいんですよ…」


「明日には知らない宇宙…か…

味方もおらん…敵かも分からん…本部との通信も難しくなる。」


ヒメナの口角が上がる。


「なんか楽しみやな!もしかしたらボイジャーに追いついたりして…写真撮りたいなぁ…」


「ハァ…呑気なんだから…」


ノアはゆっくりと宇宙を進む…太陽系の希望を乗せて…


(続)




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