神帝帰還
― 神帝帰還 ―
ゴォォォォ……
輸送ヘリ部隊は崩壊するケプラー上空を飛行していた。
背後では惑星そのものが悲鳴を上げていた。
まるで星が内側から腐り落ちていくようだった。
生き残った兵士達は無事輸送ヘリへ乗り込んでいた。
輸送ヘリ十二機中十一機は満員状態。
座るスペースすら無い。
それでも機内には奇妙な安堵感が広がっていた。
“生きている”それだけで十分だった。
― 三番機
三番機には四人の神帝の他
宙帝深淵三羽烏イザナ・グレイブ、
神格再編機関幹部エリオ・ヴァイス。
異常すぎる面子が同じ機内にいた。
エリオは静かに窓の外を見つめていた。
「…はぁ…地獄ね……」
眼下のケプラー。
地表の至る所で地割れが起き裂け目からはマグマが噴き出しかつて海だった場所は完全に蒸発していた。
既に“惑星”としての機能を失い始めている。
エリオは小さく息を吐く。
「この場を借りて感謝する……
貴方達のおかげで私も部下達も生きている。
…まぁ、ボスには捨てられたが。
牢屋の中で反省するよ…」
メインが静かに聞いた。
「エリオさん…まだダヴィンチに対する想いはあるの?」
エリオは苦笑した。
「そんなものもう無い……
ダヴィンチ様は私の家族達も見捨てた。
私は誰よりも忠誠を誓っていた…
でも最後に選ばれたのはガランだった。」
彼女は拳を握る。
「私はまた捨てられたのよ……」
その隣でイザナ・グレイブが天井を見上げながら笑った。
「そんな悲しい顔するなよ……」
全員の視線が向く。
「私を見ろ…もう何も無い。地位も名声も仲間も全部消えた。契約解除…宙帝からも捨てられた。」
イザナは自分の砕けた首飾りを見る。
「私は宙皇帝エルド・ノヴァ様の為に働いた…
宙帝の目指す素晴らしい宇宙の為だと思って沢山殺した…その最後がこれだ。」
窓の外では星が崩れている。
「…ハハ…笑うしか無いよ。」
その空気を破るようにタカヤが言った。
「そんな顔するなよ…二人とも。」
タカヤは壁にもたれながら笑う。
「もう俺達と争う気は無いんやろ?」
エリオもイザナも何も言わない。
「なら大丈夫や。俺達がなんとかしてやる。」
イザナが呆れたように笑う。
「神帝ってみんなそんな適当なの?」
「ノア所属は特にね…」
タカヤは即答した。
機内に少しだけ笑いが生まれる。
『前方にノア確認!全機、着艦態勢へ移行!』
操縦士の声が響く。
機窓の先。
崩壊する惑星を背に宇宙空母ノアが待っていた。
ノアは静かに滑走路灯を灯し、生還した者達を迎え入れようとしていた。
(続)




