崩壊惑星
ー 崩壊惑星 ー
ゴゴゴゴゴゴ……
大地の揺れがさらに激しくなる。
遠くの山脈が崩落し巨大な火柱が空へ吹き上がった。
空は赤黒く染まり始めている。
まるで惑星そのものが悲鳴を上げているようだった。
「急げ!!負傷者から乗せろ!」
ノア輸送部隊員達が次々と降下してくる。
重装備の救助兵…白い医療マークを付けた衛生兵。
彼らは迷いなく崩壊する戦場へ踏み込んだ。
武装解除した神格再編機関兵達は呆然とその様子を見つめていた。
「…本当に助かるのか……」
「敵だろ…?」
誰も武器を持っていないのは持つ意味がもう無かったからだ。
「重傷者こっちだ!」
「人工血液投与開始!」
怒号のような救助指示だけが戦場に響く。
モックは崩れ落ちる地盤を支えていた。
「早く通って!!ここはもう持たんよ!!」
避難する兵士達がその下を駆け抜けていく。
アイズは静かに空を見上げた。
「…惑星核が暴走してる。」
ピピッ――!通信機が鳴る。
『こちらノア艦橋!』
ヒメナの声。
『崩壊速度が予測より早い。
あと数時間で地殻崩落が始まる。』
「了解。」
『あと。地下から超大型反応。』
その瞬間…
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!
大地が盛り上がる。
地平線の彼方。
巨大渓谷の中央部が崩壊した。
黒い装甲に無数の砲塔、惑星内部から現れる超巨大要塞…
「ポイント・ゼロ……!」
エリオが絶望した声を漏らす。
山そのものが浮かび上がるような光景。
『こちらノア艦橋!ポイント・ゼロ浮上を確認!』
輸送部隊が騒然となる。
その時。
ポイント・ゼロ中央部が開いた。
そこから一人の男が姿を現す。
黄金の義手の創造神ダヴィンチ…
「ダヴィンチ様…」
エリオの声が震える。
ダヴィンチは戦場を見下ろしていた。
助けを求める兵士。
崩壊する大地。
そして神帝達。
だが表情は変わらない。
「…無様だな…」
その声だけが響いた。
次の瞬間ガラン・ゴロンを拘束していた氷が砕ける。
「なっ!?」
モックが反応するより早く。
ガランの身体が粒子化し空へ吸い上げられていく。
「ガラン!!」
エリオが叫ぶ。
ダヴィンチはそれ以外には目も向けない。
神格再編機関兵達をエリオを見ることもなく
ポイント・ゼロの装甲が閉じていく。
「待て!!」
タカヤが前へ出るが遅い。
ゴォォォォォ……
巨大要塞の周囲に黒い粒子が広がる。
空間が歪みポイント・ゼロはそのまま姿を消した。
誰も言葉を発せない。
エリオは崩れ落ちるように膝をついた。
「…はぁ…やっぱり捨てられた…
ガランはまだ必要なのね…」
遠くで大陸の一部が崩れ落ちる。
惑星ケプラーは、静かに死へ向かっていた。
(続)




