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ノア・アーク ― 神々と人が生きる方舟 ―  作者: ヤノチャン
十三章 第三次宇宙大戦

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天才と天災


ー 天才と天災 ー


鉛筆の神帝と戦場指揮者


― 惑星ケプラー地上戦線


砲火が渦巻く最前線。


燃え続ける大地のその中心で神帝アイズは静かに立っていた。


白いコートの裾を揺らしながら、

まるで散歩でもしているかのような空気を纏っている。


その前では一人の女性が指揮棒を握っていた…

神格再編機関最高幹部エリオ・ヴァイス。


「久しぶりだね…エリオ・ヴァイスさん…

政府軍との合同演習以来かな?」


アイズは軽く笑う。


「君…随分と出世したみたいじゃないか…

ダヴィンチ君は元気かい?」


まるで旧友に話しかけるような口調だがエリオの視線は鋭い。


「あなた…私を知っているの…?」


「あぁ、もちろんさ。」


アイズはポケットに手を入れたまま頷く。


「“戦場指揮者

(バトルフィールド・コンダクター)”…

次に神職へ就くのは君だって、

神帝の間でも話題になった事があったかな?」


エリオは目を細めそして笑った。


「ハハハ…!それは嬉しい事を聞いたわ…」


次の瞬間その笑みは消える。


「だが私が神官などあり得ない…

私のような人間が上がれる世界では無い。夢のような話よ…」


指揮棒がゆっくり持ち上がる。


「そんな事はないさ。実際、君はダヴィンチに選ばれた。それだけで十分特別だよ。」


一歩前へ出る。


「むしろ…俺が先にスカウトしておくべきだった。」


その言葉にエリオの空気が変わった。


「…フフ…馬鹿な事を言うね。

私の力は一人では成立しないのよ…

部隊がいて、兵がいて、初めて意味を持つ。」


周囲の神格再編機関兵達が武器を握り直す。


「私はここだから輝けるの…

ダヴィンチ様が必要だと言ってくれた…その言葉に救われた…だから私はダヴィンチ様の夢の為に私戦う。」


エリオは叫ぶ。


「ここにいる者達も皆同じ!命を懸ける理由がある!さぁ奏でるのだ!最高の合奏を!

第三楽章…"運命"…」


指揮棒が空を切る。


「ここで死ね!神帝アイズ!」


瞬間周囲の兵器群が一斉に動き出した。


全ての兵器がアイズへ向く。


「ハハ…いい軍人だ。」


アイズは笑っていた。


「……とっとと掛かってこい。」


エリオが指揮棒を振り下ろす。


「さぁ…撃てぇぇぇぇ!!」


轟音。


数百の砲撃が同時に放たれる。


エリオの能力で弾の軌道が読めない…


大地が爆発に飲み込まれ神格再編機関兵達が歓声を上げる。


「神帝を仕留めたぞ!」


「いや、待て!」


「……え?」


煙の中に彼は立っていた。


周囲だけが凍っている。


「流石に一撃じゃ無理か…」


エリオの顔が歪む。


アイズは肩についた氷を軽く払う。


「悪くない…

流石“戦場指揮者”だ。弾の軌道を変えるなんて…恐ろしい…流石に避けれないな!

じゃ…こっちの番ね…」


アイズは天高く手を上げる。


パキッ… 空気が凍る音。


エリオの背後にいた数台の装甲車両が乗員ごと氷塊へ変わる。


「な…!?」


「この辺暑いよね…」


アイズの瞳が細くなる。


「少し“冷やし”た方がいい。」


アイズはハンカチで汗を拭う…


「ハハハ…まるで"天災"ね…」


エリオはそう呟き指揮棒を構え直す。


(続)






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