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ノア・アーク ― 神々と人が生きる方舟 ―  作者: ヤノチャン
十三章 第三次宇宙大戦

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最前線


― 最前線 ―


「おっ!久しぶり…エリオさん…

そっちの彼女は三羽烏やね…」


土煙の中心。


神帝タカヤはゆっくりと顔を上げる。


「ま、まさか…神帝タカヤか…ノアが戦場に神帝を送るなんて…予想外よ…」


エリオ・ヴァイスの表情が変わる。


それまで余裕を見せていた彼女が、初めて“焦り”を浮かべた。


「全戦線に通達!!

部隊を下げなさい!!全滅するわよ!!」


神格再編機関軍が一斉に後退を開始する。


戦場がざわつく。


「へぇ…私より優先なのね?」


レイヴン・モルグが楽しそうに笑う。


「当然よ…“神帝”は災害みたいなもの…

前線兵に相手させる存在じゃない。確実に全滅する。」


エリオは冷や汗を流しながら答える。


部隊は後退を始める…がしかし…


ドゴォォン!!


後方に氷壁が現れる…


神格再編機関の戦車部隊が宙を舞う。


「はぁ…」


兵士達が凍りつく。


別方向…黒煙の中を“何か”が高速で突き抜けていた。


「速っ!!」


次の瞬間。


ズガァァァン!!


別の装甲車両が真っ二つになる。


「うわぁぁぁぁ!!」


「な、何だあいつ!!」


煙の中から現れたのは二人の神帝


「到着〜!」


神帝メインとその肩にしがみついていたモックが地面に降りる。


「うぇ…ちょっ…速すぎるわよ!!」


「えへへ、ごめーん!」


メインは笑っている。


だが周囲の兵士達は笑えない。


「また神帝…」


エリオが頭を抱える。


「三人目もいるよ…」


メインが空を指差した。


空気が凍る。


パキパキと白い氷の道が空中に形成される。


そこを滑るように進む男。


「はぁ…戦場なんて久しぶりだよ…」


神帝アイズ、彼が現れた瞬間、周囲の温度が一気に下がる。


「やっぱりね…

だがこの状況は圧倒的不利…だがガラン様もいる…ここはやるしかないか…」


エリオは指揮棒を構え直す。


戦場の空気そのものが変わった。


宙帝軍ですら静まり返るその光景を見てレイヴンは口元を歪める。


「ハハハハ!!いいじゃない!!最高じゃない!!」


黒い翼が大きく広がる。


「神帝四人…やっと“戦争”っぽくなってきたわ!!」


タカヤは静かに前へ出る。


「じゃあレイヴンさん…僕とやりましょう…」


「三人の帝神を倒した太陽系最強戦力…面白い…」


ドォォォォン!!


ノアから放たれた超長距離砲撃がケプラーの空を裂いた。


ー モック、メインサイド


戦場の中心で神帝モックは静かに立ちある男を見ていた。


その視線の先には瓦礫を踏み潰しながら歩く男…


神格再編機関最高幹部ガラン・ゴロン…


「……久しぶりだな、神帝モック…生きていたか…」


メインが目を丸くする。


「モック…いたね、ガラン…」


モックは静かに睨み返していた。


天王星戦争でのあの敗北はモックの脳裏に焼き付いている。


暗闇の中で身体を貫かれ、骨を折られ、

最後には地面へ叩き潰された。


ガランはモックを見下ろす。


「また会えたな、神帝。今日も負けに来たのかな?」


モックが拳を握る。


「…今回は負けないわよ…いや、負ける気がしない!」


ガランが笑う。


「ハハハ!!どこからくるのだ!!その自信は!!」


周囲の兵士達が少しずつ後退する。


メインがモックを見る。


「モックちゃん、大丈夫?」


「問題ないわ。秘策があるのよ…」



モックの眉が僅かに動きその瞬間に踏み込む。


突風を纏った拳がガランへ突き刺さる。


しかしガランは動かない。


「軽いな!」


次の瞬間。


ガランの拳。


モックは両腕で受ける。


衝撃波で周囲の瓦礫が吹き飛びメインが吹き飛ばされかける。


「うわっ!?」


「ハハハ!軽いね!」


モックもその場を動かない。


ガランは笑う。


「前よりはマシだな。」


メインが高速で横から突撃。


「これならどうよ!」


超高速の回し蹴りがガランの横顔へ直撃する。


ドゴォォン!!


「これは…流石に痛い!」


その瞬間、戦場の空気が変わる。


黒い粒子、暗い霧が広がり始める。


兵士達がざわつく。


「まずい…!下がれ!」


神格再編機関兵が後退するその姿を見てガランはギフトの展開を止める。


メインが眉をひそめる。


「ん?」


「……この状況じゃ…このギフトは危険か…味方が多すぎる…ここで使うと"後"が怖い…」


「おい!お前ら、早よ下がらんかい!」


ガランの周囲を見渡し叫び出す。


ギフト――【暗転(ブラックアウト)】


光、熱、感覚、空間そのものを“沈める”異能。


ガランは舌打ちする。


「チッ…」


モックがニヤリと笑う。


「メイン!言ったでしょう…すぐには使えないの…」


ガランが睨む。


「小娘…」


メインはさらに笑う。


「ハハハ!じゃあ真正面から殴り合おっか!」


モックが前へ出る。


「見えていれば貴方なんて敵じゃ無い…」


拳を構える。


「三分で終わらせましょう…」


ガランの顔は猛獣に囲まれた野兎のようになっていた…


(続)




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