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ノア・アーク ― 神々と人が生きる方舟 ―  作者: ヤノチャン
十三章 第三次宇宙大戦

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戦場指揮者(バトルフィールド・コンダクター)


ー 戦場指揮者(バトルフィールド・コンダクター) ー


― 惑星ケプラー地上戦最前線


砲火と悲鳴が交差する地獄。


神格再編機関軍と宙帝地上軍は巨大渓谷地帯を巡り激突していた。


その時、キィィィィィン……


空を裂くような高音。


神格再編機関兵の一人が顔を上げる。


「…ん?…なんだ?」


空間が黒く歪む。


バキィン!!


空が割れ裂け目の奥から現れたのは巨大な黒翼が姿を現す。


「ハハハハハハハッ!!」


戦場全域に響く狂気の笑い声。


深淵三羽烏(アビス・クロウズ)

“レイヴン・モルグ”降臨。


その瞬間宙帝兵達は一斉に武器を下ろし膝をついた。


祈りを捧げるように…


まるで神の降臨を迎える信徒のようだ…


戦場には似合わない異様すぎる光景だった。


「…何よ、あれ…気持ち悪い。」


幹部エリオ・ヴァイスは眉をひそめる。


その一瞬の静寂を彼女は逃さなかった。


「今よ!!全砲門、一斉放射!!」


ドゴォォォォン!!


神格再編機関軍の砲撃が宙帝陣地を飲み込む。


しかし宙帝兵は逃げない。


ただ祈ったまま吹き飛ばされていく。


「……ッ」


エリオの背筋に寒気が走る。


十分近く続いた砲撃。


やがて彼女は叫ぶ。


「全戦闘車両!!砲撃停止!!」


静寂の煙の向こう…ゆっくりと“それ”が降下してくる。


彼女は血の海へ静かに降り立った。


ぐちゃり…


血溜まりを踏みながら周囲を見回す。


「あらら…可哀想に…」


レイヴンは笑う。


「もう誰が誰だかわからないわねぇ……」


エリオは戦闘指揮車両の上から睨みつける。


「…あなたは?」


「ん?最高幹部…とでも言っておきましょう…

エリオ・ヴァイスさん」


レイヴンは優雅に一礼した。


「私と取引をしない?」


「…取引?」


「ボスからは貴女を殺せって言われてるのよ…」


口元が歪む。


「でもねぇ…さっきの砲撃、美しかったわ…

芸術的だった。」


黒い瞳が細くなる。


「私の部下にならない?悪いようにはしない。」


戦場での勧誘。


「ハハハハ!!」


指揮車両の上で大笑いする。


「戦場でヘッドハンティングとはね!!

初めてよ!!」


笑いながらも目は鋭い。


「だけど断る。」


空気が変わる。


「私は死ぬ場所を決めている。」


エリオは胸を張る。


「神格再編機関のために死ぬ。

それが私の役目よ。」


レイヴンは少しだけ目を細めた。


「…哀れね」


次の瞬間。


ドンッ!!


レイヴンの姿が消える。


音を置き去りにする速度。


一直線にエリオへ突撃。


(騒ぐ暇もなく死ね…)


だが…


「……ん?」


ピタッとレイヴンの身体が止まった。


空中で縫い止められたように動く事ができない。


「……何?」


エリオは静かに指揮棒を構える。


「おい、お前、何をした?」


エリオは笑った。


「私のギフトはね…」


指揮棒を振る。


「“戦場指揮者(バトルフィールド・コンダクター)”」


空気が震える。


「私に“造れない戦場”はないの。」


ブンッ!!


指揮棒が振り下ろされた瞬間。


レイヴンの身体が見えない力に吹き飛ばされる。


ドシャアアアアン!!


大地を削りながら瓦礫へ激突。


巨大なクレーター。


エリオは口元を吊り上げる。


「ハハハ!!いい音ね!!」


煙の中。


ゆっくりとレイヴンが立ち上がりその顔には笑みが溢れる。


「……ハハハ……」


肩を震わせる。


「面白いわ…エリオ・ヴァイス…」


深淵三羽烏と戦場の指揮者。


怪物同士の戦いが始まろうとしていた。


(続)





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