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ノア・アーク ― 神々と人が生きる方舟 ―  作者: ヤノチャン
十三章 第三次宇宙大戦

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深淵降下


ー 深淵降下 ー


― 惑星ケプラー 


赤黒い空に砕けた大地、燃え続ける戦場。


神格再編機関と宙帝の戦闘は今なお激化していた。


飛び交う粒子弾などで戦場は既に泥沼と化している。


その最前線から少し離れた大渓谷に姿を隠す宇宙要塞ポイント・ゼロ、そこに創造神ダヴィンチはいた。


天王星戦役で失った右腕。


今そこには、新たな義手が装着されている。


機械でありながら神々しさすら感じる異形の腕。


「ダヴィンチ様…

義手の着け心地はいかがでしょうか?」


カガミ博士が膝を付き頭を下げる。


ダヴィンチは義手を軽く握った。


ギギッ…


黄金の指が音を立てる。


「日常生活では問題ない。

……だが、戦闘はまだだ。

実戦で試してみねば分からんな。」


少しの沈黙の後ダヴィンチは笑った。


「ほんとうに…

お前の粒子にはやられたよ。」


「いえいえ。」


カガミは首を横に振る。


「あれは粒子技術だけではありません。

アーセナル社の技術力が異常なのです…

まさかあの短期間で“あれ”を完成させるとは。」


ダヴィンチは興味深そうに義手を見る。


「…お前には造れんのか?」


「それはもちろん造れますよ。」


即答。


「ですがここでは無理です。

場所、資源、時間…

全部足りない。」


ダヴィンチは肩を揺らし笑った。


「ハハハ!そうか!」


だが次の瞬間、空気が変わる。


「…それよりガラン。」


「はっ。」


側に立っていた男が前へ出る。


「宙帝はどうなっている?」


「深淵の帝神“ゼル・アビス”率いる深淵艦隊と交戦継続中。」


ガランは即座に答える。


「地上戦力も激突中…

現在も戦線は膠着状態です。」


「前線には誰がいる?」


「エリオ・ヴァイス部隊が応戦しております。」


ダヴィンチは目を細めた。


「…エリオか。彼女の地上戦は美しい。期待しよう。帝神の姿は?」


「現在確認されておりません。」


「あぁ…そうか。」


ダヴィンチは立ち上がる。


黄金義手が鈍く光った。


「ガラン。」


「はっ!」


「お前も前線へ行け。

エリオの援護をしてこい。」


その瞳が鋭くなる。


「一度助かった命…

無駄にするなよ。」


「了解しました!」


ガランは走り出す。


扉が閉まり、静寂だけが残る。


ダヴィンチは天井を見上げた。


「…帝神よ。」


黄金義手を握り締める。


「早く出て来い…俺が殺してやる。」


― 惑星ケプラー上空 


深淵艦隊旗艦"ネヴァ・アビス"


巨大すぎる黒い旗艦。


その姿はまるで宇宙に浮かぶ深海生物である。


艦橋内部そこには異様な静寂だけがあった。


息をするだけで肺が潰れそうな圧迫感。


艦橋中央には玉座のような黒い指揮席が設置され

そこに深淵の帝神ゼル・アビスは座っていた。


観測兵が膝をつく。


「報告します。ポイント・ゼロ、なお健在。」


「神格再編機関も抵抗を継続。前線は現在も拮抗状態です。」


「……そうか。」


ゼルは静かに目を閉じた。


「はぁ…よく粘るな。」


その瞬間、背後の闇が揺れそこから一人の女が現れた。


深淵三羽烏(アビス・クロウズ)の

その一角"レイヴン・モルグ"


「呼びましたか?帝神様。」


ゼルは振り返らない。


「あぁ…そろそろ遊びは終わりだ。」


レイヴンが口元を歪める。


「ハハ…いいねぇ。」


前方モニターにケプラー地表が映し出される。


巨大渓谷、そこに潜む超大型要塞"ポイント・ゼロ"


「敵幹部が中央防衛線に集結中している。」


ゼルは静かに言う。


「そろそろ創造神ダヴィンチも動くだろう。」


レイヴンの目が細くなる。


「…やっと“大物”か。」


ゼルの声が低く響く。


「レイヴン。」


「はい。」


「前線へ降りろ。」


空気が凍った。


「敵幹部エリオ・ヴァイスを殺せ。

地上戦力を壊滅させろ。

そしてダヴィンチを前線へ引きずり出せ。」


「ダヴィンチ討伐は俺がやる。」


(帝神様が戦場へ…)


(ゼル様の戦闘なんて見た事ないぞ…)


艦橋中の兵士が震えた。


レイヴンは楽しそうに笑う。


「了解した。」


次の瞬間その身体は黒い粒子へ変化し霧のように消滅する。


「レ、レイヴン様出撃!!」


ゼルはただ静かにケプラーを見下ろしていた。


「さぁ…深淵を見せてやれ。」


(続)


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公開情報


・エリオ・ヴァイス 三十歳 女性 from月

 神格再編機関幹部 神格地上戦部隊司令

 元政府軍戦車部隊大隊長 地上戦の鬼

 戦死した参謀ユーイ・ロンを崇拝していた。

 ダヴィンチからも信頼されている。


・深淵三羽烏(アビス・クロウズ)

 宙帝深淵の帝神“ゼル・アビス三名の最高幹部


・レイヴン・モルグ 女性 年齢不詳

(見た目は若い)

 深淵三羽烏(アビス・クロウズ)の一角

 ギフト"冥翼"(闇の翼生成  高速飛行  影転移)





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