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ノア・アーク ― 神々と人が生きる方舟 ―  作者: ヤノチャン
十三章 第三次宇宙大戦

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紙の上の戦争


ー 紙の上の戦争 ー


ー ノアコロニー某所/出版社 編集フロア 


「締切近いぞ!!急げぇ!!」


「第七面まだ白ですよ!!」


「誰かコラム書ける人ぉぉ!!?」


怒号、足音、紙の音。


そこは完全な戦場だった。


ガラス張りの個室にある空間だけは妙に静かだった。


「…はぁ…今日もうるさいなぁ……」


椅子に深く座り淡々とペンを走らせる男。


紙の上を滑る音だけが響く。


「失礼します!編集長!」


バタンと扉が開く。


「最終確認、まだ終わってません!お願いします!」


「んー……わかったよ。そこ置いといて。」


軽い返事だがその目は鋭い。


机の上の紙面。


そこには大きな見出し。


【対神兵器“ゴッド・スレイヤー”実戦投入】

【創造神ダヴィンチ、再生不能】


「…いいね」


編集長は小さく呟く。


「インパクトは十分」


赤ペンを持つ。


「でもね…」


スッ――


線を引き、書き換える。


【対神兵器、実戦で効果確認】

【“神に通用した”という事実】


「……これでいい」


「えっ!?弱くないですか!?」


編集員が思わず声を上げる。


「弱くていい」


椅子にもたれながら言う。


「その方が俺は“読みたくなる”かな…」


静かな声。


「俺が作りたいのは“恐怖を煽る雑誌”じゃない」


「…じゃあ…何ですか?」


新人が小さく聞く。


「さぁね」


少し笑う。


「兵器や神帝を“希望”にしちゃいけない気がしてるだけだよ。」


一瞬空気が止まる。


「戦争は終わってない、敵もいる。

だから伝える。“ちょうどいい温度”でね。」


「次!特集どうなってる?」


「あ、はい!住民インタビューです!」


紙を渡す。


【公園前のパン屋のクロワッサンが美味しい】


「……ハハッ」


思わず笑う。


「いいね、これ」


「えっ、いいんですか?」


「こういうのが大事なんだよ」


窓の外を見ると子供達が公園を走り回っている。


「戦争だけ書いてたら…この国は壊れるよ。」


ー 印刷区画 


ゴオオオオ……


巨大な印刷機が唸る。


紙が流れ、インクが乗る。


“月刊ヘイキ”が次々と生まれていく。


編集長はデータを確認する。


「……うん」


軽く頷く。


「まぁ、こんなもんか」


「全星印刷所へ送信します!」


「よろしく」


ー 配布区画 


雑誌が運ばれていく。


子供が手に取る。

老人がページをめくる。

家族が囲む。


そこにあるのは“今の戦争”と“今の生活”


ー 編集室 


「次号の特集どうします!?」


編集長は少し考える。


ペンをくるくる回す。


「…ボイジャーにしようか?」


「探査機のですか?」


「そう」


窓の外を見る。


「一人で宇宙を進んだやつ」


「……希望の話ですか?」


「いや」


少しだけ笑う。


「“孤独でも進める”って話」


ピピピー…


デバイスが鳴る。


「…あ、呼ばれた。行かなきゃ!」


立ち上がる。


「今日はここまで!また来るね!」


軽く手を振って部屋を出ていく。


残された編集員が呟く。


「“鉛筆の神帝”…」


歩きながら呟く。


「さて…次は幹部会議か…」


ペンを胸ポケットに差す。


「はぁ…忙しいな…ほんとに」


その顔にはどこか楽しげ…


“鉛筆の神帝”アイズは小さく笑った。


(続)


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挿絵(By みてみん)


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