2-24話:語る石像
「なんだその顔は。私が喋るのがそんなにも不自然か。」
借り物の魂を宿した大理石の彫刻がまさか喋れるとは思っておらず、素直に驚いてしまった。喋るというだけで、モーセ像が異質なものに感じさせられる。冷や汗が背中を伝った。
「無理もないか。私は大理石でできた偶像であるからな。私は全能の預言者モーセの形をしている。であるならば、喋れることくらい理解できるだろう?」
思いもよらぬ声を聞き、腰が抜けそうになるが踏みとどまり、堪えながら立ち上がって戦鎚を構える。
「身構えんでよい。私はお前と戦う気はない。お前も、時間稼ぎと思えば私と話して時間稼ぎした方が良いだろう?」
「そうね。正直私も助かるわぁ。」
動悸が止まらぬ中、上辺だけでも余裕そうな顔を作って答える。
「素直な奴だ。嫌いでないぞ。」
何も動かぬ表情なき顔であったが、九十九里にはモーセ像がニヤリと笑った気がした。
「質問しても良いぞ。答えてやろう。」
「お言葉に甘えて貰うわ。」
何故人を殺すのか。どうやってモンスターは生命活動を維持しているのか。野生のモンスターとダンジョンにいるモンスターは何が違うのか。この動く大理石の像をモンスターと仮定するなら、色々と聞きたいことはあった。だが、今は時間がない。だから今必要な情報だけを九十九里は選んだ。
「まず、百鬼夜行とは何なのか、聞かせて頂けるかしらぁ?」
「良かろう。では百鬼夜行について私が知っていることを話そうぞ。」
九十九里は息を飲む。世界の真実にひとつ近付く内容だ。当然と言える。
「百鬼夜行とは、邪神を育てる為の準備と用意である。」
「邪神?あの、ニンホア聖書に出てくるあの邪神よねぇ?」
「そうだ。邪な神と書いて邪神と読む、あの邪神である。言っておくが邪神はフィクションではない。存在する、モンスターの一種だ。」
「そう。モーセさんの言うことを前提とするのなら、百鬼夜行は誰かが準備して起こした現象って意味になるわよぉ?百鬼夜行を起こせるなんて力、一体どんな装置を誰が使ってるのかしら?」
モーセの形をしただけの像に対してモーセと呼ぶのは正しいのかは不明であるが、とりあえず、九十九里はモーセと呼ぶことにした。
「百鬼夜行を起こす力は魔力の吹き溜まりを利用したものだ。排水溝に溜まるゴミのように、魔力も上空に溜まるのだ。三千年前から始まった事象だな。誰が起こしたかについては語れん。語ろうとすると、思考の制御権を奪われそうになる。まったく、借り物の魂が憎らしい。」
無表情のままモーセ像は自分の手のひらを見る。
「私に自我があることに気付かれた。時間が無さそうだ。最後に、何か聞きたいことはないか?」
「では、最後に警告とかはあるかしら?」
「そうだな。では、この百鬼夜行の後にもう一度、近い内に百鬼夜行が起きる。世界規模でだ。備えろ。」
手のひらを添えるように頭の脇に当てて、魔法陣を展開させる。
「言い忘れていた。もし何かがあれば、その時は村田優希、いや、退魔の勇者を頼れ。奴なら再び立ち上がってくれるであろう。」
退魔の勇者とは、魔王を倒した唯一の勇者という意味であり、村田優希が眠りについてから付けられた称号である。優希がまだ知らない情報だ。
「さらばだ。素直な人間の女よ。」
モーセ像が手のひらからバーニングショットを放つ。無詠唱であるにもかかわらず、先程九十九里が撃ったものの何倍もの威力があった。
[とても大切なお願いです]
ほんの少しでも、
「面白い!」
「続きを書いてほしい!」
「連載しろ!!」
とそう思って頂けましたら、
広告の下部分↓にある【☆☆☆☆☆】を
【★★★★★】になるよう押していただき
ポイントを入れてくださると大変嬉しいです!
作者大歓喜します!!
★5をつけてもらえるとモチベがすごぉぉおく
上がって、「また書くぞぉ!」となり、
最高の応援になります!
なにとぞ、どうかご協力
よろしくお願いします
感想もめっちゃ嬉しいです!!!




