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2-18話:親心




「参加してくれるか!それは良かった。ひとまず安心だな。」



結衣先輩と同じ布団で寝た翌朝。俺は浅い眠りによる眠気に耐えながら身支度を整え、二条さんと結衣先輩との3人で朝食を取った。



朝食の内容はいつも通り大盛り。玄米に味噌汁、漬物や焼き魚の鮭と鯵、そして沢山の小鉢に、ステーキだ。どうやら二条さんは牛肉のステーキを力の源だと思っているらしく、朝に必ず食べるそうだ。しかも、ステーキは霜降り肉のような柔らかい肉ではなく硬い赤身肉。大変ワイルドである。



「それでなのですが、俺の役割だとか配置場所だとかはもう決まっていたりしますか?」



「あぁ、既に考えているぞ。優希のポジションは帝都高周辺だ。彼処ら周辺ならお前も戦いやすいだろう?」



「そうですね。有難いです。結衣先輩も同じポジションなんですか?」



「いや、結衣は待機だ。この家で待っていろ。」



二条さんの言葉に結衣先輩は反応して箸を止め、睨む。まるで女豹だ。親の仇でも見るような目で、二条さんを睨んだ。



「私は邪魔だと言う訳?」



「違う。そうではない。お前に待機を命じるのはただの保険だ。」



「保険なら他の人間でもいいじゃない。何故、私なのかしら?お父様も分かっておいででしょう?私がどれだけ剣術に身を捧げてきたか。」



「私情を挟むな。これはガーディアン東大和担当局長としての命令ではなく、二条家当主としての命令だ。分かったな?」



「モンスターの発生地として確率の低い二条亭周辺に腕の立つ結衣先輩ひとり置いておくだけで安心って感じですか?」



何故頑なに本物の百鬼夜行がある可能性について結衣先輩に話さないのかが不思議ではあるのだが、本人がいる為聞けないでいる。黙っている訳にはいかない為、軽くフォローしておいた。



「そうだ!よく分かってるじゃないか!流石儂の婿養子であるな!」



「婿養子!?俺、婿養子になるんですか!?」



「そうだ。君は儂の娘に手を出したのだから今日から婿養子だ。」



「手を出してません。本当に、調べていただいたらわかりますから。」



「そうか。同じ布団で一夜を共にしたというのに手を出しておらんとは、もしや男色か?」



多様性を重視する世間に反した蔑むような目を向けるが、本気で蔑んでいる訳では無いのがわかる。



「違います違います。鉄の意志で手を出しませんでした。」



「そうか。それは残念だ。」



箸で魚を突き、口に運んで飲み込む。そして、氷の入った緑茶を一気に氷ごと飲み、口の中で氷を砕いた。



「所で優希よ。君は何が得意なんだ?」



「今更ね。」



「何が得意、ですか。」



「そうだ。単独で粗方のモンスターを倒せると認識しているのだが、具体的なことは何も知らん。」



具体的に何が得意かと聞かれると、返答に困る。俺はよく言えば万能型、悪く言えば器用貧乏だ。長い間ひとりで冒険していたせいか、卓抜したものが無い。もちろん、自分の実力が人類全体の上澄みであるという自覚はあるが、勇者時代の最終メンバーと比べたら飛び抜けているものが無いのだ。強いて言うなら聖剣エクスカリバーによる理不尽なまでの対応力だが、それは俺個人の力ではなく武器の力だ。俺個人ではない。



だがそう言って納得してくれる訳がないので、仕方なく答える。



「光魔術が得意ですね。解呪とか得意ですよ。」



「解呪か!ならばうちに欲しいな。儂の部隊に来い。学校の方はアバクとアイニールに任せておけば良いだろう。北西もいるのだから大丈夫だ。うちの隊からもひとり付けるしな。」



書記のアバク先輩と副生徒会のアイニールがガーディアンだとは知っていたので特には驚かないと思っていたが、いざ具体的な場面で聞くと新鮮な気持ちになるものだ。例えるなら昔のクラスメイトが有名人になっているようなものだろう。



「解呪ってそんなに重要ですか?死霊系のモンスターしか使ってこないイメージありますが。」



もちろんそのイメージは今の時代での話だ。勇者時代では解呪の魔術に何回も助けられた記憶がある。



「重要だ。今回の戦ではな。」



「まるで今回出るモンスターがわかっているかのような言い草ね。」



「わかっているとも。空気中の魔力濃度が上がる。そうなれば多様なモンスターがダンジョンホールから出てくる。当然精神干渉を得意とするモンスターも出てくるわけだ。あくまで儂の想定なのだが、違うか?」



「間違ってはいないわ。ただ、随分と断定的だと思っただけよ。」



「物事には過信が必要だ。特に、命のやり取りはな。」



顎髭を触りながら頬杖をつき、魔術で作った氷を器に入れてから大きな瓶に入った水を注いだ。



「今日ミーティングがある。時間は午後一時。車で送ってやるからそれまでは適当にしてろ。以上だ。儂は部屋に戻る。」



自分が食べ終えると自分の部屋に戻る二条さん。いつもの光景だ。この光景に慣れてしまっている自分。もはや二条家の一員だ。来週には二条優希になっているのかもしれない。そうなる前に賃貸を見つけてくれとジングさんに思いを飛ばすのであった。
















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