8.お風呂とベッドと事件と
「ふわぁ〜」
華音は湯船に浸かって、蕩けるような表情をした。
私はその隣に入った。
…幸いなことに、銭湯は混浴ではない。
ただ、私たち二人で貸切という訳でもなく、真ん中に1人、髪を纏めて肩の高さまで湯船に浸かっている女性がいた。
囚人か…或いは刑務官…又は自衛官の可能性もある。
「こんばんは!」
華音は普通に話しかけに行った。
渋々、後ろを続く。
「…貴女達…見ない顔ね?もしかして新入り?それか新任の刑務官か…自衛官とか?」
「えっと…逮捕されちゃった方です!」
「…なるほど。後ろの貴女は?」
そう言われ、答える。
「私も同じです」
「ふーん…それにしては引き締まった身体してるけど。警察官か何かに見えるわ」
…舐めるような目で見られた。
まぁ…見てくるだけなら構わないのだけれど。
「私の名前は淀川亜美。こんなんだけど刑務官をやってる。貴女達は?」
「…塔崎雫、17歳。殺人罪で服役中」
「西園寺華音、18歳!えーと…殺人罪と…現住建造物等放火罪かな…で、服役中」
華音が…殺人と放火?
「ふーん、まぁ…どうせ数年間は一緒だろうし、よろしく」
そう言い突き出された手を華音は嬉しそうに握った。
その後、お風呂から上がった華音と雫は髪を乾かし、替えの服を着て、近くにあるらしい無料のコインランドリーに行った。
…それはそうと…無料のコインランドリーという存在において、コインランドリーという呼称は正しいのだろうか。フリーランドリーとか…そういう名前に…いや、どうでも良いか。
「便利な時代になったね!」
「ここが変わってるだけだと思うよ」
着ていた服や下着なんかをドラム式洗濯機に放り込んで、『スタート』を押す。
景気よく服達が回り始めた。
「わ〜」
私が長椅子に腰掛け、待機している間も、華音は回っている服達を面白そうに眺めていた。
「…そんなに面白い?」
「えっと、うちはドラム式洗濯機とか無かったから?」
「……なるほど」
よく分からないけど、多分華音にとってドラム式洗濯機は珍しいものなのだろう。
その後、カゴの代わりらしい大きめのポリ袋に洗った洗濯物を入れ、持って帰った。
私と華音はベッドに倒れ込んだ。
…よく考えてみれば、今日はたくさんのことがあった。
朝逮捕されて…かと思ったら旧東大に入れられて、廃墟を探し、雑な昼ごはんを食べ……うん?そういえば夕食がまだだ。
「華音、ここって夕食とかあるの?」
「あるよ〜…雫、お腹すいたの?」
「別に。ただ確認しただけ」
華音は身体を起こし、ピッとテレビをつけた。
『___渋谷区より中継です!現在この先にあるスクランブル交差点では、『リトルグリーンメン』を称する暴徒が無差別に一般人を殴打しており、機動隊が……あ、今我々の目の前に機動隊…第1機動隊と見られます、それが展開しております!』
……は?




