6.刑務所の不味いご飯………?
「ここだよ〜」
華音に案内されて、入口付近の真新しい建物に来た。
コンクリート製で簡素。中を確認すると数人の刑務官と、私服の人間が頬杖をついたり、怠そうに頭を掻きながら食事を摂っていた。
…なんだか…食堂っぽいけど…肝心のキッチンがない。
華音に続いて中に入ると、刑務官のうちの一人に手招きされた。
「早いな新入り。好きなもん選べ」
そこにはたくさんの袋と、たくさんの缶詰…そしてペットボトルが置かれていた。
「ここの食事よく分かんなくて、たくさんの缶詰と、ファストフードとかコンビニのご飯とか色々混ざってるんだよね」
華音は微笑んで紙袋とコーラのペットボトルを1つ掴んだ。
私は同じように紙袋とコーヒーのペットボトルを1つ掴んだ。
…華音のより大きめな印象がある。
何となく華音に続き、向かい側の席に座った。
華音は紙袋を開けた。
彼女がニコニコと嬉しそうに中から取り出したのはハンバーガーだった。
私も袋の中を開ける。
そこにはLサイズのポテトが2個入っていた。
…これが昼食ね。
そう心の中で呟きながら、取り出した。
「…!ポテトじゃん!ね〜雫、私のハンバーガー半分とポテト1個交換しない?」
そう言う華音は私の返答も待たず、ハンバーガーを包装紙ごと真っ二つに裂いていた。
「良いよ」
別にそんなポテト食べたい訳でもないし
ポテトとハンバーガーを交換し、食べた。
ハンバーガーの方が味がまだ単調じゃないし、マシに感じた。
華音はコーラとハンバーガーとポテトを三角食べしていた。
…健康もへったくれもないが。
私は一通り食事を食べ終え、ゴミを紙袋にまとめ、ペットボトルのコーヒーを飲んだ。
…一向に減らないし、持っていこう。
「…塔崎さんいますか?」
女性刑務官が1人、食堂に入ってきて、そんな風に言った。
私は手を挙げた。すると彼女はこちらを向いて、近寄ってきた。
「塔崎さん…あ、西園寺さんもいらっしゃる…泊まる場所はもう決めましたか?」
「はい。法学部3号館の二階のスペースを使おうかなと」
私は答えた。
「あ、えっと…私もそこを使おうかなって」
華音はそう続いた。
『そんな話聞いてない』と華音に顔を向けると、華音はニコッと笑った。
…どういう意図?
「わかりました。今日中にトラックで最低限の家具類を運びますね。あと水道設備と電気設備も一応最低限の工事で通せるようにしていますから、今日中には供給を始めておきます」
この刑務官は…かなり親切だ。こういう接し方をされると、なんだか心を許してしまうような気がする。
私が頷いてみせると、刑務官は微笑んで、軽く会釈してどこかへ行こうとして、最後、足を止め、振り返って口を開いた。
「ああ…実は法学部周辺に人は住んでないので…夜は安心して声を出してもらって良いですよ」
小声で、ニヤニヤとしながらそう言った。
……………?




