28.J-GEIA強制捜査①
私と華音は、淀川から車内で特殊警棒と長い結束バンドを貰った。
「殺しちゃダメだし、自分から手を出すのもダメ。特に雫は気をつけて」
そう言われた。
私は答える。
「…近づいてこなければ殴りませんよ」
「うーん…じゃあ、できるだけ人に近づかないで」
「それなら…わかりました」
淀川は安堵のため息をついた。
「…ところで、一斉捜査と聞きましたけど、私達は数件見るんですね」
私は気になっていたことを口にする。
「ええ…一斉捜査と言っても、公安案件だから人員が圧倒的に足りないのよ。それに、あまり大々的に動くことはできないし…『偶然、そうなった』程度を装う必要がある。まぁ…相互に連絡を取られたらあちらに一斉捜査であることはバレるだろうけど」
私達6人はJ-GEIAの拠点とされる建物の前に立っていた。
その建物はかなり重厚で、コンクリート建築が目立つ二階建ての綺麗な住宅のようだった。
淀川に頼まれたので、警察手帳を手に持った上で、インターホンを鳴らす。
…まぁ…他は、プリン頭に、クマのある刑務官に、ツインテールに、大男に、自衛官らしき男…なんて感じだから、自然と私になるか。
「すみません。元富士警察署のものですが…通報がありまして。こちらの建物の内部を念の為確認させてもらえませんか?お時間は取らせませんし、あくまで形式的なものですから」
私は澄んだ平坦な声でそう言う。
インターホンのカメラからは私と淀川しか映らないようになっているので、多分相手は『女警官2人』と判断するだろう。
数秒を置いた後に、返答が返ってきた。
『わかりました。お勤めご苦労様です』
野太い男の声だった。
ガチャッと扉から鍵が開く音がした。
茨木は口笛を吹いた。
淀川の指示で、素早く全員が建物内部に侵入する。
中は普通の住宅を改造したかのような印象を受けるものだった。
…もしかすると何か…事故物件でも買い上げ、安く拠点を作っていたりするのかもしれない。
まぁ…妄想なのだけど。
玄関に上がると、2階から男が降りてきた。
茨木ほどでは無いが、それなりに大きい男だ。
「ああ…………土足で構いませんよ」
そう言う男も、履いているのは普通の靴だった。
言われた通り、土足で家に上がる。
私達は目配せをしあって、無言で三班に分かれた。
淀川と自衛官、北原と茨木、そして華音と私。
どのチームにも一応戦闘要員が入っているので、各個撃破される可能性は低いだろう。
…相手の人数と練度が想定を上回るものなら、この限りではないが。




