25.機を待っていたかのように
私と華音がゲームをしていた時のことだった。
『国民の保護に関する情報
避難該当区域:東京都、千葉県、神奈川県。
テロが発生。自宅にいる人はそのまま待機してください。外出している人は地下鉄等に入って危機を回避してください』
そんなスマホの通知が飛んできた。
咄嗟にテレビを付ける。
各チャンネルが警視庁、神奈川県警察本部、千葉県警察本部を映しており、それぞれの建物の近くには黒煙が立ち込めていた。
一部の建物が崩落していたりもする。
テロップには『警視総監、重傷。政府は自宅待機を指示』と書かれていた。
…終息を宣言した直後にこれ?
「___中継の更畑です!ただいま東京都知事が非常事態宣言を出し、東京都内における外出自粛を呼びかけました!また千葉県知事、神奈川県知事もそれに続き、三都県が非常事態宣言を発している状況です!都民、県民は不要不急の外出を行わないでください」
「__現在、警察庁前におります!中継の片牧です!只今より警察庁は今回の事件を『広域重要指定事件第125号』に指定すると発表しました!」
片牧は誰かに言われたのか咄嗟に振り返り、中継を続ける。
「…今、地下駐車場から数台の車両が…警察庁長官でしょうか!?長官車と思しき車両が……内閣府方面へ向かっています!」
言葉の通り、5台の車が車列を組んで内閣府方面へ進んでいる。
「あッ!そんな!」
次の瞬間、車列の真ん中に当たる3台目の車両にバイクが突っ込んだ。
バイクの運転手は途中で飛び降り、制御されていないバイクの車体が車の横っ腹に突き刺さる。
「襲撃です!たった今長官車と思しき車両にバイクが___」
テロップは咄嗟に切り替わり、『警察庁長官負傷か。内閣府へ向かう途中』
…そんな馬鹿な。
車列は一台が大破しようと構わず内閣府の方へ向かう。
先程よりも速度を上げて。
次第に警察官らしき背広や私服姿の男女がゾロゾロと走ってきて、3台目の車両の消火と救命行動を始めた。
片牧アナウンサーは、いてもたっても居られないと言った雰囲気を出し、カメラを数度見たあと、マイクと原稿が書かれていると思しきボードを置いて、車の方に駆けた。
「___片牧_す!__手伝えること___か」
マイクは微妙にまだ音を拾っていて、そんな声が聞こえてきた。
中継が終わる。
「…速報が入りました。総理大臣は先程、国家安全保障会議を召集し、速やかな事件解決を目指すと発表しました___」
…たった3日でこんなに世界は変わるものなのか。




