22.裏にて
ご機嫌よう読者諸賢。
こちらは雫視点ではないエピソードとなっております。
…雫視点では現状明かされないような点も含まれておりますので、雫視点で楽しみたいという方は飛ばしていただくと良いと思います。
ただ、総合的に物語を楽しんでいただくために必要かと思いまして。
今回の話に関係ないフレーバー要素も含まれているので、分からない部分があっても…あまり深く気にする必要はありません。
とある警視は報告書を読んでいた。
『淀川亜美 (26)
元警視庁公安部。
所属は『公衆衛生課』で、元は最優秀とも言える作業班員だった。
『公衆衛生課』とは警察庁警備局公安部傘下の作業___』
警視は『公衆衛生課』の説明を読み飛ばした。
何せ彼も元はそこで勤務していたのだから。
『___彼女は計2,000万を横領し、懲戒免職処分となった。
その原因は、事故により重傷を負った弟と妹の手術費用の支払いのためだったと後に判明。
現在は弟が死亡。妹が入院状態にあり、彼女は逆恨みをしているかもしれない』
…彼女に限って、そんなことは無いだろう。
それに今は、前よりもずっと稼ぎの良い『旅団』に勤務している。
「警視、報告です」
噂をすればなんとやら。
主語を省略しているということは多分、『旅団』のものだろう。
「すまんな」
部下にそう言い、書類を受け取る。
それは通話内容の写しと2枚の画像だった。
『淀川:おーいハムハム〜、ゲームで武器庫を確認したんだけど、"ノース・ゴールド"クランの連中が旗置いてたんだよね。"アウトサイダーズ"と同盟組む羽目になりそう。
鴨田:わかりました。スクリーンショットの方は?
淀川:もちろんあるよ。後で送るね。
鴨田:元クラン長にも報告をあげますけど、よろしいですか?
淀川:はーい。でまあ、追加でチーバくんに回収して欲しいアイテムがあってさ。
鴨田:なんでしょうか?
淀川:なんかね…筒かな?とりあえず画像送るから確認よろしく〜
鴨田:了解しました。
淀川:あ〜最後に、『佐々木夏子』とかいうフナバシのプレイヤーを調べて欲しいかも。荒らしの疑惑があるからね
淀川、電話を切る。通話終了』
下には2枚の画像…1枚目は『朝鮮人民軍の旗』で、2枚目は『異様に大きく長い筒』だった。
彼女はこういう『即興』が得意なタイプだ。
彼女のかつての相棒、鴨田はそれに合わせるのが得意だ。
ただ…警視はゲームに疎い。
娘によく誘われるのだが、普通に娘よりもゲームが下手だ。
「…鴨田、いつも思うんだが…何故訳してくれない?」
「規則上、上司には原文そのまま渡すよう言われてますので」
…彼女なら普通に訳したものをくれただろう。
まぁ…そんな柔軟で規則に縛られない姿勢が横領に繋がったんだろうが………公安部にはカタブツしかいない。
マシな鴨田だって規則には絶対服従という感じだ。
…本当、ため息しか出ない。
「とりあえず、朝鮮人民軍の件で外事への捜査協力要請が必要な可能性が出てきたのと、千葉県警警備部に何らかの物品の押収を任せたいということはわかった。あとこの佐々木というやつについて調査が必要なことも」
「はい」
「全て許可しよう。私の名義で公安部長と警備局長に報告書を上げておいてくれ」
「了解しました」




