17.高度な尋問
本郷駐屯地、尋問室。
私は男を椅子に押し付け、華音はナイフを使いつつダクトテープを剥がし、結束バンドで椅子に四肢を括り付けた。
男は意識が朦朧としているようで、瞼を閉じていた。
「いい?絶対殺さないでちょうだい。面倒ごとにはしたくないから」
淀川は男に聞こえない位置で、小さい声で私達にそう言った。
「わかりました」
「はーい」
その言葉を聞いて、淀川は髪を掻きながら、部屋を出ていった。
…この部屋にいるのは男と、華音と、私だけである。
「じゃあ、始めよっか!」
華音はバケツに水を汲み始めた。
私はハンマーを用意しつつ、男を監視する。
華音はバケツで男の顔に水をバシャッと掛けた。
「ブハッ……!」
「目、覚めた?」
「ヒッ!ママ!助け___」
イラッ
「グァ"ァ"ッ…!!」
…つい、思いきりハンマーで右手を殴ってしまった。
コイツが母親に縋ったせい。
私に母親の存在をさらけ出してきやがったせい。
息を吐く。
「……で、あなたの名前は?」
苦痛に顔を歪ませながら、呻くだけ。
もう一度打っても良いかもなと思い、構えると、男はパクパクと数度口を開閉させた後、声を上げた。
「ハ、畑中!畑中泰輔ッ!」
「ふーん…まぁ信用する気は無いけど」
畑中、なるほど。
スマホを開き、メモで名前を打つ。
「文字はこれで合ってる?」
適当な変換をして、見せると、必死そうに頷いた。
…まぁ、良いや。
『畑中泰輔 (仮名) 』…と。
華音がうずうずしていたので位置を交代した。
手にはタオルと水入りバケツがあった。
「ね〜、スマホとか持ってないの?」
華音のその言葉に、畑中はビクッと震えた。
「は、はい!持ってます!左のポケットです!だ…だから…や、やめて…」
…金髪女子に何かトラウマでもあるのかもしれない。
それと、身体検査をしていなかった自分の甘さに気づいた。
華音と共に、畑中のスマホを見る。ロックは畑中の指を使って解除したあと、設定で無しにした。
中には連絡用のアプリや、キラキラした女の子がアイコンのソシャゲ、その他よく分からないアプリ類が入っていた。
「ッ…本当は置いてこいって言われてきたんだけど……その…ゲームの周年イベントがあって」
畑中は私達が何も言っていないのに、そう口走った。
とりあえず匿名性が高い事で有名な海外の連絡用のアプリを開く。そこには『lgm』と書かれたチャットがあり、幾らかスワイプしていると、『武器集積拠点』の住所があった。
私と華音は顔を見合せ、口角を上げた。
早速、報告しよう。




