16.お土産
私と華音は歩いた。
男は最初、幾らか抵抗していたが、その度に男の身体を地面に落下させていたら、大人しくなった。
規制線をくぐって、淀川の車に乗り込む。
男は車の荷台に放り込んでベルトで固定しておいた。
淀川は窓を開け、気怠そうに煙草を吸いながらスマホを見ていた。
「刑務官さん!証拠見つけてきたよ!」
華音が笑顔で淀川にそう言うと、淀川はタバコを捨て、スマホをしまってニヤッと笑った。
…路上にタバコを捨てるのは流石に良くないと思うけど。
「…それは良いね。で、その証拠って?」
私と華音は車に乗り込む。
そして私は説明のために口を開いた。
「男を捕まえてきました」
その言葉で淀川は固まった。
「えっ…」
「勿論、死んでませんよ」
「いや、そういう問題じゃなくてさ?」
「さぁ〜しゅっぱーつ!」
華音はシートベルトをして、右手をあげた。
「…貴女たちもそういえば凶悪犯だったわね」
淀川は顔を伏せた後、諦め顔で、前を向いてペダルを踏んだ。
向かう先は警察庁らしい。
淀川は片手で運転しながら何やら電話をしていた。
私は華音としりとりをしていた。
「ん…もも」
「もり」
「……んーと、リスト」
「トレー」
「んー……エミュー?」
「うみ」
「んんーと…みかん!」
華音はいつも『み』で『みかん』と答えてアウトになる。
「…2人とも、これからどうする?」
電話を終えたらしい淀川がミラー越しにこちらを見てくる。
私と華音は同時に口を開いた。
「男を監禁して、痛めつけましょうか?」
「んー…男の膝の皿でも割る?」
考えていることは似ているらしい。
…情報を割り出すための拷問である。
淀川は目頭を押さえた。
「とりあえず、サッチョウに報告上げたから、今日は撤収。男はこちらで『情報のための高度な尋問』を行うようにって言われてる」
…なるほど。
『情報のための高度な尋問』…まぁ、流石に警察官がそんなことをやっていたら問題になるだろうし…そういうのを担当するのも旅団の仕事なのかな。
そんなこんなで、男一人を確保して、本郷駐屯地に帰還した。
私は男を担ぎ、駐屯地の中に入る。
「充電するから外すね〜」
そう言って淀川は私と華音のチョーカーを外した。
そのまま、奥の部屋に通されたので、中に入ると、そこにはノコギリとか、ペンチなんかの工具が置いてあった。
そして鉄製の椅子がひとつ。水道が通っていて、タオルや…長い結束バンドなんかもある。




