10.朝食と初仕事?
朝起きると、華音は私の身体に絡みついていなかった。
というか…ベッドの上にいなかった。
身体を起こし、辺りを見渡すと、昨日のコーヒーの残りに水を足し、火にかけている華音がいた。
華音は私と目が合うと、ニコニコと微笑んだ。
「朝のコーヒーは暖かい方が良いでしょ?」
…まぁ…確かに、昨日のをそのまま飲むより衛生的にマシだし、温かいものの方が落ち着く。
ベッドから出て、華音の隣に座る。
朝から元図書室で焚き火…もちろん窓は全開で、朝の冷たい風が少し気持ち良い。
……汗の匂いがする。
朝から銭湯がやっていたりしないだろうか。
「朝も銭湯やってるよ。刑務官で、夜勤明けの人が入ってるのを見たことある」
華音は私の心の中を察したらしく、そう言った。
「…なんでわかったの?」
「んー…なんで…って言われても……えっとね、雫が自分の着てる服を摘んでクンクンってしてたから!」
…なんだ、また心を読まれたのかと思った。
そういうわけで、2人で朝から銭湯に行くことにした。
「私が髪洗ってあげよっか!?」
私たち以外誰もいない脱衣室で、華音は元気よくそう言う。
…冗談か本気か分からない。
「いや、良い」
そう断ると、華音は身体全体で悲しみをアピールしてきた。
…ダメなものはダメだ。
自分のことはちゃんと自分でやりたい。
「私が華音の髪を洗うのはどう?」
そう聞くと、華音は嬉しそうに何度も頷いてみせた。
…数十分ほど後。
2人は湯からあがって、そのまま朝食を摂ることになった。
「朝ごはんは割と軽めだよ!」
華音が言うように、朝食に用意された袋は昼食の時よりも小さかった。
ただ、朝はコーヒーメーカーやドリンクバーなんかが置かれていて、飲料類が充実していた。
雫の取った袋にはツナマヨおにぎりが入っていた。
華音の取った袋にはハッシュドポテトが入っていた。
華音はツナマヨのことを見つめていた。とても欲しそうにしていた。
「…交換する?」
「うん!!」
2人が朝食を摂っていると、いかにも偉い人っぽい自衛官が出てきた。
「諸君、本日警察庁警備局より人員派遣の要請があった。2人分の枠がある。有志を募りたい」
そう大きな声で言う。
…と、刑務官…昨日の夜に銭湯であった淀川がそちらの方に行って、何かを耳打ちした。
その目はこちらに向いている。
自衛官は私たちのところに来て、口を開いた。
「君達に仕事を任せたい。構わないかな?」
別に断る必要性も感じられないので、頷いてみせた。
淀川は隣でニタニタと笑っていた。




