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コモスタクト ―星々を結ぶ意志―  作者: パンチャー
第4章 第一次ウラニア会戦 後編
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イヴリスの決断

中央評議会にて、ソラリオンの脅威の対処についての会議が行われている頃――。

 アストレオンでは成功すればさらに国力を強大化させる、とある計画が着々と進行していた。

 イヴリスの併合。

 なぜ、サーモンたちはイヴリスの併合へと舵を切ったのか?

 その要因は大きく分けて2つある。

 1つは、国家としてのイヴリスの著しい衰退。

 そして2つ目は、更なる国力増強を図りたいというサーモンたちの野望。

 そのふたつが重なった結果、併合という計画が生まれたのである。

 アストレオンは、直ちにイヴリスに対して通告を発した。


「アストレオンはイヴリスに対し、多大なる経済・軍事援助を行う用意がある。――ただしその見返りとして、我が国の一部となってもらう」


 それは援助などという生ぬるい言葉で覆い隠された、実質的な「無条件降伏の勧告」であった。

 いまのイヴリスに、それを跳ね返す力はない。

『イヴリス動乱』の際、中央評議会によって拡散された虚偽の情報は、国内に激しい疑心暗鬼を生んだ。疑心は過剰な粛清を呼び、多くの優秀な人材が失われた。


 その影響は瞬く間に表面化し、現在のイヴリスは経済・軍事ともに衰退の一途を辿っている。

 国家の崩壊が目の前に迫るイヴリスにとって、アストレオンからの援助は喉から手が出るほど欲しい救いの手であった。

 ……その受諾条件さえなければ、の話だが。

 イヴリス上層部にも、拒絶という選択肢がないわけではなかった。

 だが、彼らにはそれができなかったのだ。

 先の大戦――ソラリオンとの戦いでアストレオンが見せた圧倒的な武力を、彼らはこの目で見てしまっていた。


「もし拒絶すれば、即座に武力行使へ踏み切るだろう」

 上層部が怯えと不全感に苛まれていた、まさにその夜のことである。

 深夜に主要な政府施設が一夜にして占拠されるという大事件が発生した。


 首謀者たちは、プレイヤーなどではない。

 ただただ、腐敗し切った今のイヴリスを変えたいと切望する、生粋のイヴリス市民や兵士たちであった。

 異常事態に気づいた上層部は、慌てて鎮圧命令を下した。しかし、時すでに遅し。主要施設と通信網は完全に制圧された後だったのだ。

 旧体制の上層部は即座に更迭・拘束され、ここに新たな政府が誕生することとなった。


 数日後――。

 大勢の市民が固唾をのんで見守る中、壇上に立ったフラン・ドルーズは、静かに、しかし力強い決意を込めた声を響かせた。

「私は約束しよう! この国に生きる一人一人が、豊かで余裕のある生活を送れるようにすることを!」


 一拍の間の後、フランは聴衆を見渡し、強く拳を握りしめた。

「そのためならば、私はこの命を懸けて、絶対に成し遂げてみせる所存である!」


 静寂が街を包み込んだ。

 そして次の瞬間――それは爆発的な歓喜と、未来への大きな期待が混ざり合った地鳴りのような歓声へと変わったのだった。

 決意を固めたフラン・ドルーズの行動は速かった。

 新体制の首相として、すぐさまアストレオンに対して「会談」の打診を行ったのだ。

 アストレオン側もまた、この申し出を即座に承諾。

 こうして、アストレオンとイヴリスの国境付近にて、両国の未来を決定づける歴史的な会談が執り行われることとなったのだった。

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