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コモスタクト ―星々を結ぶ意志―  作者: パンチャー
第3章 第一次ウラニア会戦
33/34

外縁での異変

ウラニア星系、外縁部。

 ソラリオン帝国の偵察艦は、漆黒の宇宙を静かに滑走していた。目的はウラニア星系の実態調査。現状、ソラリオン帝国はウラニアを「中央評議会」という名の単一国家であると認識している。アストレオンやクアドリカといった国家の情報は、帝国側の諜報網にはまだ届いていない。

「……妙だな」

 偵察を指揮する隊長アヒージョは、操舵席で眉間に深い皺を刻んでいた。

「隊長? 何か問題でも?」

「いや……迎撃が皆無だ。想定していた防衛網すら存在しない。ひょっとして、この宙域を守る戦力すら枯渇しているのか……?」

 アヒージョの読みは、ある意味で正しかった。しかし、事態は彼らの想像を遥かに超えて動いていた。

――――――――――

 同じ時刻。ウラニア――中央評議会本部。

 ソラリオン偵察艦の接近を、防衛システムが捉えた。

 動乱の爪痕は未だ深く、機動艦隊の稼働数は万全とは言いがたい。しかし、懸命な突貫修理の甲斐あって、戦力は旗艦1、機動戦艦4、巡洋艦8、駆逐艦20まで回復していた。

「司令! 留まっていた対象が外縁部に接近! 敵性反応を確認しました!」

 オペレーターの鬼気迫る報告が司令室に響く。

 総司令官テミス・アレクシスは、冷徹な瞳でモニターを見据えた。

「そうか。迎撃を開始する。ただちに機動艦隊を緊急発進スクランブルさせよ。旗艦『セレス』を中核とし、随伴する駆逐艦『ヘルジュガー型』3隻による迎撃編成を組む。即時だ!」

 号令と共に、中央評議会を守るという固い意志が艦内に充満する。わずか15分という短時間で、4隻の迎撃艦隊が星系外縁部へ向けて放たれた。

――――――――――

 ソラリオン偵察艦内。

「隊長! 中央評議会側から迎撃艦隊が発進! 我々を捕捉に来ました!」

「……来たか! 到達予想時間は!」

「約45分! このままでは接触されます!」

「致し方あるまい。最低限の観測は完了した。これより本国へ帰還する!」

 アヒージョが帰還の命令を下した、その時だった。

 第5惑星の地殻が、まるでメロンを叩き割ったかのように宇宙空間へ飛散した。

 物理法則を無視した加速で、未知の巨体が星系外縁部へ躍り出る。わずか30秒。惑星から現れた「鋼の怪物」が、偵察艦の目の前に立ちはだかった。

 SCP-2399。

 艦内の警報が、聞いたこともないような不協和音を響かせる。

 通信回線がジャックされ、脳を直接蹂躙するような無機質な信号が叩きつけられた。

『[システム警告:命令コード……再定義完了]』

『権限認証:アストレオン。……我が主を認識』

『友軍艦艇の特定を優先。敵性排除ターゲット:ソラリオン偵察艦を感知』

『……排除を開始する』

「な、なんだこれは……っ!?」

 巨体から放たれたのは、熱量でも衝撃でもない。周囲の分子構造を強引に分解し、物質を霧散させる「崩壊波」だった。

「――っ! 直撃を回避せよ! 全推力を最大に!」

 装甲が砂のように崩れ落ち、右舷エンジンが火を吹く。航行システムが断末魔を上げる中、アヒージョは死に物狂いで緊急ワープ・ブーストを起動した。

「全パワーをエンジンへ回せ! ここで沈むわけにはいかない!!」

 光の粒子が艦を包み込み、偵察艦は辛うじてその「死の領域」から跳躍ワープで離脱した。

 そのわずか数秒後。

 戦場に中央評議会の迎撃艦隊が到着した。

 彼らが見たのは、何者かが跳躍して消え去った歪んだ空間と、惑星を破壊し尽くし、絶対的な威圧感を持って宙域に鎮座する「鋼の怪物」の姿だった。

「……観測データが、正しいというのか」

 旗艦セレスの艦長は、震える手でコンソールを握りしめた。

 目の前にいたのは、人類が束になっても敵いそうにない――神のごとき破壊者だった。

本作には「SCP財団」のコンテンツ(SCP-2399等)の概念や名称を使用しております。

これらは「クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 (CC BY-SA 3.0)」ライセンスに基づいて提供されています。

SCP財団公式サイト:http://scp-jp.wikidot.com/


SCP-2399 故障中の宇宙戦艦

http://scp-jp.wikidot.com/scp-2399

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