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コモスタクト ―星々を結ぶ意志―  作者: パンチャー
第3章 第一次ウラニア会戦
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アストレオンの転換期

 ウラニア星系外縁部での異変から数刻が経過し、アストレオンにはウラニアにいる大多数のプレイヤーが集結しつつあった。

その数、200万人であった。

 場所を執務室へ移したサーモンのもとに、一人の報告者が飛び込んできた。


「サーモン陛下、カーディナル・ネストにプレイヤーが200万人集結しました!」

「……は? 桁を間違えていないか? 本当に、そんな数字なのか?」

「間違いありません! 本当に200万人が集まっています!」

 サーモンは拳を握りしめ、その圧倒的な数に驚愕した。

「その集団に代表はいるのか?」

「ええ、おります。代表の名は『烏龍』とのことです。謁見されますか?」

「ああ。何が目的でここへ来たのか、直接確かめねばならない」

 サーモンたちは即座に執務室を出て、烏龍が待つ待合室へと向かった。

 部屋へ入り、烏龍の正面にあるソファーへ腰を下ろす。

「失礼するぞ。いきなりだが、本題に入らせてもらうぞ、烏龍よ?」

「ええ、構いませんわ」

「どういう目的があって、アストレオン……いや、このカーディナル・ネストに200万人もの途方もない人数を集めたんだ?」

 サーモンは、少し強めの口調で問い詰めた。

200万という力は劇薬にもなり得る。その真意を見極める必要がある。

「サーモン陛下がお聞きしたいことは二点でしょう? 『何が目的か』、そして『どうやってこれだけの人数を集めたのか』……ですね?」

「ああ、その通りだ」

「大前提として、アストレオンの行動や信念に賛同したのが根底にあります。そこから軍事を重視するものや、産業に興味があるものといった人々が集まってきました。私は軍事寄りですわ」

「なるほど。基本的には我々の信念に共感し、それぞれの得意分野で力を貸したいということか」

「その認識で問題ありませんわ」

「そして、200万人という人数については?」

「私が人為的に集めたのではありません。一人一人が、何か力になりたいと願い、行動した結果です。結果として、この人数になった……そうとしか言いようがありませんわ」

 サーモンは烏龍の言葉に嘘がないことを確信した。

「我々が聞きたいことは以上だ。歓迎したいところだが、一つ、大きな問題がある」

「それはどのような問題かしら?」

 サーモンは申し訳なさそうに、重苦しい口調で語った。

「今現在、遥か遠い彼方から、我々よりも高度な文明を保有する勢力が侵攻してくると踏んでいる」

「それは確かな情報ですの?」

「ああ。根拠となる事態が、数時間前に起こった。ウラニア星系外縁で、中央評議会の艦隊が未知の軍艦と遭遇したのだ」

「遭遇……ということは、艦隊は相手の素性を特定できたのですか?」

「いや、我々も知っているかもしれない……いや、知る由もない代物だ。第5惑星で物理法則を無視した挙動で未知の物体が出現し、歪んだ空間を伴って軍艦が現れたと聞いている」

 烏龍は『物理法則を無視する』という言葉に、ある都市伝説を思い浮かべ、背筋が凍るような感覚を覚えた。

「…………もしかしてですが、それは『SCP-2399』ですか?」

 その言葉に、サーモンたちは驚愕した表情を隠せなかった。

「……SCPという概念は有名だが、まさか識別番号を言い当てる者がいるとは!そして、なぜ、SCP-2399だと思ったのだ?」

「まず、惑星内から現れた軍艦であること。そして資料によれば、本来のSCP-2399は『故障中』だったはずですわ。それが動いたということは、運営か、あるいは未知の文明…もしくは過去の文明が何らかの理由で再起動を仕向けた可能性があります」

「確かに。しかし、SCP-2399は人類に対して極めて敵対的だ。中央評議会の艦隊が見たものが真実なら、彼らは敵として殲滅されたはず。少なくとも、我々に敵対的である可能性は限りなく低い」

「それを踏まえると、SCP-2399に酷似した物体であると考えたほうが良さそうですわね。それに、SCPに酷似した何かがこの宙域に潜んでいる可能性もあります」

 サーモンは深く頷き、視線を真っ直ぐに向けた。

「そう考えるのが妥当だろう。さて、烏龍。代表として聞く。アストレオンに参加する覚悟はあるか」

「そして、200万人のうち8割を軍人として採用することに異論はないか。……これは厳しい道になるかもしれないが」

「アストレオンへの参加に問題はありませんわ。軍人採用の件も……他のプレイヤーへの確認は必要ですが、彼らは皆、高揚する戦いを求めています。……問題ないはずですわ」

 サーモンと烏龍の会談から数日後。

 これから数多の戦場で歴史を刻むことになるプレイヤー軍団――いや、烏龍軍団、総勢160万人の創設が決定した瞬間であった。

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