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第2話「月影の三年間」

第2話「月影の三年間」

――七星紛争終結。

光国への侵攻。

七星を巻き込んだ紛争。

謎の特級MAS部隊の出現

それに対抗する各七星のSA

この事変をきっかけに七星は停戦協定締結


その裏側で。

アルカディアは暗躍を続けていた。

そして。

ノクティス帝国首脳部も。

その異変に気づき始める。

「アルカディアの動きが不審だ」

「クロウ率いる秘密部隊を確認」

「……ならば」

命令が下される。

「殲滅せよ」

ノクティス帝国軍が動く。

標的は。

クロウ。

レイ。

ミサキ。

そして。

秘密部隊。

だが。

彼らは。

特級クラスと上位クラスで編成された精鋭だった。

「包囲網、突破する」

クロウが命じる。

「了解!」

レイが応答。

「右は私が!」

ミサキも動く。

クロウの指揮のもと。

部隊は敵の包囲を容易に抜ける。

そして。

アルカディアへ帰還した。

その後。

ノクティス帝国に残された研究データの一部が。

やがて七星連合側へ渡る。

それを基礎として。

後に――

ネオ・ノクティスシステム

が完成することになる。

それは。

後の戦争で。

新たな力となる。

---

そして。

七星紛争停戦から

アルカディア財閥が独立企業国家宣言

これを危惧した七星は連合締結をむすび

七星連合独立外苑部隊設立を宣言

三年間。

お互いは冷戦状態となり、

互いを牽制し、ときには国境付近での小競り合いの紛争も起きていた。

この三年間。

ミサキは。

一つの開発にすべてを賭けていた。

オルトロシステム。

ノクティスシステムを超える。

次世代の遠隔兵装。

しかし。

開発は。

何度やっても成功しない。

「また失敗……」

研究結果を見る。

遠隔兵装が破損。

魔力制御が不安定。

パイロットへの負荷も高い。

「……もう一度」

「ミサキさん、今日はもう――」

「もう一度やらせてください」

ミサキは譲らなかった。

---

一方。

レイは。

ノクティスシステムの運用試験で成果を上げていた。

「適合率、安定」

「戦闘データも良好」

「素晴らしい結果です」

その報告を。

ミサキは何度も聞いた。

「……またレイ」

幼い頃から。

いつも一歩先にいた。

そして。

今も。

「……私は」

拳を握る。

「また……負けるの?」

悔しい。

苦しい。

それでも。

諦められない。

---

そんなミサキを。

クロウはいつも気にかけた。

「まだ研究室にいたのか」

「……クロウ様」

「休め」

「でも……」

ミサキは俯く。

「レイに追いつきたい」

クロウは静かに答える。

「お前は、お前だ」

「レイと同じになる必要はない」

「……でも」

「俺は、お前を評価している」

ミサキが顔を上げる。

「本当ですか?」

「ああ」

クロウは笑う。

「お前ならできる」

その言葉が。

ミサキの心を支えた。

---

だが。

クロウの中には。

すでに別の意識があった。

闇影。

その存在は。

ミサキの忠誠心を知っていた。

そして。

その忠誠心を利用し始める。

「レイは優秀だ」

「でも――」

言葉が少し変わる。

「お前は俺に必要だ」

ミサキの目が揺れる。

「……私が?」

「ああ」

「お前だけが、俺の望みを理解している」

「クロウ様の望み……」

「そうだ」

ミサキは。

その言葉を疑わなかった。

「クロウ様のためなら……」

「何でもする?」

「……はい」

「そうか」

少しずつ。

闇影は。

ミサキの心に入り込んでいった。

優しさ。

承認。

必要とされているという感覚。

それらを与え続ける。

やがて。

ミサキにとって。

クロウ様に認められることが。

何よりも大切になっていく。

---

レイは。

その変化に気づいていた。

「……ミサキ」

「何?」

「最近、少し変」

「そう?」

「クロウ様の言葉を、全部信じてる」

ミサキは笑う。

「当たり前でしょ」

「クロウ様は、私を必要としてくれてる」

レイは黙った。

胸の奥に。

強い違和感がある。

クロウ様。

確かにクロウ様。

でも。

時々。

そこにいるのが。

クロウ様ではないように感じる。

「……そう」

レイはそれ以上言えなかった。

---

三年。

オルトロシステムは。

何度も失敗した。

ミサキは。

何度も挫折した。

それでも。

クロウだけは。

いつも優しかった。

「大丈夫だ」

「お前ならできる」

「俺は待っている」

その言葉を。

ミサキは信じ続けた。

そして。

ついに。

三年目。

研究員が一つのデータを持ってきた。

「……成功例が出ました」

ミサキが顔を上げる。

「本当に?」

「ええ」

「ただし――」

研究員が続ける。

「まだ試験段階です」

「ノクティスシステム以上の出力を持つ」

「新型遠隔兵装――」

モニターに表示される。

LIGHT ORTHROS SYSTEM

六基の黒紫兵装。

ミサキは息を呑んだ。

「……これなら」

研究員が尋ねる。

「試験を受けますか?」

ミサキは迷わなかった。

「はい」

そして。

小さく呟く。

「クロウ様のために」

---

ミサキのケル・ベロへ。

新型システムが搭載される。

六基の白銀兵装。

ライトオルトロ。

システム起動。

「魔力同期開始」

「パイロット――月影ミサキ」

「適合率――正常」

六基のライトオルトロが。

一斉に浮かび上がる。

紫黒の怪しい光が。

暗い研究区画を照らす。

ミサキは。

その光景を見つめた。

「……綺麗」

通信画面。

そこにクロウが映る。

「よくやった」

ミサキは嬉しそうに笑う。

「……はい」

「やっと……」

「クロウ様のお役に立てます」

その言葉を。

クロウは静かに聞いていた。

そして。

闇影は。

心の中で笑っていた。

---

その日。

一機のMASが生まれた。

MAS-06R《ルナ・ケルベロス》。

月影ミサキ専用機。

六基のライトオルトロを装備した。

ノクティスシステムを上回る。

新世代の遠隔兵装機。

そして。

それは。

七星戦争の最終局面へ向けた。

新たな闇の始まりだった。

第2話「月影の三年間」――完。


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