表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エルフは筋トレ本を拾った。 →聖書として崇めた。→筋力が上がった。  作者: 青桐
1章 筋肉エルフと少女勇者、時々、学者
24/25

桜は嘆息した。

「終わったんですか?」


桜がそう言うと、サマーが答える。


「ええ、おそらく。

……えっ⁉︎ 危ない、ジナード、ツタン‼︎」


切羽詰まった大声を、サマーがあげた。

その言葉で反射的にジナードとツタンは飛びのくが、そのまま倒れていく。


「どうしたんですか⁉︎」


桜には何が起きたかわからなかった。


「まだ、残党がいたみたい。

ダメね、完全に2人とも気絶しているわ」


サマーが首筋に手をあてて、ジナードとツタンの様子を確かめた、


「一体どこから?」


「うん、気絶しているわね。

……ごめんなさい、桜ちゃん。

嘘なの」


サマーは申し訳なさそうに、桜に謝った。


「何がですか?」


「私が眠らせたのよ。

迷宮結晶を採取しないといけないから」


「そういえばそうでしたね。

忘れかけてました。でも、いいんですか? あとで面倒なことになりそうですけど」


「私としては、ジナードたちとエリザベートが相討ちになって欲しかったんだけど、上手くいかないものね。

まあ、予定通りではあるけど」


サマーが手を振ると、コロコロとジナードとツタンが転がる。そして、散らばっている人形の残骸にぶつかって止まった。


「痛そう……。

最初からこうするつもりだったんですか?」


「ええ、見られたくないもの。

でもジナードたちは、私を警戒して本気を出してなかったわ。

私も桜ちゃんも、エリザベートも本気ではなかったし、すごい時間の無駄ね」


「本気じゃなかったんですか?」


「私を見張る人材よ?

それなりに切り札を持っているはずなのに、使っていなかったわ。

エリザベートの方も、仲間を呼ばなかったでしょ?

本体じゃなかったからか、途中から入れ替わったからなのかは、わからないけど、本気では戦わなかった証拠よ」


「そう考えると、茶番、は言い過ぎかもしれないですけど、意味のない戦いだったんですね。たぶん、メロスも本気じゃなかったと思いますし」


「メロス、あれでも本気じゃなかったのね……。まあいいわ。

話を戻すけど、迷宮結晶は大体、500年くらいかけて自然発生するのが普通よ。でも、期待はしないでね。たぶんここでは見つからないから」


「えっ⁉︎」


桜が目を見開いた。

それなら何をしに、ここに来たのかわからない。


「エリザベートがここにいた理由は、たぶん、迷宮結晶を取ることだと思うわ」


サマーは端に折り重なっている人形の残骸を見ながら、呟くようにいった。


「どうしてわかるんですか?」


「この迷宮は出来てから、1万年くらい経っているの。

その間、一度も迷宮結晶は見つかっていないわ。

そのうえ、この階層も未到達。

だとしたら、エリザベート達が継続して取っていた可能性が高いでしょう。

そう考えれば、エリザベートがここにいた理由や、高ランク冒険者がよく消える理由も説明がつくわ」


「そんな、それじゃあ、無駄骨だったってことですね……」


桜は肉体的には疲れてはいなかったが、精神的にはだいぶ疲れた。

そこそこ面倒な状況だ。


「大丈夫よ。

これだけ長い時間をかけてできた迷宮なら、迷宮結晶を作れるだけのエネルギーは溜まっているはず。

全てのエネルギーが結晶化するわけじゃないから、私なら迷宮結晶を作れるわ」


「本当ですか⁉︎ よかった」


桜の顔が明るくなった。

それを見ながら、サマーは予防線を引く。


「エリザベートが余計なことをしてなければ、だけど。

たぶん私が空間魔法で、エネルギーを一箇所に集めれば、理論的には作り出せるわ。

まずはやってみましょう。

メロス、ジナードたちの監視をお願いしてもいいかしら?

起きそうになったら、眠らせて」


メロスは黙って頷き、ジナードたちの元へと移動し、流れるようにジナードの頭を踏みつけた。


「何してんの⁉︎」


桜は驚愕しつつ、メロスにツッコミを入れた。


「起きそうになっていたからな。

寝かしつけた」


「大丈夫?

ジナードさん死んでない?」


桜は本当に心配そうに、ジナードを見つめた。


「我がそんなヘマをするわけがなかろう。

我が筋肉は、安眠にも効く。

ぐっすり眠れ、起きた時には、寝る前より元気になっているはずだ」


メロスは胸を張る。

桜も、落ち着いて考えれば、メロスが無意味に人を傷つけるわけはない。


「結構強めに寝かしつけたつもりだったけど、流石ジナードね。

丈夫だわ」


サマーは桜たちのやりとりを見ながら、ジナードに対する評価を上げた。今度からは、もう少し力を込めて寝かそう。そんな機会が訪れないことを願うが。


「大丈夫ならいいっか。

えっと、サマーさん。

それじゃあ、よろしくお願いします」


桜は頭を下げた。

サマーはそれに、優しく微笑んで頷く。

サマーが手を正面に伸ばし、手のひらを上に向けた。


「出来たわ」


サマーの手のひらに、1センチ程度の大きさの黒光る石が現れた。


「速いですね……。

これなら、エリザベートとの戦いの最中でも作れそう……」


桜の呟きに、サマーが微笑んだ。


「む、気がつかなかったか?

エリザベートとの戦い中に、同じ気配を放っていたぞ。

何をしているかまではわからなかったが、迷宮結晶を作っていたのだな」


メロスが得心したように言った。

桜は、どいつもこいつも緊張感のない戦いしやがってと、少し残念な気持ちになる。

異世界最初の、The 悪役みたいな奴と戦ったのに、全く締まらない。

まあ、そんなにシリアスであってほしいわけじゃないけど。


「さあ、ジナードたちを起こして。

帰りましょう」


その言葉と同時に、メロスがジナードとツタンの背を蹴飛ばした。


「かはっ」「ぐほっ」


2人がゴホゴホいいながら、目を覚ます。


「酷い」


桜は首を振った。


「一体、何が?」


「……」


ジナードとツタンが体を起こしながら、辺りを見渡す。


「油断したわね、ジナード、ツタン。

エリザベートの置き土産を喰らうなんて」


「面目無い」


「……」


ジナードとツタンが頭を下げた。


「安心しろ、我がもう片付けた」


桜は、信用ならない奴らしかいないなぁ、と嘆息した。

お読みいただきありがとうございます。


毎日投稿するつもりだったんですが、なかなか難しいです……。

ホラーを執筆中で、ちょっとこの小説を書く気力が足りませんでした。


とりあえず、毎週4回以上投稿を目標に、執筆していきたいと思います。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ