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エルフは筋トレ本を拾った。 →聖書として崇めた。→筋力が上がった。  作者: 青桐
1章 筋肉エルフと少女勇者、時々、学者

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少女が名乗った。

冒険者だった物が、バラバラ散らばって積もっていた。

桜は迷宮結晶って、どうやって手に入れるんだろうな、と考え始めた。


「人形が全部ダメになっちゃったなぁ。

すごいね。お姉さん。

ただの氷くらいなら、ビクともしないはずなんだけど」


桜たちの背後から、少女の声が聞こえた。

桜たちが振り返ると、少女が首を振っている。

桜は背後にも、氷のやいばを放っていた。

しかし少女は、全く変わりはない姿で立っている。

ドレスにすら破れた箇所はなかった。


「うわぁ。なんかメロスと同じ、何をしても無駄そうな気配を感じる……」


桜は呆れたように言った。

諦めるには早いかもしれないけど、この世界には怪物がいる。ダメそうなら、なんとかできそうな、メロスに丸投げするのが正解だろう。


「嬉しい誤算だけど、容赦ないのね。

桜ちゃんが予想以上に戦えてよかったわ。

さて、あれの相手は、ジナードに任せましょう」


そう言いながらも、ちょっとだけ期待を込めて、首を狙って魔法を放った。


「不意打ちはひどいなぁ。

お姉さん、嘘は罰ゲームだよ」


しかし、少女は一歩下がるだけで避ける。そして、手を叩いた。すると、桜にバラされた冒険者たちの体が繋がっていく。復活した冒険者たちが、サマーたちに飛びかかった。

また桜が、氷の刃でバラバラにするが、今度はすぐさま直って、そのまま突っ込んでくる。

それを桜が、突風を吹かせて吹き飛ばした。


「嫌な感じ」


吹き飛ばしされた冒険者たちは、すぐさま立ち上がると、また突っ込もうとしている。


「桜ちゃん。ジナードたちに任せましょう。今度は本当に」


サマーはサマーで、空間魔法の通じない相手と戦うのが嫌だった。

迷宮結晶を取るためにも、大きな魔法で魔力を消費したくない。

あと、できればジナードたちに迷宮結晶を取る場面を見せたくなかった。

出来るだけ、ジナードが疲れることを願って、ジナードたちに押し付けることにする。


「できれば、力を貸して欲しいんですが、これは一応俺たちの仕事ですからね。

ここは俺たちがやりましょう。人形の方は、俺がどうにかする。隙を見つけて、あの親玉をやれ、ツタン」


ジナードが、手振りを交えて指示を出した。

そして、銃を上に向けて撃つ。放たれた光弾が空中で細かく分裂し、冒険者たちへと降り注ぐ。

降り注いだ光弾は、冒険者たちの体に張り付いた。冒険者たちは、張り付いた小さな光弾に動きを阻害され、全く動けない。

少女は、その光弾をどこからか取り出した傘で受け止めていた。


「おじさんすごいね。

人形を全部ダメになっちゃったよ」


ツタンは、光弾に視線が向いている間に、少女の背後を取っていた。

ツタンが少女の後ろから、ナイフを突き出す。

キーンと金属音が響いた。


「そんなオモチャで、私は傷付けられないよ」


笑う少女をジナードが撃つ。

銃口から飛び出た光弾を、少女はさっと避けた。しかし光弾は、少女の側で破裂した。衝撃波が少女を吹き飛ばす。

一瞬で離れていたツタンが、すかさず少女にナイフを投げつけた。


「そんなの、何度投げられても」


今度は当たった瞬間、変形して有刺鉄線のようになり、少女を縛り上げた。

どんどん有刺鉄線は分裂していき、少女を繭のように包み込んだ。


「終わったの?」


桜が尋ねた。


「これで終わってくれれば、楽なんですがね」


ジナードが有刺鉄線の塊から目を離さず言う。

その言葉を言い終わると同時に、有刺鉄線が吹き飛んだ。

姿を見せた少女の腕が、4本の鉄の棒に変わっていた。その棒の中心には、赤い球体がある。


「うーん。あんまり好きな姿じゃないだよね、この姿。可愛くないし」


少女は自分の腕をチラリと見て呟いた。


「ロボット?」


その姿を見た桜が、思わず呟く。


「ガイノイドだよ。

昔は、ただの人形だったんだけどね。

私の所有者が、私をロボットに改造したんだ」


少女は桜に笑いかけた。


「さ、本当の私の正体がバレちゃったところで、自己紹介でもしようかな。

私は、”大罪の魔具”の1つ。

機械人形エリザベート。

よろしくね」


エリザベートの腕が一瞬にして人の手に変わる。

そして、ドレスを軽くつまんだ。そして軽く膝を曲げて、貴族のような礼を見せた。


「大罪の魔具?」


桜が不思議そうに繰り返した。


「最悪ね。

正直、今すぐ帰りたいわ」


サマーが嫌そうな顔をする。


「ええ、俺たちの手にも余りそうですね。

最高任命官の仕事かもしれません」


ジナードも諦めたように呟く。

メロスと桜は、何のことかがわからない。


「大罪の魔具ってなんですか?」


「我も知らん」


「そうよね。

ま、単純に言うと、人間に使われることを拒否した道具の集まりよ。

目的は、人間で支配することらしいわ。

タチの悪い自我と能力を持つ、危険な道具が徒党を組んでいるのよ。

しかも、相互扶助までしているから、関わらない方がいいわ」


サマーが軽く説明をした。

そして、その間、一瞬もエリザベートから目を離さなかった。


「1つあったら、最低でも2つ、3つ現れることを覚悟しないといけません。

しかも、奴らを追い詰めるとワラワラ出てくるんですよ。

最高任命官をもってしても、未だ1つしか壊せていません。

逃げた方がいいと思うんですが、どうですかね?」


ジナードが補足しつつ、逃げることを提案した。

エリザベートは、そんな相談をニコニコと見守っている。


お読みいただきありがとうございます。


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