表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エルフは筋トレ本を拾った。 →聖書として崇めた。→筋力が上がった。  作者: 青桐
1章 筋肉エルフと少女勇者、時々、学者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/26

桜は大規模殲滅魔法を放った。

坂道の先に待っていたのは、200人くらいの肌の青白い冒険者風の人たち。それと、その人たちに囲われた、10歳くらいの少女だった。

青白い肌をした人たちの中心で、柔らかそうな椅子に座った少女。

彼女だけは、やたらと血色が良かった。

お姫様のように鮮やかなピンクのドレスを着た少女は、人形のように整った顔と相まって、明らかに場違いな異様さを醸し出している。

それに加えて、少女に近い位置にいる6人は、執事服を着ていた。

執事を着た1人は、跪いて、ティーセットを差し出している。

広大な石造りの広場には似つかわしくない、不思議な世界に、桜が少し怯む。そして、メロスの裏に隠れた。


「生き物はいないんじゃなかったの?

あの子、どう見ても生きてるよ」


桜がメロスに、小さな声で尋ねる。

メロスは答えず、ただ少女を見ていた。

少女はサマーだけに微笑みかける。


「こんにちは、お姉さん。

1度招待した時は逃げ帰ったのに、今回は自分から来てくれたんだね。嬉しいよ」


少女が声を発した。とても愛らしい声だ。桜はアニメキャラクターのような声だと思った。


「あなたは何者かしら?

迷子、ではないわよね?」


サマーが少女に話しかける。


「ふふっ、もしかしたら、1番近いのは迷子かもしれないよ」


少女が楽しそうに笑う。

サマーは敵か味方か見極めようと、少女を観察する。


「あの少女。

生きているとは思えんな。

筋肉がない」


メロスが呟いた。

近くにいる桜たちにしか届かないほどの、小さな声で。

しかし少女はそれに返事をした。


「モリモリ筋肉のエルフさん。こんなに可愛い私に、筋肉なんていらないよ。

……ところで、エルフであってるの?

まるで、頭だけ付け替えたみたいに、顔と体が合ってないけど」


不思議そうに、少女が首を傾げた。

その仕草もとても愛らしい。

人口的なものを感じるくらい、様になっていた。


「エルフ以外に見えるか?」


メロスが言い放つ。


「エルフには見えないと思うわ」


「最初は、これがエルフ⁉︎

トー○キン先生に騙されたって思ったよ」


サマーと桜が口々に言った。


「まあ、異世界のエルフは、変わってますよね」


「はい」


ジナードと仮面の男も頷く。


「我はこの世界のエルフだが」


メロスは何を当然のことを、と真顔で言う。


「冗談はよしてくださいよ。

ただの建前でしょ」


「本当らしいわよ」


ジナードはだいぶ驚きながらも、少女から目を離さない。そのあたり、戦闘慣れしていることを示している。

それを聞きながら、少女が笑った。


「ちょっとだけ、シンパシーを感じるなぁ。

首を外せる人形は、そういう風に遊ばれることがあるからね。

大丈夫だよ、私はそういう遊びはしないから。

まあ、取り外せるようにはするけど」


「我を人形にするつもりか?」


「うん、この周りの人形たちが見えるでしょ。

この子たちの仲間にしてあげる」


ふふふ、と笑う少女。


「周りの顔色が悪い奴ら、やっぱり元は人間なんですか?」とジナードが聞いた。


「ここにもあるのは、全部そうだよ?」


その答えを聞いて、サマーが口を開く。


「目的は何かしら?」


「ん? どういう意味?

遊びの幅が広がるからに決まってるでしょ。

せっかく人形を増やせる機会なんだから。

それに、人形の良さも知ってほしいし」


「もしかして、あなたは人形なの?」


桜が、アニメ声から連想して、口に出した。


「ふふっ、どうかな。

元人形が正しい表現かもね。

大丈夫、エルフさんだけじゃなくて、あなた達も、人形にしてあげるよ。

あなたとあなたは綺麗だから、メイドに。

ムキムキのエルフさんは、護衛役ね。

それから、ずっと私を見ている、おじさんと仮面のお兄さんも、護衛にしてあげる」


少女は笑う。

その瞬間、ジナードが引き金を引いた。

光弾が放たれた。光弾は、少女に直撃すると、ネットのように広がり少女を拘束する。


「酷いよ。

いきなりこんなことするなんて」


少女が頬っぺたを膨らませる。

その瞬間、少女と執事服の男が一瞬で入れ替わっていた。

執事服の男が、代わりに縛られている。

メロスですらどうやったのかもわからない、早業だった。


「入れ替わったのか……。

空間魔法ですか?」


ジナードがサマーに尋ねた。


「違うと思うわ。

空間には何も変化がなかったから。

おそらく、特殊能力じゃないかしら」


その言葉を、少女は笑い飛ばした。


「お人形遊びは、気分で何役にするか決めるものでしょ。

遊んでいる人の気分次第で、お姫様にも召使いにでもなる。だから、それやっただけだよ」


そういった瞬間、青白い人たちが、メロスたちを囲んでいた。移動したのではない。一瞬にして現れた。

そして、一斉にナイフ抜いて投げつけてくる。

凄まじい数と速度でナイフが5人に迫った。

それを全てメロスがキャッチして、地面に捨てる。

少女はパチパチと手を叩いて喜んだ。


「すごいね。

まさか受け止められるとは思わなかったよ」


サマーが首を刎ねるつもりで、少女の首の周りの空間を捻った。

しかし、少女ではなく、入れ替わった冒険者の首が折れただけだ。


「うーん。どうしようかな。

あっ、そうだ。

お姉さん2人に朗報だよ。

私の人形になると、もれなく体重が減るんだ。

楽してダイエットできるから、大人しく人形になろうよ」


桜たちの背後から声が聞こえる。

桜たちが振り返ると、少女がいた。

メロスを持っても追えないスピードで、メロスたちの背後の冒険者と入れ替わった。

しかも、人形を追加している。


「なんで体重が減るのかしら?」


サマーが辺りの冒険者をまとめて、空間ごと捻った。

しかし、全員、後ろに逃げることで躱した。

サマーはそれを見て舌打ちする。魔法が読まれているようだ。一度見せた魔法は通じないらしい。

いくらなんでも、この広場全部を捻じ曲げることはできない。

空間魔法以外を使うことも考えながら、意識を逸らさせる意味と、単純な興味で質問をした。


「人間ってね。

血を抜くと結構軽くなるんだよ」


少女は、見たものを震え上がらせる不気味な笑みを浮かべた。

もっとも、この場にはそれで震え上がるような人物はいなかったが。


「無理なダイエットは体に悪いから、遠慮しておくよ。

あなたこそ、大人しく捕まってくれない?

迷子センターに届けてあげるから」


軽口をたたきながら、桜が小さな氷の刃を放った。大量に。

サマーやメロスたちがいる場所以外の空間全てを、氷の刃が襲う。

桜が放った氷の刃は、凄まじい速度で振動しており、表面はとても鋭い。

大概のものを切り裂く、ウォーターを超える強力な魔法は、冒険者風の人形を全てバラバラにした。


「サマーさん。

ちょっと派手に攻撃しちゃったけど、いいんですよね?」


あくまでメロスも桜も、迷宮結晶がどういうものなのかを、把握していないから、大きな攻撃をしなかったのだ。

その気になれば、人形など一蹴できる。

お読みいただきありがとうございます。


……テニスの試合を見ていたら、投稿が遅れました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ