表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あめめといろはのおなか大冒険~弟が飲み込んだ魔法のアメ玉を取り戻せ!~  作者: しぐまみゅう
第二章 消化管大冒険

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
9/17

6. 大腸はうんちまみれ

「うわ、うんちだらけで、においがすごい」


「大腸に住んでいる菌が、食べ物の残りかすを分解したにおいだね」


「ばい菌ってこと?」


「いや、色々な菌がいるよ。いろはのクラスにも色々な子がいるだろう? それと一緒だよ」


 私はクラスのみんなを思い出した。


 ――責任感がある学級委員のれん君

 ――優しいつむぎちゃん

 ――いつも私に自慢してくるみおちゃん

 ――いたずらばかりして山田先生を困らせるそら君


 そっか、菌にも色々な子がいるんだ。


「最近は腸の細菌のバランスも注目されているよ」


 うちのクラスは、れん君も、つむぎちゃんも、みおちゃんも、そら君もいるから楽しいんだよね。


「さっきの要領で、またできる限りうんちを避けて、押していくぞ」


「うん、ひなた兄ちゃん!」


 大玉転がしは『小腸』で慣れっこだ。あめめが、魔法でうんちをどかして、私たちがアメ玉を転がしていく。


「よいしょ! よいしょ!」


 先を行くあめめが叫んだ。


「すとっぷー! この先は崖になっているよ、ひなた」


「そうそう。『下行結腸』だね。上に行って、横に進んで、下に降りて、最後はS字になっている」


「ひなた兄ちゃん、ここをどうやって降りる?」


 アメ玉を置いて、あめめと一緒に、下をのぞき込む。結構な高さがありそうだ。


「いくら地面が柔らかいとはいえ、この高さから俺たちが飛び降りるのは危ないね」


「アメ玉を先に落として、あめめの綿あめの雲で下まで降りるのはどうだ?」


「さすが、ひなた兄ちゃん。頭いい! あめめ、できる?」


「2人がちょうど乗れる大きさの綿あめなら、作れると思う」


「すごい! さすが精霊」


 あめめはほめられて少しうれしそう。


「まずは、このアメ玉を下に落とすか」


 ひなた兄ちゃんが言った。私たちは、3人で力を合わせて、アメ玉を押した。


「よいしょ!」


 アメ玉が転がり、真っ逆さまに『下行結腸』へ落ちていく。そして下にたまったうんちの上に着陸した。


「ああ! またうんちがついちゃった」


 あめめが残念そうに言う。


「割れるよりはいいだろう。俺たちも行くぞ」


「分かった!」


「出でよ! 綿雲!」


 紫色の光とともに、ふわふわで真っ白の綿あめが杖から飛び出した。それをあめめがくるくると器用に杖で束ねて、雲の形にしていく。みるみる綿あめはふくらんで、大きなクッションサイズになった。


「これに、ひなたといろは乗れる?」


「ちょっと小さいけど、ひなた兄ちゃんがバランスを取れれば、大丈夫」


 私は運動神経の悪いひなた兄ちゃんの方を見た。


「俺はいろはにちゃんとつかまっているから大丈夫だ」


「もう」


 あめめは自分の羽で、下まで降りるつもりみたい。私たちはふわふわの綿あめの上に乗り込んだ。柔らかくて、ぷかぷか浮いていて楽しい。あめめが使う魔法で一番好きな魔法かも。ひなた兄ちゃんが私の後ろに乗った。


「ひなた兄ちゃん、ちゃんとつかまっていてよね」


「もちろんだ。よし、行こう」


 私たちの雲が先に『下行結腸』を下っていく。『上行結腸』の時と違って、ゆっくりと。その後をあめめがついてくる。楽しい空の旅のはずなのに、大腸の壁にはところどころ、うんちがついていて汚い。


「これがはるとのうんちか」


「そうだね」


「ずっとこのにおいを嗅いでいると具合が悪くなりそう」


「俺も早くここから出たい」


 下につくと、うんちがもっとたくさんつまっていた。私たちは仕方なくうんちの上に降り立った。


「このうんち固いけど便秘なのかな? はると」


「そうかもね。『S状結腸』までつまっている」


「ひなた兄ちゃん、このうんちをどかさないと外に出られないってこと?」


「うん。でもだいぶため込んでいるな。はるとが、いきめば外に出られるかも」


「またさっきみたいに腸につぶされるってこと? うんちごと?」


「そういうことになるね」


 さっき『上行結腸』で『蠕動運動』で上まで運ばれたのはなかなか苦しかった。しかもうんちと一緒は嫌だな。なんか別の方法はないかなと考えていると、ひなた兄ちゃんがアメ玉をマジマジと見ながら言った。


「うわぁ、またヒビが増えているよ、あめめ。キラキラもさっきよりたくさん漏れている」


 あめめも、ひなた兄ちゃんが指さした先を見て、慌てている。はるとがいきむのを待っている時間はないのでは?


 ――私はひらめいた。


「洪水を起こせばいいのよ。そうしたらうんちも溶けて流れるでしょ?」


「確かに便が柔らかくなれば、便意を催すかも知れないけど、水なんかどこに……」


 私はあめめを指さした。


「あめめは砂糖水の雨を降らせることができる」


「ええっ!」


 指をさされたあめめが嫌そうな顔をした。


「魔法って便利だよなぁ。病院だと便を出させるのも、薬を飲ませたり、浣腸したりで大変なんだぞ」


「あめめの大事な魔法を、うんちを流すのに使いたくない」


「あめめがやるしかない! 他に誰が魔法を使えるの!」


「うーん、しょうがないな。いろは、分かった」


 あめめは少し考えて、渋々受け入れた。私とひなた兄ちゃんはさっきの綿あめに乗り込んだ。


「出でよ! 甘雲!」


 あめめが杖を一振りすると、今度は青い光とともに、新たな雲が杖から出てきた。さっきみたいにもくもくと雲の形を作っていく。今度の雲は、今乗っている雲と違って、灰色が濃くて、今にも雨が降りそうな雲だ。


「よし、完成!」


 ――ゴロゴロ、ピッシャーン!


 早速激しい雷鳴とともに、雨が降り出した。一口なめると、雨はとっても甘かった。


 綿あめ雲に乗ったまま、うんちの様子を見る。砂糖の雨が大腸につまったうんちを徐々に柔らかくして、土砂降りの日のグラウンドみたいになっていく。


「だいぶドロドロになってきたな。この調子だと、そのうちはるとが便意を催して、押し出されるだろうな」


「え、やだ! またつぶされるのやだ!」


「でも、そうじゃないとここからは出られない」


 その時、大腸の壁がいきなり私たちに寄ってきた。今までで一番大きい動きだった。


「うわぁ」


 私たちは、綿あめの雲から落下して、そのままうんちの洪水の中に落ちていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ