1. おむつの中に飛び出した
――息ができない! 苦しい!
私たちはうんちの濁流に押し流されて、S字を移動した。そしてついに『肛門』から押しつぶされるようにして、体の外に出た。
「ゲホッ、ゲホッ」
最悪だ。うんちの水を飲んじゃった。しかも全身うんちまみれで、体中からうんちのにおいがする。今着ている服、お気に入りのワンピースだったのに、服にもうんちがべったり染み込んでいる。もうこれは着られないだろうな。
あめめとひなた兄ちゃんもすぐ近くにいた。
「ひなた兄ちゃん、大丈夫?」
「ああ、辛うじて」
ひなた兄ちゃんが、うんちまみれになった顔を手でぬぐった。青ざめている。ひなた兄ちゃんは水泳も苦手だ。隣のあめめも戦意喪失という顔だ。でも、みんな無事に、はるとのおなかから出てこられてよかった。
「ここは、はるとのおむつの上かな」
「だろうな。この紙、水分をよく吸い取ってくれるから助かるよ」
うんちの水をおむつがよく吸い取ってくれて、あれだけ水浸しだったのに、おむつの上はからっとしている。
「そうだ! 魔法のアメ玉」
私はぐったりしている2人を置いて、魔法のアメ玉を探しに行った。
「あった、あった」
最初に胃の中で見た時よりだいぶボロボロになってしまったが、はるとの体の中で溶けてしまわなくてよかった。私はほっと胸をなでおろした。
「ひなた兄ちゃん、あめめ、魔法のアメ玉も見つかったよ~」
私が叫ぶと、2人もよろよろしながら、集まってきた。
「ありがとう、いろは!」
「みんな無事で、アメ玉も無事でひとまずよかった。とりあえず、おむつの外に出よう」
――ゴトゴト、ガタガタ
おそらくはるとが動いたのだろう。私たちはおむつの中で、バランスを失って倒れた。
「うわーーーん。ママ!」
はるとが大声で泣き始めた。あっ、そっか! おむつにうんちが出て気持ち悪いのか。
「このまま、変に動かれるとまずい。とにかく早くここから出るぞ」
「これ、どっから出ればいいの?」
「俺もおむつのことはよく分からん」
「ええ!」
その時、遠くからママの声がした。
「はると、どうしたの?」
よかった、ママだ。さっき、ひなた兄ちゃんが連絡したから、早めに家に帰ってきていたのか。
「ママ、うんち」
「まあまあ! はると。ちゃんと教えてくれてえらいわね。今おむつを取り替えるわね」
よかった。これでおむつの外に出られる!
「うわぁ!」
安堵したのもつかの間、また大きく体勢が変わり、私たちは倒れ込んだ。
「最近、便秘気味だったものね。やっと出てよかったわ」
ママがはるとのズボンを下ろし、おむつを外した。そしてついに、私たちはママと対面した。
「いろは、ひなた、あめめ! あなたたち、一体そこで何をしているの!?」




