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あめめといろはのおなか大冒険~弟が飲み込んだ魔法のアメ玉を取り戻せ!~  作者: しぐまみゅう
第二章 消化管大冒険

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5. 上行結腸エレベーター

 『大腸』は『小腸』よりも、ずっと広くて、小腸みたいな絨毛はなかった。周囲を見渡すと、管は上につながっているようだ。


 よく見ると足元にも隠し小道があるように見えるけど、こっちは狭くて魔法のアメ玉は通ることができなさそう。消化管は1本道だと、ひなた兄ちゃんが言っていたのに、これは何の道なんだろう?


 とりあえず、ひなた兄ちゃんに聞いてみよう。


「ひなた兄ちゃん、これって上に行けばいいんだよね?」


「そうだよ。今立っているのは『盲腸』。こっちは行き止まりだからな。上に行くしかない」


「じゃあ、この下の小道は?」


 落とし穴みたいな穴を指さして言った。


「これは『虫垂』だよ。結局この先も行き止まり」


「あ、知っている! おなかが痛くなって手術するやつだ。担任の山田先生が『急性虫垂炎』で入院していた」


「いろは、よく知っているね。何らかの原因で、虫垂にばい菌が感染すると、おなか全体に感染が広がることがあるんだ。それで山田先生は手術が必要になったんだね」


「ふーん。ひなた兄ちゃん『虫垂』って何のためにあるの?」


「俺も知らん。研究は色々されていて、免疫に関わっているんじゃないかって言われているけど、ちゃんとした役割は分かっていない。手術で取った人も多くは普通に生活しているから、特別な役割がないのかも知れないね」


「そっか」


「虫垂の穴に物を落とさないように気を付けろよ」


「はーい」


「この上につながる腸は『上行結腸』っていうんだ。まずは上まで登ろう」


「で、ひなた兄ちゃん。どうやって上まで上がるの?」


 私は上行結腸を見上げて言った。よじ登っていくのは大変そうだし、アメ玉を運ぶならなおさらだ。


「大腸は、便の水分や塩分を吸収するためにある。上に行くには、『蠕動運動』に身を任せるのが一番簡単かも知れない」


「そっか、エレベーターみたいだね。上まで上がったらどうなっているの?」


「大腸は小腸を取り囲んで、カタカナの『コ』の字型になっている。『横行結腸』は横に進む。そして『下行結腸』で下に降りて『S状結腸』だ。S字に進んだら、最後はまっすぐだ。『肛門』の出口から外に出る」


 あめめが不安そうな顔で、魔法のアメ玉を見ている。


「どうしたの、あめめ?」


「アメ玉、表面の輝きがかすんでいる」


 確かに、あめめに言われてみると、虹色の光が弱くなっている気がする。


「さっき、小腸で魔法がこぼれ落ちたからかな?」


「……そうかも知れない」


「魔法の粉が、足元の絨毛に消えていったけど、はるとは大丈夫かな?」


「病院に行っても、魔法のアメ玉のことは分からないだろうしな」


 ひなた兄ちゃんも困った顔をした。


「はるとの体の外に出たら、ちゃんとお菓子の精霊王に相談する」


「それがいい。アメ玉に込められた魔法も弱くなっているみたいだし、王様に隠し事は良くない」


 そんな話をしていると、急に大腸が動き始めた。


「これが多分『蠕動運動』だ。一気に上まで上がるぞ」


 大腸全体がうねうね動く。その動きに逆らわずに私たちはつぶされながら、少しずつ上に登っていった。


「ぐぬぬ、つぶれる」


「苦しい」


「あともうちょっとのはずだ」


 ちょっと手荒なエレベーターに運ばれて、私は大腸の上の階についた。そこには先客がいた。

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