7. 本当の笑顔
人間界に戻ると、リビングで、ママやひなた兄ちゃん、そしてマカロが待っていた。
「あめめ、試験はどうだったの?」
ママに聞かれると、あめめは胸を張り、金色のキャンディーのバッジを見せた。
「ママ、合格したよ! あめめ、一人前のキャンディーの精霊になったの!」
「まあ! よかったわね。おめでとう!」
あめめが精霊試験に合格したことを報告すると、一斉に拍手が湧き起こった。
「おお! すごいな、あめめ。ついに一人前の精霊か」
「えっへん」
ひなた兄ちゃんもうれしそうに、ほめてくれた。
「今日はお祝いに、あめめが好きなからあげをあげちゃうわ」
「すごい。ママありがとう! やったー!」
「あめめ、おめでとう。わたくし――見た目のかわいさばかりに気を取られて、本当にお菓子にとって大事なことを見失っていたわ。見た目や味だけではなく、一番大切なのは食べた人の『えがお』なのね」
「やっと、マカロも分かった? これからは、あめめが先輩としてビシバシ指導するから」
「ふん! ちょっとわたくしが謝ったからって、調子に乗らないで頂ける?」
「ほら、2人とも喧嘩しないで! 『かもめ洋菓子店』のお菓子があるわよ」
ママが持ってきたバスケットの中には、『かもめ洋菓子店』の塩クッキーと塩キャラメルが並んでいた。みんなで食べると、優しい甘さが口いっぱいに広がった。微かな塩味が癖になる。
あめめとマカロも喧嘩していたのに、自然と笑いがこぼれた。お菓子の精霊王が言っていた、本当の笑顔って、きっとこういうことなんだ。
「本当においしいね」
「友達にも伝えておく。我が家で大好評だって」
「あめめ、おめでとー」
「ありがとう、はると!」
はるとも意味は分かっていないみたいだけど、楽しそうに手をぱちぱちさせていた。
「あっ!」
見ると、はるとがあめめの胸についている金色のバッジに手を伸ばしていた。
「おいしそう」
「はると、これは食べちゃだめー!」
私たちの声が重なり、リビングにまた大きな笑い声が響いた。あめめは慌ててバッジを外すと、はるとの手が届かない棚の上にしまった。
あめめと私たち家族の不思議な大冒険は、ひとまずこれでおしまい。
――でも、あめめとマカロが一緒にいる限り、次の大冒険は、案外すぐに始まるのかも知れない。




