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あめめといろはのおなか大冒険~弟が飲み込んだ魔法のアメ玉を取り戻せ!~  作者: しぐまみゅう
第五章 あめめの家族えがお大作戦

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4. 家族えがお大作戦

 その翌日から、あめめの『家族えがお大作戦』は始まった。朝はパパとひなた兄ちゃんのランニングに付き合い、昼間ははるとと遊び、夕飯を食べた後は皿洗いを頑張った。


「パパ、ひなた兄ちゃん、ランニングお疲れ様!」


「あめめが厳しいから、もうへとへとだよ」


 ひなた兄ちゃんは見るからにバテている。


「でも、パパたち全然走ってない。ほとんど歩いていたよ」


 あめめが腕組みをしながら言った。


「ははは。あめめは元気だね。朝でも暑いから、運動不足の2人がいきなり走ったら倒れちゃうよ」


 パパが額の汗をぬぐいながら言った。


「確かにね。ママが朝ご飯を用意してくれているよ。卵焼きと鮭」


「ありがとう。パパはシャワーを浴びてから食べる。いろはたちは先に食べていて」


「はーい」


 夏休みが始まると、あめめは私の夏休みの宿題も手伝ってくれた。一緒に図書館に行って、人の体について調べた。


「あめめ、今日はいっぱい本が借りられてよかったね」


 リビングでは、はるととマカロが遊んでいた。はるとが積み木を宙に浮かせていたずらするのを、マカロが必死に止めていた。


「はると、マカロ、ただいま!」


「おねえたん。おかえりなさい」


 早速リビングで借りてきた本を広げる。人体の絵は、リアルなものから、分かりやすく簡単にしてあるものまで、色々ある。そのうちの一つをあめめが指さした。


「いろは! いろは! この絵、はるとの口の中と一緒だ」


「うわぁ、本当だ。舌のつぶつぶの中には『味蕾』っていう味を感じる器官があるんだって」


 本を広げて、2人できゃっきゃしながら、おなか大冒険を振り返った。


「食道と気道を分ける扉は『喉頭蓋』っていうらしいよ。はるとに丸飲みにされて怖かったよね」


「うん。それで、それで食道はまっすぐ」


 あめめが楽しそうに次のページを開いた。


「『胃』って外側から見ると本当に袋なんだね」


「本当だ! つるっとしている」


「『肝臓』って胃袋より大きい! ねえねえ、いろは。肝臓はあめめより大きいかな?」


 あめめが本の絵を見ながら、自分の大きさと比べっこしている。


「うーんと。大人の肝臓は、あめめより大きいんじゃない? 隣の小さな袋は、消化液を入れる袋かな」


「ひなたが言ってたよね。なんだっけ? 胆のうだっけ?」


「そうそう、正解。あめめ、よく覚えているね」


「えっへん。『小腸』は長くて、食べ物の消化と吸収をしている」


「わぁ! 『大腸』は本当に『コ』の字型だね」


 一通り、冒険のおさらいをしたら、大きな紙に、あめめと一緒に絵を描いていく。24色入りの色鉛筆を広げた。まずは体全体を描いて、それから消化管を描く。


「あめめ、吹き出しを描くから、そこに消化管の内側の絵を描いてもらってもいい?」


「おっけー」


 ポスターを広げていると、麦茶を取りに来たひなた兄ちゃんがのぞき込んだ。


「お! やっているな。いろは、よく描けているけど、肝臓はもっと赤黒いぞ」


「え、そうなの?」


「俺は解剖学実習で実物を見たからな」


「じゃあ、赤だけじゃなくて黒や紫も使って描いてみる」


 私は肝臓の絵に色を足していった。ひなた兄ちゃんは、今度はあめめの絵を見た。


「あめめ、この絵は小腸の中?」


「そうだよ!」


「ピンクの絨毛がよく描けているね」


「そうでしょ! これははるとのうんち」


「まだ消化や吸収の途中だから正確に言うと、うんちではないけど。そうだ、いろは! 小腸の長さを実感してもらうために、ポスターに紐を付けたらどうだ?」


「いい考え!」


 ひなた兄ちゃんがビニールの紐を切り取ってくれた。伸ばすとキッチンまで伸びるくらい長い。


「わー、長いね。ひなた兄ちゃん」


「大人だと6メートルあるなんて言われているよ。これがおなかの中に折りたたまれて入っているんだ」


「じゃあ絵でも、折りたたまれたみたいにうねうねに描こうっと」


「そうだね、それがいい」


 私たちの様子を見て、マカロとはるとも近づいてきた。


「はるとも、おえかきする!」


「これは宿題だから、はるとはだめ」


 あめめが自分で描いた胃の中の絵を指さして、はるとに言った。


「ほら、これはるとの胃の中! うどんがそのまま入っていたよ」


 ピンクの胃袋の中に、もじゃもじゃと白い塊がたくさん描かれている。


「うどん?」


 はるとが不思議そうに眺める。


「そう! はるとが噛まないから! うどんがそのまま入ってたの! 噛まなきゃだめだよ」


「ふーん」


 あめめは怒っているけど、肝心のはるとはよく分かっていなさそう。


「あめめ、胃袋のうどんは描かなくていいよ」


「描いちゃダメなの、いろは?」


「あれは、はるとの胃袋の中だけの話だから」


「いや、そのうどん、よく描けているし、残してもいいんじゃないか。代わりに注意書きを付ければいい。よく噛まずに飲み込むとそのままの形で胃に行っちゃうよって」


 確かに、ひなた兄ちゃんの言う通りかも知れない。

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