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あめめといろはのおなか大冒険~弟が飲み込んだ魔法のアメ玉を取り戻せ!~  作者: しぐまみゅう
第五章 あめめの家族えがお大作戦

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3. その晩食卓で

 パパが帰ってくると夕飯だ。今日はママが保護者会や小児科で忙しかったので、夕飯は野菜炒めになった。早速新しい我が家の一員、マカロをパパに紹介した。


「ねえ、パパ。この精霊さんはマカロンの精霊見習いのマカロだよ。精霊試験のために、あめめと一緒にうちに居候することになったんだ」


「わたくし、マカロンの精霊見習いのマカロです」


 マカロは、ワンピースの端をちょこんとつまむと、膝を折って優雅な挨拶をした。


「へえ、あめめのお友達?」


「ま、まあ。そんな感じです」


 マカロが少し気まずそうに言う。


「あめめのお友達ではない!」


 あめめはすぐに否定した。2人は精霊同士でも、あまり気が合わなさそうではある。


「マカロは『パティスリー・サオトメ』の早乙女さんに初心を思い出してもらえるように、頑張るんだよね」


「はい」


 私は今日あった色々なことをパパに報告した。


 ――はるとが飲み込んだアメ玉を追って、おなかの中を大冒険したこと。

 ――あめめと一緒にお菓子の精霊王に謝るために、お菓子の国に行ったこと。


 本当に大変な1日だった。精霊試験のことを話すと、あめめがにこりと笑った。


「ということで、あめめは魔法を使わずにみんなを笑顔にするよ。あめめがお手伝いできることがあったら、何でも言ってよね!」


「あめめのお手伝いね。今のところお願いすることはないけど、考えておくよ」


 パパが嫌な予感しかしないという顔で言った。


「え! でもお願いしてもらわないと、あめめ困る! 試験に合格できないから」


「そう言われてもなぁ」


 パパは困り顔で、冷蔵庫からビールを取り出した。缶ビールに手をかける。


「ちょっとパパ、今日もビールを飲むの? 肝臓の値が悪いんじゃなかった?」


 今日、はるとの体の中で学んだ。『肝臓』は栄養を蓄えたり、消化液を作ったりする大事な臓器だ。お酒の毒も分解してくれる。だけど無理をさせていると、気づいた時にはすごく悪くなっちゃうから、大事にしてあげないといけない。


「おじさん、いろはの言う通りですよ。ここのところ仕事帰りに飲む量が増えていますよね。酒は百薬の長と言いますが、肝臓にも休みが必要だって、大学の授業で勉強しました。『休肝日』っていうらしいですよ」


「そうよ、パパ。この前、健康診断の結果が返ってきたばかりじゃない。体重も増えて、肝機能も悪くなったって。いろはやひなた君の言う通りよ」


「そうだな。病院にも行かないといけないし。今日は休肝日にして、ビールはやめにするよ」


「ふふ、よかったわ。いろはとひなたもありがとう」


 ママの野菜炒めは簡単だけど、キャベツがシャキシャキでおいしい。たくさん頬張って、いっぱい噛むとキャベツの甘みがじんわり口の中に広がった。


「よく噛んで食べると、野菜炒めもよりおいしいね」


「あ、そうだ。おばさん、はるとなんだけど、多分、全然噛まないで丸飲みしているよ」


 ひなた兄ちゃんが思い出して、はるとの胃の中で見たうどんの塊についてママに報告した。


「そうなの! はるとの胃の中、うどんがそのままの形でたくさん入っていたよ」


 言われたそばから、はるとはにんじんを丸飲みにした。


「ほら!」


「本当ね。はると、よく噛んで食べなきゃだめよ」


「にんじんはまずいから、いや」


 はるとが口をふくらませて怒った。


「にんじんだってよく噛んでいると甘くなるよ」


「おい、はると。30回噛もう。ほら、いち、に、さん」


 ひなた兄ちゃんも一緒に注意してくれたけど、はるとは見ていないとすぐに丸飲みする。これは悪癖を直すのに、なかなか時間がかかりそうだ。


「ねえねえ。それで、みんな! あめめに手伝えることは何かないの?」


 あめめが思い出したように叫んだ。


「手伝えることね……。じゃあママは、この夏の間、お皿洗いをお手伝いしてもらおうかしら」


「ママは皿洗いね。分かった! 魔法を使わずに洗う」


「あと、マカロと一緒に、はるとと遊んであげて。きっとはるとも笑顔になるはずだから。ママ、普段は家にいるから、何かあったらすぐに教えてね」


「はーい。ねえねえ、いろはは?」


「じゃあ、あめめ私の夏休みの宿題を手伝って。自由研究!」


「あら、いろは今年は何を調べるの?」


「まだ決めていない」


「せっかくだし、人体の構造とか調べたら面白いんじゃないかしら? 人体マップとか」


「さすが、ママ! いいアイディア。じゃあ、あめめはお絵描きを手伝って。ひなた兄ちゃんは体のことを教えてね」


 実はあめめはお絵描きがとっても上手いのだ。


「いろははおっけー。ひなたはどうする?」


 あめめが、羽をばたつかせながら、ひなた兄ちゃんの周りを飛び回る。


「俺もレポートを手伝ってもらいたい」


「ひなたのは難しいから無理」


 あめめが即答した。


「じゃあ、ひなた兄ちゃんは卓球が上手くなるように、練習に付き合ってもらったら?」


「え!?」


「お医者さんになるには、体力づくりが大事なんでしょ? おじさん言ってたじゃん。だから卓球部に入ったんでしょ?」


 私がひなた兄ちゃんを睨むと、ひなた兄ちゃんがすくみ上がった。


「そうね。ちょうどいいから、パパもダイエットに付き合ってもらったら?」


 ママもニコニコしながら言った。


「それはそうだけど……」


「分かった! あめめ、パパとひなた兄ちゃんの健康のため、ジョギングに付き合う」


 あめめが胸を張った。


「ふふ、決定ね」


「ひっ!」


 ママの有無を言わせぬ笑顔に、2人はなにも言えなくなった。


「あしたから毎朝走るよ!」


「そんな~」


 こうして、あめめの『家族えがお大作戦』が始まった。

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