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あめめといろはのおなか大冒険~弟が飲み込んだ魔法のアメ玉を取り戻せ!~  作者: しぐまみゅう
第四章 お菓子の国へ

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1. お菓子の国

 難しいことは分からないが、あめめ曰く、お菓子の国はこの世界とは別の空間にあるらしい。


「今から空間に穴を開けて、この世界とお菓子の国をつなげるから、落っこちないようにみんな気を付けてね」


「はるとは、ママが抱いているから大丈夫よ」


「ねえ、落っこちるって、お菓子の国のどこにその穴は開くの?」


「大体お城の近くだけど、分からない」


「え!?」


「じゃあ、もし空に開いたらどうするの?」


「綿あめ雲はこの大きさじゃ乗れないぞ」


 私とひなた兄ちゃんの指摘に、あめめが首を傾げた。


「うーんと、じゃああんまり使ったことないけど、この魔法! 羽よ! 生えろ」


 あめめが魔法を唱えると、私たちの背中にもあめめみたいな羽が生えた。羽を大きく動かすと体が宙に浮いた。ひなた兄ちゃんは、早速バランスを崩して一回転した。


「ひなたは飛行も下手だね」


「うるさいな、あめめ」


「じゃあ行くよ。精霊の門よ。開け!」


 あめめが呪文を唱えると、杖の先から金色の光がこぼれ、空間がゆがみ、そのひずみに大穴が開いた。


「うわぁ、すごい」


「ママ行ってきます!」


「3人とも気を付けてね! 行ってらっしゃい」


「いってらっしゃい」


 はるとも小さな手を振ってくれた。自分で飛ぶのには慣れていないけど、あめめに先導されて、穴の中に飛び込んだ。ひなた兄ちゃんも、くるくる回りながら、なんとか後をついてきている。


「うわ、すごい! 空がピンク色だ」


「精霊の門よ。閉じろ!」


 穴が閉じて、リビングのママたちの笑顔が見えなくなった。


「あめめについてきて。このままお菓子の城まで案内するよ」


 空の上からお菓子の町を見下ろす。大小さまざまなクッキーのお家に、チョコレートの教会。街並みがミニチュアみたいでかわいい。


 公園にはキャンディーのお花がたくさん咲いている。広場の噴水からは、オレンジジュースが噴き出していた。


「ねえねえ、あめめ。あの子たちも、精霊さん?」


 広場のベンチで、茶髪の精霊と、緑髪の精霊が楽しそうにおしゃべりしていた。


「うん! そうだよ。チョコレートの精霊・チョココとミントの精霊・ミドリ」


「あめめのお友達?」


「友達! とっても仲良しなんだ」


「――2人合わせて『チョコミント』か」


 ひなた兄ちゃんがぼそっと言った。


「この道をまっすぐまっすぐ行くと、王城だよ」


「分かった!」


 あめめに導かれ、高度を下げて、どんどん進むと、やがてお城の屋根が見えてきた。お城の形はケーキみたい。クリームの屋根の上に、いちごやさくらんぼがのっている。


 お堀はりんごジュース、お城の門はキャンディーでできていた。


 門の前に降り立つと、私と同じくらいの背のチョコレートの衛兵さんたちが仁王立ちしていた。あめめが言った。


「精霊試験のことで、お菓子の精霊王に謁見したいのですが」


「はい。かしこまりました。王に確認して参ります」


 チョコレートの衛兵さんがいそいそと、中に控えていた別の衛兵さんに伝言する。


 私たちが城門の前で待っていると、ベージュの髪をピンクとミントグリーンのマカロンのヘアアクセサリーでツインテールにした、別の精霊が飛んできた。


「――あら、どんくさあめめじゃない?」


「……マカロ」


 この子がマカロンの精霊・マカロか。あめめは、顔を合わせるなりちょっと嫌そうだ。


「相変わらず、ダサいわね」


「べぇ! どんくさくないもん。ダサくないもん」


「ふん! 時代遅れのキャンディーのくせに。そういえば、精霊試験、あめめはどこに魔法のアメ玉を置いてきたのかしら? わたくしね、『パティスリー・サオトメ』に置いてきたの! わたくしのおかげで、今都内で一番流行っているお菓子屋さんだって大評判よ。この試験は合格間違いなしだわ」


 マカロは自信満々に胸を張った。『パティスリー・サオトメ』か。最近よくテレビで見る。オーナー・パティシエの早乙女さんがイケメンで話も面白いから、連日ワイドショーで引っ張りだこだ。


 そういえば、この前お店の特番をやっていた。ショーケースにマカロンやチョコレート、そしてクッキー――カラフルなお菓子が所狭しと並べられ、まるで宝石箱みたいだった。


「……」


「あら、どうしたの? あなたみたいな古いお菓子でも、魔法のアメ玉を置くぐらいできるはずでしょ」


「マカロはうるさい」


 あめめが分かりやすくうつむいた。


「精霊王との謁見の準備が整いました。さあ、中へ」


「わたくしもいいかしら? 精霊試験の報告に参りましたわ」


「ええ、もちろん。マカロさまもどうぞ中へ」


 私たちは、チョコレートの衛兵たちに案内されて、お菓子の城の中へ入った。

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