表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灰の降る街  作者: 白玉
PR
6/7

灰が降る

翌朝、ミオの死体は、ゴミのように無造作に処理された。


この街において、死んだ奴隷は人間として扱われない。名前を記録されることも、墓を建てられることもなく、ただの「廃棄物」として黒い布に包まれ、荷車に積み込まれた。


「おい、お前! 手を動かせ!」


監督官の怒鳴り声が響く。レンは、ミオを乗せた荷車が中央広場の向こうへと運ばれていくのを、ただじっと見つめることしかできなかった。


荷車が向かう先は、街の最下層にある巨大な焼却炉だ。そこですべての奴隷は灰にされ、工場の煙突から再び街の空へと吐き出される。彼女が嫌った、あの灰色の空の一部にされてしまうのだ。


(これが、俺たちの世界の終わりなのか)


レンの心の中で、何かが音を立てて崩れ落ち、そして、全く別の何かが燃え上がった。


それは、絶望の果てに生まれた、白く冷たい怒りだった。


ミオは死んだ。この街が、彼女の命を、夢を、すべてを搾取し尽くして殺したのだ。


だが、彼女の夢はまだ、レンの胸の中に生きている。


『レンが私の代わりに、見てきてくれるから』


彼女の最期の言葉が、レンの耳の奥で何度もリフレインした。


もしこのまま、自分もこの街の歯車として死んでいけば、ミオの夢は本当にこの世から消えてしまう。そんなことは、絶対に許せなかった。


「俺は行く」


レンは鉄鍬を強く握りしめた。


「ミオ。お前の目を連れて、俺は絶対にこの壁を越える」


その日から、レンの目の色は変わった。彼は従順な奴隷を演じながら、虎視眈々と「その時」を待ち始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ