謎と謎
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…あれ?
真っ白い景色の中、俺だけがいる。
どこだ…?ここは
『おかーさーん!はやくはやくー!』
目の前を小さな男の子がかけていく。
あれは・・・昔の俺…?
『こらー走ったら危ないわよー』
その後からは…
「かあ、さん・・・」
昔の俺を後から追いかけてるのは間違いない、俺の…母さんだ。
これは・・・俺の記憶・・・?
真っ白だった周りの風景が鮮やかな見覚えのある街中の景色に変わる
『もうー!はやくしないと仮面カイザーうりきれちゃうよー!』
小さな俺が母さんを置いてけぼりにして走る。
…!!これは・・・あの時の・・・!
「駄目だ!行くな!!」
無駄だとわかっていても叫んだ。
『…!祐人!危ない!』
『え?』
道路に飛び出した俺にトラックが突っ込む。
キキィ!!!ドオン!!
轢かれかけた俺を突き飛ばし、代わりに母さんがトラックに轢かれた。
『…お、かあさん…?』
『…良かっ…た、あなたが…無事で…』
『おかあ、さん おかあさん おかあさあああん!!』
そうだ、母さんは死んだ。俺の、せいで・・・。
だから俺は、母さんの意志をついだ。
「誰かのためなら、自分が犠牲になっても、かまわない。」
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うっすらと視界が広がっていく。
「ここ…は。」
「祐人!」
涙でくしゃくしゃになった美鈴さんの顔が飛び込んできた。
「俺・・・生きて・・・?」
「!!患者が意識を取り戻しました!」
患者・・・?俺の、ことか・・・?じゃあ、ここは。
「このバカ!殺人事件の犯人に立ち向かっただなんて!無茶にも程があるわよ!!」
美鈴さんが泣きながら怒ってる。
俺、助かったのか…。
そりゃあれだけぼろぼろになってたんだ。
美鈴さんが怒るのも無理はない。
「でも良かった…。服が血で汚れてたけどたいした怪我も無くて。」
その言葉にハッとする。
ガバッ
俺は眠っていたベッドから起き上がり、着ていた服を脱いだ。
「ちょ、ちょっといきなりどうしたの!?」
いきなり脱ぎだした俺に慌てる美鈴さん。
俺は自分の身体を確認して驚愕した。
無いのだ、あれだけ蹴られたのに痣ひとつ。
力を使った犠牲によるダメージも治ってるようだ。
それどころか折れていたはずの左手の指まで治っていた。
「どう、なってんだ…?」
「だ、大丈夫?」
美鈴さんが心配そうにのぞきこむ。
「いや、何でもないです。美鈴さ・・・胡桃先生。」
「ここは学校じゃないし、今の私はあなたの保護者。美鈴でいいわよ。」
「・・・はい。」
看護師に呼ばれ様子を見に来た医師が俺のことを少し診て「もう大丈夫そうですね、何かあれば呼んでください」と言い、帰って行った。
俺はあの後の話を美鈴さんから簡単に聞いた。
どうやらトワが逃げていったあと襲われていた女の子が警察と救急車を呼んでくれたらしい。
そして彼女と一緒に俺は現在いる警察病院に運ばれてきたようだ。
「あなたが助けた女の子だけど腕を少し切られただけで大丈夫だったみたいよ。怪我の治療したあと少し警察の方とお話したあと親御さんが迎えに来たみたい。」
…ちょっと気になることがあったけど。まあ、いいか。
「あなたも意識が無かった以外は問題ないみたいだから明後日他の病院に移動して検査もあるみたいだから一週間くらいは入院よ。まあ刑事さんも話を聞きたいみたいだからその間に来るんじゃないかしら。」
「そうですか。」
入院か。去年だかも確か入院したな、あの時は確か・・・。
ぽかっ
「った!」思わず情けない声が出た。
美鈴さんが軽くこづいてきた。
「祐人、何か言うことがあるんじゃないかしら?」
あ・・・。
「・・・心配かけて、ごめんさい。」
「うん、よし!」
「さて、じゃ今日の所は帰るから明日また着替えとか持ってくるから。」
「あ、すいません。…ありがとう、美鈴さん。」
それを聞き美鈴さんが少し微笑んだ。
「あ、そうそう。あなたが助けてあげた女の子、あらためて御礼を言いにきたいそうよ?」
「あ~・・・いや、そんなの別に気にしなくてもいいのに・・・。」
「でも結構かわいかったわね、あの子。ま、胸はまだまだだったけど。」
美鈴さんが自分の胸をちょっと自慢げに突き出す。
いや美鈴さんが巨乳なのは見ればわかるが・・・何を対抗してんだこの人は。
「一応連絡先教えてもらってるし、祐人の意識が回復したことは伝えておくから。」
「あ、はい。」
じゃあ、またねと美鈴さんは帰っていった。
「そういえば今何時だ?」
俺は病室の時計を見る。
<午後17:32>
ってことはほぼ丸一日寝てたわけか・・・。
美鈴さん、仕事休んでまでして来てくれたのかな・・・申し訳ないな。
ぼふ
俺はベッドに横になりふと昨日のことを考えていた。
指名手配の殺人犯・トワ
正直、あんな奴には二度と出会いたくない。
でも最後にあいつは言っていた。
『テメェのことは絶対に忘れねぇぞ、テメェもオレのこと覚えておけ!』
恐らくいつかまた襲いかかってくるつもりなんだろう、今度は俺を標的にして。
まさか殺人犯から狙われるハメになるとはね・・・。
でも、それよりも気になるのはあいつが最後呼び出して消えていった黒い渦・・・アレはなんだ?
そりゃ俺の力もたいがいだけどアレこそおかしいだろ。
でも寄越せって言って呼んだことは、仲間がいるってことか。
仲間がいる・・・?これは、きっと警察も知らないはずだ!これは伝えな、い、と・・・。
「いや・・・駄目だ。あいつは黒い渦を呼んで消えました!だから仲間がいます!だなんて誰が信じるんだ。
下手したら俺の頭の再検査が行われちまう。」
とりあえずあいつの件に関しては警察に任せよう。ただ、あんな移動手段持ってたら捕まえるのは至難の業だと思うけど。
さて、まだ気になることがある。
俺の身体のことだ。
蹴られた痣どころか力を使った分の犠牲すら治ってるだなんて、しかも指の骨折まで。
俺がこの力を受け取ってからこんなことは今までに一度も無い。
ある程度とはいえ、完璧に狙った奇跡が起きるわけでもないからぶっちゃけ使い勝手は悪い。
力を使って受ける犠牲は受ける場所もランダムだ。
それこそ切り傷から昨日の内臓面に起こる障害まで様々だ。
昨日子供を助けた時は単純な肉体強化、まあ脚力の強化だったから指の骨折程度ですんだ。
でも【瞬間移動】なんてとんでもないことすれば血を吐く程の犠牲を払わなくてはいけない。
それも結局自然治癒でしか回復できないから入退院を繰り返すこともある。
だから全く怪我が無いのが逆に気味が悪い。
あとは・・・あの女の子のことだ。
『あなたが助けた女の子だけど腕を少し切られただけで大丈夫だったみたいよ。』
って美鈴さんは言っていた。
確か俺がトワとあの子の間に割って入った時、あの子は腕に怪我なんてしてなかったはずだ。
あの後あいつを女の子に近づけさせてはないはずだし・・・。
なんで切られたなんて。
わけがわからん。
まあ、美鈴さんの言うとおりなら会いに来てくれるかもしれないしその時にでも聞いてみるか。
「はぁ・・・とりあえず寝るか。」
さっき起きたばっかだが起きてても考え込むだけになりそうだし、俺はまた布団をかけて寝た。




