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犠牲の先にある奇跡  作者: 人生浪人
犠牲の先にある奇跡
3/14

殺人犯・トワ

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「くそっ!何で電話がつながんねぇんだよ!電波障害でも起きてるのか!?」

こうなったらこっちで何とかするしかない!

俺はさっきの悲鳴を頼りにしながらも闇雲に公園内を走り周っていた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


                グサッ!!


「ハアツ!ハアッ!」

そしてなんとか間一髪間に合った。

俺の鞄に突き刺さったナイフが貫通して今にも俺の顔にまで届きそうになっている。


女の子を見つけたはいいが殺される寸前だったために力を使わざるを得なかった。

振り下ろされるナイフから彼女を守った奇跡。


 【瞬間移動(テレポート)】


これにより俺は一瞬で彼女の目の前に現れた。

が、とっさにナイフを鞄で受けるのが精一杯だった。


「なっ、んだテメェ一体どこから現れやがった!?ああ!?」

白髪の少年が俺を見て戸惑いながら声を荒げる。

鞄からナイフを引き抜こうとしているが俺はその腕を掴み何とか阻止する。

そしてその腕を掴み返してくる少年。

ニュースで見た顔、こいつが殺人犯・トワか。


グシャッ!!


そんな音が身体の中で聞こえた気がした。

「ぐぅっ!…ゲホっ!」ビチャビチャ

どっか内臓でも犠牲になったのか身体に激痛が走り、俺は血を吐き出す。


「なんなんだ、テメェは…。いきなり目の前に現れたと思ったら死にかけじゃねぇか。」

トワは冷静さを取り戻し始めていた。

このままじゃマズイ。幸い女の子はどこも怪我は無さそうだ。なら。


「早く逃げろっ!」

俺は後ろにいる少女に促す。とりあえずこの場は彼女だけでも助かればいい、そう思った。

しかし彼女は動かない。いや、どうやら腰が抜けたのか動けないようだ。


「クソがッ!離しやがれっ!」


ドゴッ!

トワの蹴りが俺の腹に突き刺さる。

「ぐふっ!」

クソっ、たぶん内臓にダメージがあるせいでとんでもなく痛え…!

「オラッ!とっととくたばれ!」

ガッ!!ゴッ!!

「がぁっ!!」

二発、三発と容赦無く蹴りをいれてくる。


もう痛みで意識が飛んじまった方が楽なんだろうけど

俺はちらと背後に目をやる。

少女はまだ動けなさそうだ。

「…そういうわけには、いかねぇよな・・・!」


「はぁっはぁっ・・・いったいなんなんだテメェは!その女の彼氏か!?友達(ダチ)か!?かぁぞくかぁ!!?」

何発蹴ってもいつまでも倒れない俺に苛立ちが隠せないようだ。

「・・・彼氏でも、ダチでもましてや家族でもねぇよ・・・!」

「んだとぉ…?じゃあテメェは赤の他人のためにオレの前に突っ立ってやがんのかぁ!?ああ!?」

「そうだよ、悲鳴を聞いちまったんだ…駆けつけないワケにはいかねぇだろ!」

「まったく意味がわからねぇ・・・何でだ、なんでなんだ・・・」


こいつもさすがに疲れてきてるみたいだが、俺ももう限界が近い。

もうこうなったらカケだ…やるしかない!

そのためには蹴りを・・・できるだけ全力で蹴らせる…!そのためには。


「へ・・・疲れちまったみてぇだな。そうだよな、こんな死に損ないも倒せないような弱っちぃ蹴り何発も

うってりゃ疲れるよなぁ!」

「あぁっ!!?テんメェ、このクソカス野郎が!だったらお望み通りブっ殺してやるよ!」


トワが右足を大きく後に振り上げる。

今だ!

その瞬間俺は前に乗り出す

「うっ!」

片足立ち状態だったトワがバランスを崩し倒れかける。


前のめり気味の俺はそのままの勢いでトワに突っ込む。

この一瞬、俺は右手に全力をこめる!


「うおおおおおおおおおおっ!!」


ボゴォッ!!


俺の右拳がトワの顔面にめり込む。

「ガァァァアッ!!!」

トワの身体は殴られた勢いで後ろにあった樹木に背中から突っ込んだ。


ドサッ!


トワが思った以上にぶっ飛んだ。

…まさか、力が発動した・・・?


俺はその場に立ち尽くす、どうやらトワは気ぜ…


「ぐ、が、はぁはぁ・・・」

・・・立ち上がりやがった。やばい、もう俺はこれ以上動けない。

それでもやはりダメージはあるのかフラフラしている。

「・・・しょう。」


「え?」


「チクショウチクショウチクショウチクショウォォォオ!!!」

どうやら俺が与えた渾身の一撃はこいつを怒らせちまったようだ。


「おいぃぃ!渦を寄こせぇぇ!!」

渦?何を言ってるんだ・・・?


その時


ゴオオォオォ


トワの横に黒い渦が現れた。

「なん、だ。アレ・・・?」

俺は目の前の光景をただ呆然と見ていた。


「今日のとこは引き上げだ・・・だがテメェのことは絶対に忘れねぇぞ、テメェもオレのこと覚えておけ!」

なんともチープな捨て台詞(ゼリフ)を吐き捨てながらトワが渦に飲み込まれていく。


そしてトワを完全に飲み込むと黒い渦も消えた。

「なん、なんだ・・・」

痛みのせいもあってか目の前で起きたできごとに思考が追いつかない。


「でも・・・とりあえずは助かっ…たか…?あの・・・子は・・・。」


ドサッ


――俺は、その場に倒れこみ、そのまま意識を失った。

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