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第35話

結果、下記の事が分かった。


・前前頭目(アキの騎士):ルートについてはほぼ完成に近づけていたようだが、毎年、色々と細かな微調整を行い、ルート開発を進めていたが10年前に引退した

・前頭目:前任の丸パクリ。新しいルート開発はしていない

現頭目ホリイ:同上


「これは、10年近くルートは変更されていないという事ですね、レモンさん」

「運用上は最適化されていたが、盗掘対策としては最悪だったな」


そういう事か。盗掘者がアキの騎士ならば、ハルの商館の採掘士の動きは読める。一ヶ月も観測していれば、ルート設計が10年前からアップデートされていない事に気づくだろう。


つまり、採取師が通過する時期と道筋がほぼ正しく予測できるのだ。これは強い。


また、現在進行中の捜索隊について成果が上がってない理由も分かる。使うルートが固定されているなら潜伏も容易い。捜索隊がどこを通るか分かるので、ルートからセンサーの範囲外に離れるだけで安心だ。


恐らく盗掘者は、採掘に向かうもしくは哨戒中の採取師をやりすごし、のんびり追いかける形で目的の鉱山に到着し、悠々と掘っていたことだろう。


「大量の捜索隊を完全に欺いたのはこれですかね」

「クロエのとこの採取師が自分の判断で調査した方がまだ結果が違ってたかもしれないが、商圏が広すぎることが仇になった。道案内したことが足を引っ張ることになったのかもしれない」


「そんな、俺のせいで」

ホリイが尻もちをつく。


「ちがう、ホリイ。お前のせいじゃない、おまえは十分頑張っている。これはお前の上の世代の責任だ」

「……しかし」

「いいから二杯目早く吞め。炭酸抜けちまうぞ」


バネッサは二人を見つつ、先ほど気になった点についてレモンに質問した。


「レモンさん、この地図で、被害が無かった鉱山について教えてください。これらは足の悪い方は行きづらいですか」


レモンは地図をあちこち見ながらうなった。

「確かに、優秀な鉱山が見逃されているが、どれも難所がある。逆に盗掘があった鉱山は森の入り口から徒歩で行きやすい所ばかりだ」


◆ ◆ ◆


「なんだあ、静かだなあ、どうしたよ」


社長室兼作戦室の扉が開き、ハルが顔を出した。

後にクロエと、テツとオリヅルの姿も見える。


「混ぜてもらおうと、追加の酒を買って来たぜ」

ニコニコ顔のハルが笑いながら言った。


◆ ◆ ◆


「なるほど、その線は無視できないですね」

クロエがレモンから説明をうけて、あごに手を当てた。


バネッサはハルが話が進むほど、顔色が悪くなっていくのが気の毒だった。

先ほどのニコニコ顔を思い出すと悲しくなる。彼をここに誘ってしまったのは間違いだったか。


「テツ、パトラ。足の悪い者でも到達できて未だに被害が無い鉱山のピンを青色に変えてみてくれ」


二人はこの三か月でほとんどの鉱山に足を入れている。

行ったことが無い鉱山についてはレモンがアドバイスした。


「あと、私は先ほど戻ってきたのですが」

オリヅルが立ち上がってホリイに一礼する。


「先ほど、担当の方にもお伝えしたのですが、盗掘を発見しましたので、私だけ戻って報告に戻りました。ここです」


テツが青色に差し替えたばかりの鉱山のピンが赤くなった。

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