↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
15/65

第15話

前回同様、ホリイが森の入口で待っていてくれた。


車でハルの商館まで送ってもらう。

オフィスに入ると、バネッサは今回の調査報告をまとめ、提出した。


そしてホリイに、次は発見が最初期の現場を見てみたい、と伝える。


だが。


「いや、アネッサ。この地域の雰囲気は、もう分かっただろう。そろそろ本番の、盗掘者の捜索活動に入ってほしい」


バネッサは、言葉に詰まった。


確かに、本件の目的は盗掘者の捜索、および捕獲である。


現在、百名を超える採取師が、この商圏をパトロールしている。

今回バネッサは、書類上ではその一員として呼ばれているのだ。


しかし、バネッサはこの二か所の現場を見て、盗掘者の能力は相当高いと判断していた。


ハルの商圏は広い。

むやみやたらに探しても、網の目をすり抜けられる気がしてならない。


そして何より。


なぜクロエが、この地にバネッサを呼んだのか。

その理由が、分からなくなっていた。


盗掘の発覚は三か月前。

クロエは二か月前から採取師をこの地に派遣し、捜索を続けている。


それなのに、なぜこのタイミングで自分なのか。


クロエは、別のアプローチで解決することを望んでいるのではないか。


しかし、バネッサは表向き、採取師五年目の新人ということになっている。

動きが制限されることは覚悟していた。


それでも、今後どうしたものか。


「それと、明日は定期報告会なんだ。初めてだろうから、参加してくれ」


ホリイが、少し憂鬱そうに言った。


「定期報告会、とは何ですか」

「週末に行う、現在の捜索状況なんかを情報共有する会議みたいなもんだ。今回参加してくれている、他の商会の採取師も集まる」


ホリイは疲れたように肩を回した。


「といっても、遠方に出ているチームも多いから、半分も集まらないけどな」

「分かりました」


バネッサはそう告げ、事務室を出た。


ホリイは、相当疲れが溜まっているようだった。


無理もない。

自分が所属する商圏を、三か月以上、じわじわと削られているのだ。


しかも、彼は採取師の頭目である。


ハルは社長だが、採取師ではない。

つまりホリイは、本件の現場責任者なのだ。


いやだなあ。

私、そんな立場、絶対やりたくない。


◆ ◆ ◆


ふと思いつき、バネッサはナカイさんの部屋へ向かった。


ナカイさんは、にこにこと迎えてくれた。


「アネッサちゃん、ここは慣れた? って言っても、山ばっかり行ってるから、ここに慣れるわけないか」

「いえ。でも、ホリイさんが良くしてくれていますし、大丈夫ですよ、ナカイさん」

「そろそろ、ナカイさんじゃなくて、えっちゃんって呼んでよ。落ち着かなくて」

「はい。じゃあ、えっちゃん。いくつか教えてほしいことがあるのです」

「なんでも聞いて。知ってることは教えてあげる」


バネッサはまず、現在ハル商会に所属している採取師の人数を聞いた。


二十名から四十名ほどだという。

老齢などで半引退している者も含めて、そのくらいらしい。


えっちゃんは、商会の実務にはあまり深く関わっていないようだった。


次に、今回の盗掘者捜索に参加している、他の商会から来ている採取師の数を聞く。

こちらは、えっちゃんがPCを確認しながら答えてくれた。


九十四名。


宿舎の手配をしている関係で、正確に把握しているのだという。


「九十四人とは、また大人数ですね。どこに住まわれているのです?」

「アネッサちゃんたちのアパートとは反対方向にね、昔、団地だったところがあったの。そこを格安で買ったのよ」

「採取師のお住まいのために?」

「そうそう。昔はたくさん、採取師さんがいたからね」

「……昔、ですか」

「で、ハルさんに代替わりして、いっぱい辞めちゃったのよね」

「そうなんですね」


えっちゃんが何か気が付いたように言葉を付け加えた。


「ああ、ハルさんがどうこうというより、先代のアキさんが慕われててね」

「アキさんというのですね。先代社長は」

「そうそう。私も大好きだったわ。この前話した、命の恩人。すごい美人だった」

「女性だったのですか?」


「そうよお。ハルさんのお嫁さんだったの」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。