第13話
食後、三人で焚火を囲みながら、今日確認した掘削跡に関する所見を話す。
大雑把な掘削、丁寧な足跡消し。
断定はしないがやはり複数犯であると思う。
この点を頭に入れて、明日はパトラにも掘削跡の調査を手分けして手伝ってほしいと伝える。
残りの掘削場は4か所。バネッサが3か所受け持ち、パトラは1か所。
テツには引き続き、周辺警戒をお願いした。
また、テツには警戒移動中、異臭がしたらそれが何か確認して欲しいと言った。
何の匂いだ、と聞かれたが、森に普通には無い匂い、としか答えられない。
翌朝。
三人は各自ウォーミングアップ。
バネッサは、手ごろな木の枝を拾い、日課の槍の練習をした。
パトラがバネッサの身のこなしをすごいと褒めてくれた。さすがに何十年も槍を振っているからとは言えない。でもどうして槍を持っていないのと聞かれ、まだ実戦では使えないのだと誤魔化した。
「槍」のことはギルさんから絶対に秘密するように厳しく言われていた。最後の切り札であり、バネッサの最大の弱点にもなる。使う必要が出てくる局面になる前にその場から全力で逃げるように言われていたし、心がけていた。最後に使ったのは5年以上前だ。
焚火の跡の始末をし、昨夜話したそれぞれの作業に向かう。
何か新たに見つけれると良いのだが。
しかし、バネッサが調査した3か所の掘削跡には昨日以上の情報は残されていなかった。パトラも同様だったようだ。初回の調査としてはこんなものだろう。最初から有益な情報が得られると期待するのは間違いだろうが、最新の現場での成果としては少ない感じがする。
少し気落ちしながら下山する。集合ポイントにホリイが待っていてくれた。
次は今回の盗掘現場より前に被害があった箇所への調査に向かうと相談し、了解を得る。
メンバーは今回と同じという話になった。新しい人と組まなくて済むのはありがたい。
商館に戻り、今回の調査報告書をまとめて提出して本日は解散となった。
パトラと一緒に宿舎であるアパートに向かう。
お菓子の話をしながら歩いたが、結局アパートの廊下で分かれた。
バネッサは部屋にもどりシャワーを浴びながら思う。
仕事の空振りなど、それこそ成功体験の何倍も経験している。
しかし、想定よりはるかに成果が低かった。自分を過信していたのだろうか。




