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慶応4年(1868年)4月 上野国三ノ倉 三ノ倉屯所 世良修蔵

世良修蔵は苛立っていた。わざわざ上野国の僻地にまで出向いた挙句、自分の無知と浅慮を嘲笑われたのだ。すかさずその場で、打ち首を宣告してしまったのだ。


…だが、冷静になり我に帰ってみると不可思議な事に気付く。大体なぜ総督たる有栖川宮へ、正式に訴えぬのか。有栖川宮でなくとも、司令官たる西郷吉之助に書状を認めず自分の元へ。どうやら小栗の言う、狸に踊らされる云々というのもあながち間違いでは無いようだ。この書状を寄越した、勝麟太郎なる男…どうにも腑に落ちぬ。


いずれにしろ、すでに刑を言い渡してしまった後だ。陛下の命を受けて任にある者が、前言を翻すことも出来ぬ。大事にならぬよう、後は軍監の原保太郎にでも押し付けてしまえばよかろう。そうなれば、首は館林に送られ首実検の後に葬られよう。とにかく、このような汚点を残すような真似だけは隠滅しておかねばなるまい。

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