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バルルルルルルルルル……!!!!!!!!
連続で轟音を響かせながら魔道の弾丸を撃ちだし続ける4門のガトリングガン。
その威容は、控えめに言って化け物だろう。
つってもこれ、試技バッチつけてない奴相手だと、静電気をピリッと食らったくらいの痛みと、数秒の体のマヒくらいしか効果無いんだけども。
試技バッチつけている相手だとしても、HP的なものを1割程減らす程度の性能に落ち着いた。
つまり10発当たれば、1回デスってリスポーンしちゃう威力だ。
とはいえ、そんな何発も連続で当たる間抜けはおらんやろ……なんて甘い事を考えていた俺は、スタン効果のある武器の恐ろしさを完全に忘れていた。
前世でやった事のあるゲームでも、そういやあったなぁ……。
スタン効果があって連射の効く武器がヤバすぎて使用禁止になったり、弱体化させられてたこと……。
『あばばばばばばばばばばば あっ』
ヘルシャフトのコクピットは、全周型のモニターになっている。
つまり、どっちを向いても外の景色が見える訳だ。
更に、センサーで近くの人間はほぼ確実にとらえられるので、見逃してしまう事も無い。
死角も無く、スタンがある武器を連射してくるヘルシャフトを前に、無謀にも接近戦を挑もうとする奴らは、例外なく瞬殺されていった。
ここまで倒すつもりなかったんだけどもなぁ……。
桜花祭前半は、天使の殲滅を優先するために、人間は俺が全部対応して、後ろの席に座っているクリスと、2番機に乗っているセラフィと涅に天使への攻撃に集中してもらってたんだけども、俺のこのガトリングガンだけで十分以上に戦えてしまっている……。
『ヒャヒャヒャ!見てください!天使が虫のようです!いや、そもそも害虫みたいなもんですけどねあんなの!』
『これ映画とかの映像じゃないんですか!?この世の映像なんですか!?』
『リエラは エナジードリンク のみます』
2番機からの通信がコクピット内に響く。
シューティングゲーも割と得意らしいセラフィが大喜びで同族を消し飛ばし、大混乱中と思われる涅も条件反射的にミサイル乱射で空を炎で染め上げていた。
それらを行うための魔力を維持するために、リエラがエナドリを飲んでいる。
特別なものではなく、普通にスーパーで売ってたクソ甘エナドリだけど、これだけで十分この程度の魔力なら維持できるらしい。
やっぱよくわからん生き物だわ……。
「アイ、天使の駆除状況はどうだ?」
『はい。この世界に存在する外来種天使の駆除率約38%、依然上昇中です』
「そうか。いやぁ、あのパピーが佐藤の檻のとこに来てくれて助かったよな。どこに隠れているのかとか、天使の反応とかデータ取り放題だったし」
『異空間に隠れたとしても、その異空間の場所さえ把握してしまえば、幾らでも対処可能ですからね』
佐藤達の所に天使が来るかもしれないと思ってアイたちが張っていた網に、まんまとかかったパピーことウリエル。
どうやら機械関係にめっぽう弱いらしく、アイたちによって全てが丸裸にされていた。
とはいえ、そのまま相手の待つ異空間に攻め込むと100%の殲滅は難しく、何匹かに逃げられそうだというアイの計算結果によって、桜花祭にわざわざ奴らが出てくるのを待って攻撃を開始している。
面白いように討伐数が上がっていくけれども、こいつら頭大丈夫か?
仲間が成す術なくやられているのに、よくこんな攻め続けられるな……。
「なぁクリス、天使ってどいつもこんなんなのか?」
「ちがうよぉ?でもぉ、コイツらの主がちょっと特殊な奴でね、とにかくゴリ押しで周りに迷惑かけまくってる頭がおかしい奴なの。とにかく自分を信じろってタイプの奴でぇ、部下にされたらその指示に疑問すら持たないように洗脳されちゃうんだよねぇ。あーキモ!」
「じゃあ、何か俺たちの裏をかくような狙いがある訳じゃなく、とにかく突撃するって考えしか無いって事か?」
「だと思うよぉ?『我らが主の為に、総員突撃!』とかウリエルに指示出されたまま、次の指示を貰えてないんじゃなーい?細かい作戦を考えるのなんて神への信仰を否定する行為とか思ってんの」
「へぇ」
碌なもんじゃないなぁ外来種天使。
『そもそも下っ端の天使なんて使い捨ての道具くらいにしか思ってないんですよパピーは。それよりも多くの人数を攫って自分の主人の所に連れて行けばいいって考えですしねー。なんなら自分の家族の事だってどうとも思ってないと思いますよ?私を作ったのだって、この世界に長期滞在する名目を作るためってだけですし』
「子供作るとこの世界に居られるのか?」
『明文化されたルールじゃないですけどねー。その世界で子供を作ったなら、その子がある程度大きくなるまでその親も一緒にある程度生活すべきなんじゃないか?それを妨げるのはマナー違反だろう?みたいな論調でゴリ押ししてくるんですよ。特に今攻めてきてる外来種天使たちの主は』
「そっかー。良し、やっぱり外来種天使は一匹残らず殲滅で良いな!」
『はい♪』
セラフィが良い返事と共に大砲を空にぶっ放した。
2番機『パピオン』は、ヘルシャフトのガトリングガンとは違い、手には大砲を持たせていた。
その弾頭は、目標地点に到達すると爆発し、様々な効果のある特殊な粉末をまき散らす化学兵器みたいなものだ。
ちなみに、その特殊な粉末は、リエラの鱗粉である。
効果の調整もリエラ次第なので、とりあえずある程度の高度で漂い、天使のみに炎上効果を齎すようにしてもらった。
その為、次から次へと突入してくる天使たちを薪にして、巨大な火球が持続して空に形成されているような状態になっている。
『この世界に存在する外来種天使の駆除率約42%』
「4割行ったか。となると、流石にそろそろケツに火が付いたパピーが、恥とかそういうのかなぐり捨てて動き出し始める頃合いかな?」
『……どうやらそのようです。犀果様の前方約300mに、ウリエルが顕現しました。付近には、雷堂運命たちもいるようです』
「お、来たか!どんな感じだ?」
『表情から察するに、ウリエルはブチギレています。雷堂運命は、頭を掻きむしりながら犀果様への罵詈雑言を吐き続けているいるようです。それ以外のメンバーは、ほぼ全員がここからどう逃げるかを必死に考えて話し合っているようですね』
「海鈴は?」
『まだ裏切っていると完全にバレる訳にはいかないからと天使を攻撃する事ができないため、早く撃たせてほしいと宣言チーム最後尾で犀果様にジェスチャーで伝えているようですよ。喋ると周りに聞こえてバレるからでしょうけども……どうしますか?』
「まだダメだろ。我慢させとけ」
『アイサー』
とうとう相手のボスが出てきたわけだが、まだウリエルに自分達が敵側から丸見えだという事をしっかり認識されたくは無いので、とりあえずは様子見だ。
何があったのか知らないけども、佐藤の様子からするに、こっちに破れかぶれで攻撃してくるのも時間の問題だろうしな。
「大試くぅん?ウリエル撃っちゃだめぇ?」
『パピーをキルするなら私がやりたいですねー!成功したら気持ち良すぎて口から羽毛がモリモリ出ますよきっと!』
「あーうん。もう少し待ってろ。遠いと避けられそうで嫌だし」
「はーい」
『了解でーす』
あまりにも指揮がアホすぎて忘れがちだけども、ウリエルはそこそこ偉い天使っぽいので、攻撃するならダメもとなんて事は絶対にせず確実に当てるように、だ。
さて、どのくらい待たされるかなぁ……?
なんて思ったけれども、その次の瞬間には、佐藤が俺たちの方に向かって走り始め、その前を塞ぐように……というより、佐藤を狙う俺たちの攻撃を食らって、当たり屋的因縁をつけて誘拐を正当化しようとしているらしいウリエルが突っ込んできた。
おっとぉ、こうなったかぁ……。
複数人で俺たち相手に数の利を使って何かしらの作戦をもって攻めてくるならもう少し付き合おうかとも思ったけれども、錯乱したように突っ込んでくる以上、もうこれ以上は魔王らしくドンと待ってても無駄だな……。
「おーい、海鈴ー。作戦通りやっていいぞー」
『やった!じゃあ行きますね!ヘイ、ワンキル目!死ね佐藤君!』
海鈴が放った弾丸が奇麗に佐藤の眉間を後ろから貫き、そしてそのまま佐藤は、聖羅たちが守るリスポーン地点へと送られるのだった。
感想、評価よろしくお願いします。




