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俺の名前は、雷堂運命。運命と書いて、フェイトと読む。
雷堂って苗字もそうだけど、我ながらすごい主人公っぽい名前だと思う。
それもそうだろう、俺のこの体は、前世で俺がやっていたフェアリーファンタジーというオンラインゲームで俺自身が作ったアバターその物だったからだ。
そう、俺には前世の記憶がある。
修学旅行中に、高速道路でバス事故に遭った俺は、その記憶を持ったままこの世界に転生していた。
この世界は、フェアリーファンタジーシリーズのネタがやけに詰まった世界だった。
俺は、オンライン版をよくプレイしていたけれども、一応全シリーズラスボスを倒す所まではやっているのでわかる。
明らかに、あのゲームを意識した世界だ。
神の悪戯なのか、それとも悪魔か……。
なんにせよ、俺は、この世界で主人公になるために転生させられたんだ。
ゲームの世界に異世界転生……どう考えても主人公だろ?
雷堂子爵家という貴族の家の長男に生まれた俺は、将来この家を継ぐことが決まっている。
子爵家といえば、まあまあ偉い貴族だ。だが、まだまだ上には上の貴族がいる。
つまり、俺はもっと上を目指して成り上がれる余地があるというのも主人公っぽい。
更に俺が主人公っぽい要素としては、前世からのヒロインがいる事だ。
『舞浜海鈴』。海鈴と書いてマリンと読む。
この女が、この世界での俺の婚約者となっている。
前世でも今世でも、親同士が仲良くて、俺達自身もお互いを意識しあっているけれど、ラブコメみたいにイマイチくっつく所まで踏み込めない関係……って言えばいいのか?
周りからは、明らかに俺たちが付き合っていると思われていたみたいだし、時間の問題だったろうけれども。
海鈴の前世も滅茶苦茶可愛くて、早くキスとかセックスとかしたかったけれども、中々そういう雰囲気にならなかった。
その海鈴が、転生したこの世界では更に可愛くなっていて、正式に婚約者になっていたんだから、もうこれは完全にそういうストーリーだろってわかったな。
ただ、なんであんな変なメガネつけてるんだろうか?
メガネなんて外せよ。
海鈴は、前世でゲームが好きだった。
特にFPSが好きだったみたいで、たまにオバサンに誘われて遊びに行くと部屋でいつもその手のゲームをしていて、ボイチャですごい汚い言葉を叫んでいた。
流石に将来俺と結婚する女としてどうなんだと思って「FPSなんてやめた方が良いんじゃないか?野蛮だし」って助言してみたら、「はい?死んでよ」と軽く喧嘩になった。
まあ、ああいう喧嘩もラブコメの定番だから、将来的には俺達の関係を発展させるスパイスみたいなもんだったんだろうけどさ。
転生してからは、こっちの世界の両親の意向でFPSをさせてもらえなくなったみたいだし、良かった良かった。
その海鈴と俺は、前世でフェアリーファンタジーをやっていて、同じギルドに所属していた。
クラスの奴らも一緒にいたんだけど、実質俺と海鈴、あと何人かの女のハーレムギルドだったな。
そいつらも一緒にあのバス事故で死んでこの世界に転生していたってわかったのは、つい最近の事だった。
王立魔法学園の入学式にやってきたら、フェアリーファンタジーで使ってたアバターそのままの奴らがいたんだ。
これはもう、クラスまるごと異世界転生したって事らしい。
どれだけこの世界を作った神様は、俺を主人公にしたいのか……。
だが、問題もあった。
異世界転生チートか何かを持っているのか、原作のシナリオを完全に破壊して好き勝手やっている目障りな奴がいたんだ。
2年か3年くらい前までは、まったく名前も出てこないモブとして生活していたらしいのに、いきなり貴族になって王都にやって来たと思ったら、アホみたいに活躍しているらしい。
名前は、『犀果大試』。
もちろん原作ゲームに出てこない奴だ。
確実に異世界転生モノの主人公を邪魔する他の転生者だろう。
そいつが、原作でも人気あった女キャラや、原作に出てこなかったけどすごい美人の女キャラをドンドン自分の女にして威張り散らしているらしい。
それをニュースとかで聞いて、俺が入学するまでに大切な女キャラの処女が奪われてたらどうしようと焦っていた俺。
転生した他のクラスメイト達も、俺と同じ思いだったらしく、入学式後に色々話し合ってあの犀果大試を倒すことに決めた。
転生モノなら、ああいう奴は倒すって決まっているしな。
海鈴だけは、「いや、止めときなよ。死ねよ」と皆を止めていたけれども、アレは多分俺たちの心配をしていたんだろう。
だが、原作知識でチートできるのはアイツだけじゃねぇ。
俺達だって、レベル上げしやすい場所やコスパの良い装備なんかの知識は沢山持っているんだ。
レベルだって、もう全員20を超えている。
現実となったこの世界では、入学時に20レベルなら、十分チーターだと思われるくらいの高レベルだ。
それが今、12人もいるんだからな。
もしかしたら、他にも転生している奴らがいるかもしれねぇけど、正直よくわからん。
アバターに見覚えがある奴らで集まってるだけで、それ以外にお互いを認識する方法も無いしな。
だから俺は、敢えて目立つところでパフォーマンスをすることにした。
桜花祭で、何故か犀果大試が自分が魔王として戦うとか言い出したからだ。
ここで俺が前に出て、主人公っぽさをアピールすれば、他にも転生してきた奴らが仲間になるかもしれない。
12人でも囲んで戦えば負けるとは思わないけど、増えれば増える程勝率は増すだろうし。
あのバス事故で一緒に乗っていたクラスメイトは、全部で30人以上いたはずだしな。
カッコよく排除を宣言した所までは良かった。
なのに、あの犀果は、本格的に悪役だった。
なんと、戦闘パートとか無視して後ろから俺に斬りかかって来たんだ。
不意を突かれた俺は、体を切り裂かれてしまった。
それでも何とか反撃をして相手にもかなりのダメージを与えたはずだが、そこに更に聖羅まで参戦してきて、俺は惜しくも負けてしまった。
聖羅が肉弾戦をするなんて原作には無かった要素だから、多分犀果に洗脳されてるんだと思う。
最悪だアイツ、どれだけこの世界を滅茶苦茶にするつもりなんだ?
その後は、生徒会が管理しているっていう鉄格子つきの部屋に入れられて数日過ごした。
一緒に入れられたクラスメイト達と、犀果への怒りと倒す方法を話し合っていた時に、俺はふとある事に気が付いた。
海鈴だけがいない。
まさか、犀果が……!?
クソ!俺の海鈴を!
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