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「あのぉ……本当に天使殺してもいいんですか?しかも、他の世界の神様の手下なんですよねあのウリエルとか言う筋肉は?」
「なんだ?まだ不安か?」
「不安って言うか、ぶっ殺してからやっぱあの時言ったの無しな!って言われたらどうしようもないレベルの重大ごとなんで……」
「まあ、実際オレが直接手を下したらヤベーけどな。だがよ、アイツらがこの世界に来てたまに人間攫って行く時に、当然オレは抗議するんだわ。するとな、アイツら堂々とこう言うんだよ。『たまたま我の配下が世界を渡ってしまうというアクシデントに見舞われ、その先でたまたま現地の生命体から攻撃を受け、正当防衛で反撃したに過ぎない。それに文句を言うのであれば、いささか現世への肩入れが過ぎるのではないか?世界神としてのマナーがなっていないな』とかよぉ!ぶっ殺してぇだろ!?」
「あ、うん。俺ならその時点で殴ってますね」
「だがよぉ、相手の方がオレよりよっぽど位が上の神なんだよ。だからな、直接戦うわけにはいかねぇ。つまりだ、理屈には理屈で対抗すんだよ。『あ?テメェの配下がこっちの世界で死んだ?たまたま世界を渡るというアクシデントに見舞われた間抜けが、こっちの世界で現地の生物に攻撃を仕掛けて、たまたまそいつが強くて、情けなくも負けて死に晒しただけだろ?それに文句を言うなら、いささか他の世界への干渉がすぎるんじゃねぇか?神としてのマナーがなってねぇなぁ?』ってよぉ!」
「酔ってます?」
「酔ってんなぁ!」
リスティ様、ゴキゲンである。
この人、神様なのに案外酒に弱いんだよなぁ。
もしかしたら、敢えてアルコール耐性を下げてるのかもしれんけども。
「それでもまだ不安だって言うならよぉ、お誂え向きに丁度いい人材居るじゃねぇか、お前んちに!」
「俺の家に、丁度いい人材が?」
「そうそう!オレよりも位が上の神で、しかもお前に服従状態の奴と、この世界所属で現在最高位の天使がよ!」
「いましたっけ?」
「いるいる!今夜は馬小屋の2階でそろそろ寝る時間みたいだぜ?昨日は、エビ養殖場の2階だったみてぇだけど、案外エンジョイしてて笑えるんだよあのデタラメ女!天使の方は、さっきお前が風呂場に投げ込んでただろ」
「んん……?」
神で、俺んちの馬小屋とかエビのとこで寝泊まりしている奴……?
えーと……。
「あ、ボボンですか?」
「そーそー!ボボンな!あの地球の女神をボボンって呼ぶんだからすげぇよな!」
「すごさがわかりませんが……。え?あいつそんなすごい神だったんですか?」
「そうそう!もっと位が上の神が自分の仕事を押し付けるのと、ついでに娯楽的な世界にするために用意したのがアイツだからな!そりゃ位も上がるわ!」
「へー……」
そんな奴に馬の世話とかエビの世話させてんのか我が家は……。
「……あれ?そっちも衝撃でしたけど、セラフィもそんなすごい天使だったんですか?」
「父親のウリエルの主である神が、それこそかなりの高位だからな!それに比べて、この世界の天使なんて、元々のボスがあのバカ女で、今のボスがオレだし!他のこの世界所属の天使たちは、ベテラン皆辞めちまったしな!1人なんて、お前のとこで天使辞めて妊娠してるくらいだしよ!俺もあのバカ女も神としては木っ端だよ木っ端!」
どうやら、リンゼとリスティ様は、神様ヒエラルキーでは、あまり高いほうにいる訳ではないらしい。
「そうなんですね。うっかりで俺を爆殺したリンゼはともかく、てっきりリスティ様はもっと偉いのかと思ってました」
「んな訳ねぇだろ!オレなんてよぉ、下っ端も下っ端よ!まあ、昇進するような事してなかったってのがでけぇんだけどな……。だぁから、こうして他の神が作った世界の管理をいきなり押し付けられてんだよ!笑えるわ!」
「それでもちゃんと仕事してるじゃないですか。引継ぎも碌にされないで、どんな仕組みになってるかもわからない物を押し付けられたうえで、ちゃんと仕事を回しているのって凄いんじゃないですかね?少なくとも俺からしたら、リスティ様は偉いと思いますし、カッコいいです」
「お、おう……そうか?」
「俺みたいに、普通の人間ともちゃんと話してくれますし、相談したらちゃんと俺の力になってくれる辺り、マジ信仰ですわ」
「だろ!?オレもさぁ、実は自分なりに頑張ってるよなぁって思ってはいたんだよ!でもさぁ、それを褒めてくれる奴なんていねーしさぁ!娯楽として見に来てる連中は、ここをこーしろだのアレをあーしろだの、うるせーってんだよ!」
「そうですよねー、大変ですよねー」
「う!うぅ!大変なんだよぉ……!わかってくれるのはおまえくらいだぁあ!!」
「はいはい、愚痴ならいくらでも聞きますから」
「うわあああああん!もうつかれたあああああ!剣だけつくってたいいいいい!」
酔っぱらっていたので、開拓村の酔っぱらいどもと同じように、とりあえず愚痴を聞き流すようにしていたら、リスティ様がマジ号泣を始めてしまった。
開拓村の連中と違って、マジでこの人はちょっと色々不憫だし、ここで慰められるのが俺くらいしかいないので、腹の所に飛び込んで抱き着きながら泣きじゃくるリスティ様を優しくなでながら、「そうだよね」「わかる」「すごいね」と話しかけて行く。
暫くそのままいたけれども、リスティ様の愚痴が神様スラング的なのが多すぎて、何言われてるのか全く分からないし、多分分かったらヤバい事な気がするので、そろそろお暇させてほしいんだが……。
だって、もう俺の認識だと2時間くらいこうしてるし……。
「……えーと、リスティ様、そろそろ帰りたいんですが……?」
「…………んんっ…………やぁ…………」
「いや、やぁって……」
「すぴぃ……すぴぃ……すぴぃ……」
「あれ?寝てる?え?ちょっ」
そして俺は、リスティ様がぐっすり眠ってから、徐に起きて、「あ、わりぃ!またやっちまった!」と慌てて俺を元の世界に戻すまでの約8時間を正座のまま過ごした。
リスティ様の酒臭さの中に感じる良い匂いと、太ももにあたる巨大な2つの柔らかい物の感触に耐えながら。
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