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「って事があったんですよ」
「おお……いや、まあオレもここでそれは見てたからわかってっけどよ、お前ってホント訳わかんない事に巻き込まれるよな……」
「世界を管理している女神様に訳わかんないとか言われると、流石に俺も不安になりますが……」
俺は、天使のパピーとかいう筋肉に関して何か良い情報が貰えないかと、リスティ様に会いに来ていた。
お土産として、ある物を持参しながら。
「それで、どうですか?夜分遅くだったので、こういうお土産も悪くないかなって思って持ってきましたが……」
「お前さぁ、夜になってから女への土産にアイスクリームと酒を持ってくるとか馬鹿なのか?馬鹿だろ絶対?」
「お気に召しませんでしたか……」
「気に入り過ぎてるから問題なんだろうが!美味いわクッソ!」
「お口に合ったようで何よりです」
母さんが言っていた。
「夜のアイスはヤバイ」と。
前世の母さんは言っていた。
「冷凍庫にアイスクリームを入れておくのは戦犯」と。
そして2人ともが言っていた。
「アイスクリームに酒は合う」と。
というわけで、冷凍庫からちょっとお高いアイスをいくつかと、ワインサーバーからソフィアさんおすすめのお酒に合うお酒を抜き取って、狸神社までやってきてお参りしたんだ。
絶対に気にいってくれるとは思ったけれども、太るから嫌だとか言われるのだけは心配だった。
まあ、神様だし肥満とかは何とかなんだろ?っていう丸投げ精神でもって敢行したんだけどさ。
因みに俺は、アイスクリームではなく、中にかき氷が入っている昔ながらの安いアイスのグレープ味を食べている。
正直言うと、ある程度暖かい季節の場合は、アイスクリーム系よりこういうののほうが好きなんだよなぁ……。
寒い季節なら、暖かい部屋でアイスクリームなんだけどさ。
2個目のアイスクリームを食べ終わった辺りで、リスティ様が改めて話を始めてくれた。
「で、あの筋肉天使についてだよな?」
「はい。よければ、何か有用な情報が貰えないかなぁと。なんなら神様も部下的な存在なんでしょうし、リスティ様からガツンと言って首刎ねたりしてくれたら楽だなーとかも思ってます」
「サラッとエグイ希望をだしてくるなぁ……。まあ、多少情報をやるくらいなら構わねぇけどよ、排除するようなのは無理なんだわ。わりぃな」
「そうですか、残念です……」
だろうなとは思っていたけれども、そう簡単にはいかないらしい。
「そもそもよぉ、大試は天使についてどこまで知ってんだ?」
「何にも知りません。強いて言うなら、ちょっと臭いかなって」
「それ、受肉してんのに風呂も入らねーでゲームしてる奴限定だろ……」
具体的に言うと、セラフィとか言う奴かな?
「じゃあ教えていくけどよ、ゼルエルの事は分かるよな?」
「あ、それはもう大丈夫です」
「そのゼルエルは、元天使なんだけどよ、成立したのが『この世界の中』っていう特徴があるんだわ。逆に、あの筋肉だるまに関して言うと、成立したのが『この世界の外』っていう特徴があるんだよ。ようは、この世界で成立している神の部下として作られたのか、それとも世界の外の神によって送り込まれたか、って違いなんだけどな。つまり、あの筋肉だるまに関して言うなら、オレは完全に管轄対象外になっちまう訳だが……」
「へぇ、世界の外からやって来てる奴もいるんですね?」
「まあな。つってもセラフィに関しては、親は世界の外からやって来た天使だけどよ、本人はこの世界で成立した天使だから、オレの部下って事になるんだけどな。本人は、自分の親が世界外から来た存在だって事は教えられてねーみてーだし、仕事サボってゲームばっかしてっから、オレへの崇拝的なもんはあんまりねぇけどな……」
それは分かる。
だって、臭くなるまで引きこもってゲームしてたもん。
なんとか一言言ってやってくれよ!
「セラフィについてはいいです。問題は、そのパピーの方ですよね」
「ああ……。因みに、そのパピーの名前は、ウリエルな」
「ウリエル……」
「なんで外部の天使がこの世界にやって来てるかっていうとだな、そこら辺は半分くらいセラフィが説明してた通り、天使見習いを見繕いに遠征してきてるんだわ。そして良いのを見つけたら攫って、奴隷のようにこき使うんだが、攫っていい条件があってな。相当なクズでもねぇと該当しねぇ」
「でも、佐藤とかいう奴が引き連れてた奴等と、更に俺までロックオンされたっぽいってセラフィは言ってましたよ?」
「みてぇだな。つっても、お前たちは別にその条件を満たしている訳じゃねぇぞ?ただ単に、佐藤の方は、前世で使ってたゲーム中での名前が、この世界の称号にそのまま記載されちまってて、それがよっぽどの肩書だったもんだから、ウリエルの野郎が珍しく確認しに来たってだけみてぇだけどな」
「え?じゃあ俺は?」
「神剣持つほどオレの寵愛……お気に入りってわかって、欲しくなったんじゃね?」
「えぇ……?」
筋肉だるまのおっさんに、奴隷用人員としてロックオンされるとか嫌すぎる……。
「んで、この攫っていい条件ってのには、幾つか例外条項があってな?それを満たしちまえば、例え普通の人間だろうと攫って良い事になるんだわ。ウリエルが狙ってんのは、多分それだろうなぁ……」
「例外条項?」
「まあ、分かりやすく言えば、天使側の正当防衛が認められるような攻撃を仕掛けてきた場合、その仕掛けた人間は攫っていいと認められるって感じだな」
「へぇ……。でもそれって、当たり屋というか、姿見えない状態でこっちの攻撃の射線上に入り込まれたら、知らない間に正当防衛の条件成立しちゃうかもしれないって事ですよね?」
「そういうこったな。やり方が姑息でマジ嫌いだわ」
ツバでも吐きそうなくらいの嫌悪感を醸し出しながら、3つ目のアイスクリームへと手を出したリスティ様。
よっぽど嫌いらしいなパピーのこと……。
「あの集会で正当防衛を成立させられたら良かったんだろうけどよ、あそこを逃した以上ウリエルが次に狙ってくるとしたら、桜花祭に乗じてって感じだろうなぁ……」
「諦めてくれたりとかは……」
「期待できねぇなぁ」
「ですかぁ……」
ストーカーみたいな奴だなあの筋肉。
筋肉なのに爽やかさが致命的に足りない。
「となると、どう対処したらいいんですかねぇ……?攻撃したらアウトな上に目に見えないなんて……」
俺は、割と絶望的な状況にどんよりとした気分のままリスティ様に聞いた。
するとリスティ様は、『何言ってんだお前?』って顔で俺に答えてくれた。
「いや、大試のいつも通りの対応で良いんじゃね?」
「いつも通り?」
「ぶっ殺しちゃえばいいじゃねぇか」
「へ!?ぶっ殺すって!?天使をですか!?」
「そうそう」
「大丈夫なんですかそれ……?」
「良いぜ別に。あまりオレが直接的に関わるとマナー違反って事で他の神から文句言われる事もあるけどよ、大試が反撃のためにブチ殺すのはセーフだ。オレが決めた。この世界ではそれがルールに今なった」
サラッと世界の法則が生まれる瞬間に立ち会ってしまった……。
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