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「お前の父親って事は、家出中のお前を探しに来たのか?」
「あ、それは無いです。絶対に無いです。あのパピーが、娘が10年や100年行方不明になったからって探しに来るわけ無いですよ」
「単位おかしくない?」
「前は、1000年くらい居なかったのに気が付かれてなかったですからねー」
「もっと単位バグったぞ?」
こいつ、自分の正体を隠す気があるんだろうかと何度目になるかわからない疑問を持ちながらも、それ以上に衝撃の事実が出てくる物だから戦慄するわ……。
「改めて確認だけど、この筋肉ダルマは、お前の父親ってことでいいのか?」
「はい、間違いなくパピーです」
「間違いないのか……」
何してるんだエンジェルパピー……。
「じゃあ、この筋肉だるま天使の娘としてのセラフィに聞きたいんだけど」
「なんですかぁ?天使じゃありませんけどね私」
「……ああ、うん。このオッサンの目的に何か心当たり無いか?こっちとしては、現状ただのホラー的な存在と言う事しかわかってないんだけども」
「目的ですか……、うーん……」
俺の質問に腕を組んで考え込むセラフィ。
同じ天使にすらよくわからんのかコイツの目的?
それはそれで怖いぞ……。
だって、この筋肉だるまが人間に見えなくなる力を使ってそこで仁王立ちしているのが、天使的にわかりやすい行動って事ですらないって訳だろ?
正体がわかって多少ホラー度が下がったかと思ったけど、更にホラー感増したわ……。
俺が、頭の中で色々と悪い想像ばかりしていると「あっ!」とセラフィが何かに気が付いたように声を上げた。
「そういえば、パピーの会社の業務で似たようなのがあったかもです!」
「業務?」
「はい!新卒採用ですね!」
「新卒?」
「人間を卒業させて、天使見習いにするんですよ」
「人間を卒業って……」
筋肉の化け物が人外の化け物でも作り出そうとしてんのか?
「でもちゃんとルールがあって、そのルールにそった人間を選ばないとパピーの方が逆に人間に堕とされちゃうんです。なので、内心『ルールとか知らんわ!誰でもいいから会社の奴隷を用意せねば!』とか考えながらも、ルールに抵触しない人間を物色しているって感じじゃないですかねー?」
「いや、だからサラッと言うなって。何?天使見習いで奴隷?」
「天使見習いにすることで、その人の魂のカルマと自尊心をバッキバキにへし折るんです。そしてそこで生き残れた者だけが、人間から天使へと至れるんですよ」
「ブラック企業の新人教育みたいな感じか」
「ええ、ぶっちゃけパピーのお仕事って天使材派遣業ですからね。新しいの見繕いに来たんでしょう」
「天使材派遣業……」
やめろよ、ファンタジーをリアルのスパイスで台無しにするの……。
「ただなぁ……さっきも言いましたけど、天使見習いにするのが許される人間って、相当なゴミクズじゃないと適法にならないんですよ。それこそ、人生2回目以降で、前世も含めて色々やらかしまくったとかでもない限り……」
そこまで言って、またも何かに気が付いた様子のセラフィ。
探偵アニメか何かに影響されたようなアクションを決めながら、俺の方に目線を向け、静かに話を再開する。
「もしかして、彼は転生者なのでは?」
「多分そうだぞ。転生者について情報持ってたのか?」
「ええ、それはもう。そういえば、大試先輩も転生者ですよね?」
「……なぁ、それってどこから得た情報?そんな誰でも知ってるようなもんなの?」
「え?だって天使は転生のお手伝いもしているんですよ?そりゃ知ってますよー……ってぇ!まあ、私は天使じゃないんですけどね!?危ない危ない……誘導尋問に引っ掛かる所でしたよ……ビックリして口から羽出る所でした……」
「ふぃ~」と大きく息を吐きながら冷や汗を服の袖で拭くセラフィ。
こいつ本当にこれで誤魔化せたつもりになってるっぽいのがこえぇんだよな。
しかもその行動のせいで、また更に体臭が増したぞ?
さっさと風呂入って来いよ……。
「……ん?待てよ?ってことは、パピーはこの佐藤をスカウト……というか、捕獲しに来たのか?」
「そうかもですねー」
そう言いながら、映像をササッと送って確認する汚天使。
「あれ?」
その指がふと止まり、そしてギギギっとこちらを向いた。
「あのぉ……」
「どうした?」
「確かにパピーは、この時周りに集まった人間たちをロックオンしていたみたいなんですけど……」
「あーやっぱりか。まあ、そんだけ色々やらかしてるってことなんだろうし、自業自得だな!しーらね!俺関係ないわ!」
「いえ、それが無関係って訳でも無いみたいでですね……」
「ん?」
何?どういうこと?
「このシーン見てください」
「んん?どこ?」
「ここですここ!この瞬間のパピーの目を!」
「目?見たけど……」
「この瞬間、明らかに犀果先輩を見て、目をビカッと開いてるんです。アップにすると、瞳に先輩が思いっきり映り込むレベルで見つめてます」
「…………えっと?」
「一番の狙いは、多分犀果先輩になったんじゃないかな~と……」
え?
イヤなんだけど……。
「「「早急に天使滅殺兵器を開発いたします」」」
「ひぃえええ!?私天使じゃないですけど、それはすごく怖いんですけど!」
AIメイド3人が慌てて食堂から出て行き、そこには俺とブルブル震えるセラフィだけが残された。
「……とりあえず、お前は風呂入れ」
「いやですよぉ!めんどくさいです!お風呂なんて天使滅殺兵器じゃないですかぁ!」
臭う天使を無理やり捕まえて大浴場の更衣室に投げ込んだ後、俺も天使対策を始めることにした。
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