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剣と魔法の世界に行きたいって言ったよな?剣の魔法じゃなくてさ?  作者: 六轟


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822:

「へぇ、そんな事があったんだねぇ。それでも魔王役やるのかい?」

「そりゃやりますよ。あんな雑魚に止められる程、俺の情熱は甘くないです」

「ならよかった!今回の桜花祭で大試君がやりたいって言ってた事を僕なりに整理して、そして新しい装備を作ってみたんだ!」

「装備?あのパワードスーツの他にって事ですか?」

「あ、アレは今度から試作型パワードスーツ、PS-0、コードネーム『ヘルシャフト』って呼ぶことにしたから」

「あんだけいっぱい作ってたのに、形式番号で0するんですね……。あと、ヘルシャフトってなんですか?」

「『支配』だね!」

「支配……!」


 うん、響きからしてドイツ語だろうとは思うけど、やはりドイツ語は素晴らしい。

 ドイツ語ってだけでカッコいい気がするもん。

 確か、『ヴルストヴァルツェ』とかいうカッコいい響きの言葉が、日本語に訳すと『乳首』だった気がする。

 よく聞く『シュヴァルツ』も、訳すとただの『黒』だったはずだし。


 てか、やっぱこの世界は、そういう外国語が存在しているにも拘らず、普通に日本語で意思疎通できる辺りがゲームっぽいよなぁ……。

 ボンボンとは普通に会話できてたし、ボボンもこっちきてから何の問題も無く日常会話できているし。

 ……ボボンの生活環境に関しては、ちょっと問題あるかもしれんが……。

 流石にそろそろ馬小屋から母屋に引っ越させてあげないと……。

 まあ、あのブラック用の建物は、普通の民家よりよっぽど金かかってるし、ボボンが住み込んでる部屋も、ちょっとリッチなビジネスホテルくらいの豪華さではあるんだけども……。


「それで、パワードスーツ……ヘルシャフトの事じゃないとすると、何を作ってくれたんですか?」


 そう!まる義兄さんの口ぶりから察するに、俺がやりたいと思ってる魔王役に相応しい装備を作ってくれたはずだ!


「まずはだね……パイロットスーツだ!」

「おおおお!」

「これに関しては、依然から大試君に渡している強制徴収型魔道スーツの発展形というか、パワードスーツに搭乗する事を前提にした性能にしてあるんだ!」

「成程……例えばどんな部分がですか?」

「一番は、魔力伝導率のアップかな?魔道スーツ自体よりも、機体に大試君の魔力を明け渡す機能を優先してあるんだ。逆に、魔道スーツ自体の戦闘力は、通常の強制徴収型魔道スーツよりも下がっちゃうけれど、元々あれは大試君が神剣を装備出来ない状況を想定して作った物だし、そういう縛りなく装備できるならこっちでも十分な性能だと思うよ?」

「ほうほう……」

「あと、トイレ機能も付いている!」

「長時間の運用でも問題ないように……ですね!?」


 知ってる!

 SFものでよく出てくる奴!

 現実の宇宙服だと、基本はオムツだった気がするけれども!


「吸い取って浄化して飲料水にしてくれるよ!」

「水が貴重な場所でも安心ですね!」


 実際にそういう場所で活動しないといけない状況になりたいとは思わないけれども、そういう状況にも対応できるという事実があるだけでも心の余裕が違うからな。

 重要だぜ……!


「とまあ、パイロットスーツは後で説明書を読んでもらうとして、次はコレ!銃だよ!」

「銃ですか?」


 まる義兄さんが出してきたのは、見た感じただのアサルトライフルだった。

 ちょっと無骨な感じがするけれども、ブルパップ方式っぽいデザインで、銃身が短めだ。


「そうだよ!具体的に言うと、着弾した場所から半径5mくらいに、スタン効果のあるフィールドを発生させる雷魔術を撃ちだせる銃だね!『シュヴァイゲン』って名前にしてみたんだ!」

「しゅばいげん?」

「『沈黙』って意味だね!」

「ヒューッ!」


 スタンだから沈黙ってか?

 カッコいいじゃん!

『シュ』はともかく、『ヴァ』がカッコいい!


「基本は、ただビリッとして筋肉が短時間麻痺する程度なんだけれども、試技バッチを使った戦闘の場合、1回スタンさせるごとに相手のHPというか体力の10分の1ずつ奪う仕様にしてあるよ。大試君が遊びの無い銃使ったら、普通に虐殺になるだけな気がするから、このくらいにセーブしておいた方がいいよね?まあ、ヘルシャフトから降りた時の保険としてコクピットに入れておくよ」

「感謝します。実の所、大暴れした後は、負けちゃっても何の問題も無いですからね。リアルで殺そうとしてきた奴相手に負けるつもりはありませんけども」


 今年の桜花祭は、別に負けてしまってもいいんだ。

 重要なのは、皆が本気で俺を倒そうとしてくれる事。

 人はなぁ……目の前に危機が迫って初めて戦いの場に心から立つことができるんだ。

 これから魔物と戦う機会も増えるであろう新一年生たちに、戦うってのがどういうことか教えてやらんとなぁ……!

 そう!学びのための恐怖をね!

 その為には、直ぐに倒してしまってはいけない。

 時間を掛けて、何発か食らってから退場するくらいじゃないと。


「そして!ゴツさを更に強化した、今年の桜花祭専用のヘルシャフト用武装だね!」

「ほうほうほう!?」

「まず、ツインガトリング砲!シュヴァイゲンの弾と同じように、半径5mの範囲でスタンを起こす雷魔術弾を毎分1000発の速度で連射できる!ヘルシャフトの両手にそれぞれツインガトリング砲が1つずつ装備されるから、4門のガトリング砲が火を噴くよ!」

「ほへぇ……!」


 超ゴツイガトリング砲が搬入された。

 ヤバイ……超カッコいい……これ持って戦ったら絶対カッコいい……!


「お次はこれ!ミサイルポッド!と言っても、誘導式のスタン雷魔術を連射するだけなんだけどね!この前の実験の時と比べて発射管を2倍にしたから、火力はすごいよ!これもダメージは同じで、1発命中するごとに10分の1ずつ減ってくよ!」

「おおう……!」

「じゃあさっそく、実験してみてくれ!」

「はい!」


 そうして俺は嬉々として実験に付き合った。

 非常に楽しかったです。


「あ、そうそう!そのパイロットスーツなんだけれど、パワードスーツがダメになって脱出した後は、着用者の生命を守るために変形するから、いきなり形が変わっても心配しなくていいよ!仕様だから!」

「そうですか。わかりました」


 うん、聞き流してたよね。

 ツインガトリング砲を撃つことに夢中で。

 ここでも俺は、あの惨劇を防ぐタイミングを失っていたのだった。



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着用者の生命を守るために変形⋯ん?変形?
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