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剣と魔法の世界に行きたいって言ったよな?剣の魔法じゃなくてさ?  作者: 六轟


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821:

『はい!と言う訳で、現実とロールプレイを分けて考えられず、殺害予告なんてするような愚かな事はしないようにしてくださいね!そういう方は、こうなります!』


 氷付けにされた宣言君を指差し、にこやかにそう言う彩音の声に、会場中から笑いが起きる。

 どうやら今回の事は、変な樹を起こす奴が出てこないように用意された茶番だと思われているらしい。

 まあ、流石に目の前で、貴族であっても法的に正当防衛か微妙なラインの行為を行われたとすぐに思える奴も多くはないだろうしなぁ……。


 そんな中、俺はといえば、血まみれのフンドシ姿でステージ脇の客席から見えない場所に正座させられている。

 木刀を掲げて喝采を浴びている聖羅の後ろで、ガシっと有栖と絢萌に腕を拘束された後、リンゼに親指でクイッと示されたのがそこだったんだ。

 理衣が苦笑いしながら俺の血をタオルで拭いてくれて、ソフィアさんだけは俺の姿に爆笑している。


「……えーと、ステージの上で惨殺劇を繰り広げそうになってすみませんでした」

「そうね。アホよね」

「ちゃんと誰も見ていない所で処さなければ、外聞が悪いですよ?」

「……あ、あら?私、てっきりもっと根本的なお説教をするつもりで拘束したのだと思っていたのですけれども……?」

「あはは……。聖羅ちゃんとリンゼちゃんと有栖ちゃんはきっと、自分達を護ろうとしてくれた事がわかって嬉しかったんだと思うよ?でも、世間がどこまでその理屈を認めてくれるかわからない事だけが気がかりなんだと思う」

「……まあ、そうね」

「はい!聖羅が行かなければ、私がビームを撃ち込んでいました!」

「うん、むやみにビームを撃つのは止めよう……?」

「流石、大試さんと婚約する方々ですわね……」

「アンタもでしょ?」

「そうでしたわ……」


 そりゃさ、もっとうまいやり方もあっただろうけれども、あの時はちょっと頭に来ちゃってさ……。


「ガハハハハ!赤フンっていうんじゃろこれ!?なんちゅう屈辱的な恰好で正座させられとるんじゃ!」

「フンドシにしたのソフィアさんじゃないですか……」

「うむ!引き締まったケツがカッコよくてワシ満足じゃ!」

「男がケツ褒められても喜んでいいのかどうか微妙ですね……」


 今現在も、俺はフンドシのままだ。

 だって、どうやってこの格好にされたのかもよくわからんもん。

 指パッチンで早着替えさせられただけだし。

 魔法少女の返信シーンでももう少し書き割りあると思うんだけどなぁ……。


「それはそれとして、じゃ。話を聞きたいんじゃが、構わんじゃろう?のう……?」

「は、はひぃ!」


 直前まで爆笑していたソフィアさんが、いきなり悪女もお漏らししそうなくらいの激怒顔で、ゲストの女の子にガンつけた。

 この涙目……いや、ぐるぐるレンズのせいで目が見えないけれども多分涙目の娘は、俺をフンドシにしろと言いだしたぐるぐるメガネちゃんだ。

 あの宣言君の一団の仲間っぽい奴らの中で、会話になりそうだったのがこの娘くらいだったので、ソフィアさんが首根っこ掴んで引っ張って来たらしい。

 残りのメンバーは、2年の生徒会男子4人衆に引っ張られていった。

 アイツら、ここ数日でレベルが結構上がって、新1年生程度なら何十人束になってかかってこられても平気であしらえる程度に強くなっていたらしく、一瞬で全員つかまえてどこかへ消えて行った。

 まあ、ソフィアさんに自分たちの活躍をアピールするようなポーズをとっていたけれども、強さで言えばソフィアさんはお前らが何百人束になってかかっても相手にならないくらい強いから、強さをアピールするのはお勧めしないぞ?


「あ……あのですね……もう今更隠しても意味が無さそうなので言っちゃいますけど……。私たち、別の世界からの転生者でして……。あ!一応確認なんですけど、犀果先輩も転生者なんですよね?」

「まあ、そうだな……」

「やっぱり……。となると、他の皆さんも?」

「いや、俺と、そこのリンゼだけだぞ」

「え!?そうなんですか?じゃ、じゃあ……転生者ってバラすのは不味かったですかね……?」

「その辺りは、ここに居るメンバーは全員知ってるから大丈夫」

「よ、よかったぁ……」


 ぐるぐるメガネちゃん、さっきから緊張で死にそうになっているな……。

 まあ、俺を筆頭にどう考えても自分じゃ勝て無さそうな面々に囲まれてるんだから、そりゃそうだろうけども。

 しかも、直前に色々やらかした奴の仲間だと思われてるわけだし。


「えっと……まずどこから話せばいいのか……。私たち、オンラインゲームで同じギルドに所属してたメンバーなんですけど、そのギルドが学校の同級生だけで作った所だったんですよ。それで、修学旅行中に揃って死んじゃって……。気が付いたらよくわからない場所にいて、そこにいた神様に、私たちがやってたオンラインゲームをモデルにして作られた世界に転生させてあげるって言われて……。私のこの見た目も、その時使ってたキャラの見た目その物なんです。アバターみたいな肉体に転生したみたいなんですよね」

「あぁ……。だからどいつもこいつも金髪とか銀髪だったのか……」


 顔は、そこまでキラキラフェイスって感じじゃなかったけれども、全員髪は金とか銀で、目は青とか緑だった。

 オリジナリティって知ってるか?


「そうですね……。同じギルドにいた私が言うのもなんですけど、皆その……ちょっと……厨二っぽかったっていうか……。名前に『猫』とか『黒』とか『✞』とか『天使』って使っちゃうような人たちで、自分のキャラも当然のように金髪碧眼のイケメンを目指して作ってたらしいですから……。まあ?皆自分でキャラデザ弄るのが下手糞だったので、結局殆どプリセットにしちゃったみたいですけどね?私みたいに自分の中の最強に可愛いデザインを実現できるものなんて限られているんです!大体男子はどうしてあんな王子様みたいな服装ばっかりなんですかね!?それ以外は黒いコートばっかりですし!もっとフンドシ一丁装備になってくれればいいのに!絶対あれが男性キャラの衣装で一番カッコいいのに!!!!」


 あれ?

 さっきまでオドオドしていたぐるぐるメガネちゃんだったけど、なんかスイッチ入ったぞ?


「……は!?えーと……すみません……。私、熱中すると我を忘れちゃうところがあって……」

「みたいだな……」


 気持ち悪い早口になるタイプか……。

 まあ、美少女であれば許されるだろうけれども……。


「のう、大試……。思ったより変な奴じゃぞコイツ……」


 ソフィアさんが、ドン引きしながらひそひそとそんな事を耳打ちしてきた。

 人の事を指パッチン一つでフンドシ一丁にする超常存在よりは普通かもよ?





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>「のう、大試……。思ったより変な奴じゃぞコイツ……」 特大なブーメランをソフィアさんへ全力で投げ飛ばしても問題ないかな?
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