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彩音の影響か、なんとなく普段ならあまり食べない味薄めのパンで昼食を済ませた後、午後の授業が始まった。
とは言え、参加者は少ない。
魔術関係で全く点が取れない俺と違い、大抵の奴らは現時点でかなり単位に余裕がある上に、午後の授業は必修じゃないものが多いからだ。
前世の日本と違って、高校を卒業したら大学に行くのが殆どって事も無く、王立魔法学園を卒業した生徒たちの殆どが就職するので、そのための準備を皆着々と進めている。
つまり、午後の授業時間って言うのは、就職のための準備に宛てる生徒が多いせいでこんな感じの学級崩壊している教室みたいになっている訳だ。
今日なんて、いつもと比べても特に少ないな……。
だって、俺と委員長しかいないもん。
「なぁ委員長、これってさ、俺達だけ補習受けてるとかじゃないよな?もしくは、俺達だけ移動教室を教えて貰えてないとかさ……?」
「あはは、大丈夫だよ……多分?」
「委員長も自信無いんじゃん……」
「流石にこれはいつもより少なすぎて……」
「だよなぁ……」
普段であれば、それでも10人くらいはいるんだけれども、桜花祭に向けて特訓しているのか全然人がいない。
単位に余裕が無い奴は、桜花祭でいいとこ見せて点数稼ぎたいだろうし、それもしょうがない。
っていうか、そもそも講師すらいない。
出欠とった後、『自習!』って黒板に書いて出て行った。
これで単位出るならいいけどさ……。
「どうしようかな……俺も今からでもサボるかなぁ……」
「えー?寂しいからいてくれない?」
「自習に寂しいも何も無くないか?」
「そんなこと無いよ?授業が終わったら、すぐに酒屋かカフェでお仕事ばっかりで、こうやって普通に学生している時間がすごく貴重に感じれるようになっちゃったんだよね」
「あぁ……。忙しそうだもんな委員長」
「まあねー。でも、やりたい事やってるから、充実はしてるよ?」
「ならいいけどさ。体壊すような事はやめとけよ?」
「あはは!大丈夫!もし辛かったら相談するね?」
「そうしろ。委員長には色々と世話になってるし、いくらでも相談に乗るぞ」
「そんなにお世話した覚えも無いけど……」
俺に普通に話しかけてくる同級生ってだけでも貴重なので、何の誇張も無くお世話になっておりますが?
なんなら、様着けしたいくらいに。
「犀果君は、サボって何かやりたい事でもあったの?」
「まあね。実は、今度の桜花祭で特殊な立場になっちゃってさ、そのための準備したくて」
「特殊な立場?」
「ボーナスバルーンっていう役割なんだけども」
「なにそれ!?浮くの?」
「浮きはしないな」
俺は、手短に桜花祭でのボーナスバルーンについて説明した。
更に、俺がやろうとしている魔王プレイに関してもだ。
「うわぁ、ちょっと楽しそうかも?」
「だろ?悪役プレイちょっとしてみたかったんだよな」
「でも、それって結構大変じゃないの?本当に強くないと、大して見せ場も盛り上がりも無くやられて終わりじゃない?」
「そうなんだよ。つっても、俺自身が硬いし、更に用意しようと思ってる物を使えば、大盛り上がり間違いなしだと思うんだわ」
「へー」
委員長に、俺が用意する予定の武具について説明していくと、段々と苦笑いになっていった。
「それって、犀果君以外使えないんじゃ……?」
「そうなんだよ。量産を全く考えない設計で、使用者を俺に限定することで成立するんだよなあれ」
「なんていうか、流石はガーネット家の天才さんって感じだね……」
「まあ、それを煽ってる俺も悪いんだけどさ」
「魔王だもんね?」
「魔王だからな」
小さく笑い合う2人。
あぁ……、普通の会話が成立するっていいなぁ……。
「でも、それって犀果君に旨味が無さすぎない?」
「いや、ボーナスバルーンやるってだけである程度のポイントを貰えることが決まってるし、万が一勝ったら、全員のポイントが全部俺の物になるっていうボーナスもあるからな。更に言うと、俺が勝った場合に願いを叶えてもらえるって言う特典もある」
「願い?どんな?」
「制服を、巫女服と競泳水着とキツネ耳を組み合わせた物に変更してもらえるらしい」
「えぇ!?」
「あと、後輩の女子からねじ込まれた条件として、更に女子の下着……というかパンツを学校指定のフンドシにすることになってる」
「はい!?」
「因みに、男子の制服はフンドシ一丁らしい」
「イヤだよそんなの……」
「俺も嫌だ。っていうかあくまで皆が俺を無視せず全力で倒したくするための要素として用意しただけで、俺も別に本気でそんなアホな制服を採用させるつもりも無いんだ」
「そうなんだ……」
っていうかね、制服姿の女子も良い物だと思うしね俺。
「委員長も桜花祭の時は、是非全力で俺を倒してくれ」
「それを魔王本人から言われるのも不思議な気分かも」
「くくく……なぁ委員長、世界の半分あげるから魔王の部下にならないか?」
「え?うーん……考えちゃうなー……。7割くれるなら良いよ?」
「がめついな……」
俺がもし魔王で、委員長が味方になってくれるなら、世界の7割くらい上げちゃうけどね?
ぶっちゃけ、この世界の北海道程度の面積ですら、今の俺には広すぎるくらいだしな……。
「でも、ボーナスバルーン役は本当に面白そうだなーとは思うかな」
「じゃあ、マジでなる?」
「え?ボーナスバルーンに?」
「委員長は、生徒会のメンバーでもないし、もし本当になりたいなら多分OKだと思うぞ」
「そっかぁ……でも……うーん……」
悩む委員長。
女性主人公の一人が悪の女幹部になるかどうかの瀬戸際だ。
悪落ちだな。
光の陽キャを落とすなんて、俺はとても罪深い事をしているきがするなぁ……!
「さぁ!一緒に競泳水着と巫女服とキツネ耳とフンドシを制服にしようとする変な奴だって思われようぜ!」
「あ、ごめん。やっぱりいいです。遠慮します」
「そんなぁ……」
「………………………………ぷっ………………あっはははは!」
そんなこんなで、結局俺は陽キャの取り込みに失敗し、孤軍奮闘を余儀なくされる事となった。
残念だ。
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