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放課後です。
長かったです。
でも、ここからは俺の時間だ!
「ここが例の?」
「そう、ガーネット家の研究所」
「本当に私が入っても宜しいのでしょうか?」
「大丈夫大丈夫。これから紗枝が通るルートは、徹底的に他の余計な情報を入手することが不可能になっている場所に限定されるから。窓とかも、全部スモークがかかって中が覗けないようになる」
「それはそれですごいですね」
「慣れたけどなもう。機密レベルによっては、俺どころかリンゼすら見せてもらえない場所もあるらしいぞ」
「ご家族にすら!?」
「まあ、まる義兄さんに聞いたら、『あ!実はそこ、ボクの息子たちの遊び場なんだ!』とかカジュアルに答えられたけども」
「機密というよりプライベート空間なんですね」
まあな。
ただ、あそこの子供たちはマジで最重要機密の塊でもあるから、公に出来ないってのもあるけども。
なにせ、恐竜人間と普通の人間のハーフだからか、妊娠してから生まれてくるまで滅茶苦茶短かったし、生まれてからの成長速度も半端ないんだ。
見た目は、一応人間メインになっているんだけれどもな。
父親であるまる義兄さんは、「恐竜の見た目でも良かったんだけどなぁ……。まあ、一般社会で生活するならこっちの方が絶対良いのはわかるんだけどさぁ……。どっちにしろ最高に可愛いけどね!もう無限に実験に付き合わせたい!」とか危ない事を言っていた。
というわけで、今回協力したいと申し出てきた紗枝を連れて、リンゼんちの敷地内にある研究所に来ています。
目的は、ここで開発されたあるものを受け取るためだ。
俺も実際に見るのは初めてだけれども、非常に今回の目的に丁度いい物になっている筈だ。
「ところで、何故ハンバーガーを購入してきたんですか?」
「あの人、ハンバーガーとかホットドッグみたいなジャンクなものが大好物だからだ。最近は、嫁さんにしっかりした物ばっかり食べさせられてまいってるらしい」
「普通まいるとしたら逆の理由ですよね?」
女王様だった嫁さんが、鬼気迫る表情で地上の料理を習得してたからなぁ。
あのまる義兄さんが、焼き魚とサラダと味噌汁とキノコご飯の夕食を食べているのを見た時は、何が起きているのか一瞬分からなかったもん。
紗枝と話しているうちに目的の部屋へと到着した。
ここは、この研究所の中で最も巨大な実験用の部屋となっていて、中には丸々試技エリアの広い空間がある。
自動ドアを開けて中に入ると、真っ先に俺の目に飛び込んできたのは、黒くて大きい異形の機体だった。
「おお……すごいな……!」
「やあ大試君!早速驚いてくれているようだね!?」
「はい!流石ですねまる義兄さん!正に悪役に相応しい見た目です!」
「そうだろうそうだろう!?」
機体の高さは、大体5m程だろうか?
全体が真っ黒で、目にあたる部分は、赤い線になるようにガラス質の物で覆われている。
恐らく、重要そうな雰囲気を出しながら特に理由も無く赤く光って目が映し出されるんだ!
あと、その下の部分を見て見ると、うっすらとだけど切れ目が見える。
きっと、あそこは開いて口になるんだ!
そして、何故か鳴く!理由も無く鳴く!俺にはわかる!
「あの、大試先輩?どうしてそんなにテンションが上がってるんですか?」
「わからんか?」
「はい」
「ならしょうがない。わからないならわからないで何の問題も無い。ただ、これでとても興奮する奴が居るって事だけは把握しておけ」
「はぁ」
残念ながら、こういうのが簡単に理解してもらえるとも思っていないんだ俺たちは!
悲しいけど、ロボ物の需要って言うのは、そこまで高くないんだよなぁ……。
「おや?そちらのお嬢さんは、大試君の新しい婚約者かい?」
「流石の俺もそこまでポンポンと婚約者増やしたりしな……いですよ?」
「あれ?なんか気になる間がなかった?」
うん、この前ポンポンちょっと増やしちゃったのを思い出してしまいまして……。
「この娘は、学園の生徒会で副会長をしている春夏冬紗枝さんです」
「春夏冬です。博士のお噂はかねがね……」
「止してよ博士なんて大層な呼び方!……あ、でも、今だけは博士って呼ばれたいかも!この機体の前に立ってる時はね!」
「わかります!」
「わかってくれるかい大試君!?」
「はい!」
「…………」
紗枝からの視線が冷たくなってきたので、本題に戻ろう。
「メッセで簡単に話は聞いたけれども、本当にこれを使うのかい?大試君がこれで本気出したら、30分もしないうちにエリア内に動くものが無くなっちゃうよ?」
「なので、攻撃方法を電撃というか、スタン目的の電気ショックにしてもらえませんか?武装の根本的な部分って、ファイアーボールとかの魔道具ですよね?その術式を、相手を10秒くらい麻痺させる程度の雷魔術を放てるものに書き換えてもらえればと」
「へー、確かにそれくらい訳ないけれども……」
そう言って、少し躊躇する顔になるまる義兄さん。
だけど、こういう顔の時のこの人は、別に俺に対して何かを止めようとするようなことは無い。
寧ろ、「本当にその程度で大丈夫?もっと破壊力出す?」的な事を考えている場合が多い。
「でもさ、ビームくらいは出したいよね?」
「出したいですけど……今回は我慢で」
「そっかぁ……」
「その代わり、スタンする雷魔術を乱射できるガトリング砲を装備したいです。それも、できるだけゴツイのを」
「ふむふむ」
「更に背面には、相手を追尾する雷魔術を放てるミサイルポッドみたいなのが欲しいなぁと。できるだけゴツイのを」
「ほうほう!」
そして、多分だけどこの人は、今すごく言いたいと思っている台詞がある。
今俺が出した条件を受けて、彼が返事をするとしたら、とても大きなチャンスだ。
さぁ言え!言ってくれ!
「『こんな事もあろうかと』!作っておいたよガトリングとミサイルポッド!」
「やったあああ!!」
「ありがとう!大試君ありがとう!」
「こちらこそ!本当の意味でその台詞を使ってもらえる日が来るなんて!」
「「ははははははははは!」」
「…………」
紗枝の表情がお人形さんのように人間味の無い張り付いたような笑顔になり、ただただ視線だけが絶対零度へと近づいてきた気がするので、ここらへんでそろそろ機体の中に避難しようかな!
「じゃあ、早速搭乗試験始めてもいいですか?」
「いいよ!準備は完璧だから!」
「いっきまあああああす!」
結論から言うと、最高に楽しかった。
このパワードスーツ、今までに滅茶苦茶バージョンが上がって来てて、操作性も性能も段違いに上がっているから、滅茶苦茶楽しいわ……。
紗枝がまる義兄さんに何か話しているっぽいのが見えたけれども、今の俺にはそんなの関係ない。
とにかくガトリングガンとミサイルで雷魔術を連射する方が優先だ。
『大試君、本当にこの娘の言う事進めてもいいのかい?』
「え?よくわかんないですけど、良いんじゃないですかね?それよりこの機体最高ですわ!」
『そうかい?それはよかった!』
この時、サラッとまる義兄さんがしてくれた確認を適当に流したことを俺は非常に後悔することになるんだけれども、今の俺にそんな事を考える余裕は無かった。
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